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UE5でHPなどの変数を定義する最適な場所|Character・PlayerState・GameInstanceの使い分け

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Unreal Engine 5(UE5)でプレイヤーのHPのようなゲーム変数を置く場所は、「そのデータがどのスコープで生き、いつ消えるべきか」で決めるのが基本です。結論から言うと、戦闘中のHPのようにキャラクターの実体に紐づき、毎フレーム変化しうる値Character(または Pawn)に、プレイヤー単位で持ち、マルチプレイで他クライアントにも見せたい値PlayerState に置くのが定石です。「レベルをまたいで保持したい」「セッション全体で1つだけ持ちたい」といった要件が出てきて初めて GameInstanceGameState、保存なら SaveGame を検討します。本記事では各クラスの役割を比較し、HPを具体的にどこへ置くべきかを設計観点で整理します。

この記事の要点
  • 変数の置き場所は「データの寿命(ライフタイム)」と「所有者のスコープ」で決める。HPだから一律にここ、という正解はない。
  • 戦闘中の現在HPは基本 Character / Pawn に置く。ダメージ・回復処理と同じクラスにあり、扱いがシンプル。
  • マルチプレイで他プレイヤーにもHPを見せる・死亡後も値を保持したいなら PlayerState に置き、レプリケーションを設定する。
  • GameInstanceレベル遷移をまたいで生き残るクラスだが、各クライアントローカルで複製されない。何でも置く場所ではない。
  • セーブが必要なら SaveGame オブジェクトへ「保存したい値だけ」を詰め替える。ランタイムの実体とは分けて考える。

変数の置き場所候補とその役割

UE5には用途の異なるベースクラスが用意されており、それぞれ「生存期間」と「ネットワーク上での扱い」が異なります。まず全体像を比較します。

クラス 主な役割 生存期間 マルチプレイでの扱い HPに向くか
Character / Pawn 操作対象の「体」そのもの。移動・当たり判定・戦闘処理を持つ そのレベルにスポーンしている間。デスポーンや破棄で消える 各クライアントに複製される。値はレプリケート可能 その場の現在HPに最適
PlayerState 「プレイヤー」という人格に紐づく情報(スコア、名前、チーム等) そのプレイヤーが接続している間。Pawnが死んでも残る(レベル遷移時は再生成されうる) 全クライアントに複製される。他プレイヤーからも参照しやすい プレイヤー単位で持つHPに最適
GameState 試合・ワールド全体の状態(残り時間、現在のラウンド、全体スコア等) そのレベルが読み込まれている間 サーバーで保持し全クライアントへ複製 個人のHPには不向き
GameMode 試合のルール・勝敗判定・スポーン制御 そのレベルが読み込まれている間 サーバーのみに存在。クライアントから直接参照不可 HPの保持先には不向き
GameInstance アプリ起動からゲーム全体を貫く単一のオブジェクト ゲーム起動中ずっと。レベル遷移をまたいでも生存 各マシンにローカル。自動レプリケーションの仕組みはない レベル跨ぎの引き継ぎ用途のみ
SaveGame ディスクへ永続保存するためのデータ入れ物 明示的に保存/読み込みした内容がファイルとして永続 ネットワークとは無関係(保存処理は別途実装) セーブ対象の値の保存先

表のとおり、同じ「HP」でも戦闘中の生々しい値セーブして次回も引き継ぐ値では適した置き場所が違います。1つのクラスにすべてを詰め込もうとすると、後でマルチプレイ対応やセーブ機能を足すときに破綻しやすくなります。

HPはどこに置くのが最適か

最も判断に迷うHPについて、典型的なケースごとに整理します。

基本(シングルプレイ・1体のキャラ):Character / Pawn

プレイヤーが操作する1体のキャラクターのHPであれば、その Character クラスに CurrentHealth / MaxHealth を持たせるのが最もシンプルです。理由は明快で、ダメージを受ける主体・回復する主体・破壊される主体がすべてそのキャラクター自身だからです。TakeDamageApplyDamage の流れと同じクラス内で完結し、HPバーUIもそのPawnを参照すれば済みます。データと振る舞いが同じ場所にある、という意味で素直な設計です。

プレイヤー単位で持ちたい・マルチプレイ:PlayerState

次の条件のいずれかが当てはまるなら、HPを PlayerState に置くことを検討します。

  • 他のプレイヤーからもHPを見たい(味方のHPバーを表示する等)。PlayerState は全クライアントに複製されるため、他者の値を参照しやすい。
  • Pawnが破棄されてもHPに関する状態を保ちたい。Pawnは死亡で破棄されうるが、PlayerState はプレイヤーの接続が続く限り残るため、「最大HPのアップグレード値」のようなキャラの実体に依存しない属性の保持先に向く。
  • キャラクターを乗り換える(憑依し直す=Possess)設計で、HPをキャラではなくプレイヤーに紐づけたい

実務では「現在HPはCharacter、最大HPやプレイヤー恒久ステータスはPlayerState」のように役割分担する構成もよく使われます。どちらか一方が常に正解ということはなく、要件に合わせて分けるのが現実的です。

マルチプレイ時の考慮(レプリケーション)

マルチプレイでは「どこに置くか」と同じくらい「どう同期するか」が重要です。UE5のネットワークモデルでは原則として次のルールが効いてきます。

  • 権威はサーバーにある。HPの値はサーバー側で変更し、そこからクライアントへ複製するのが基本。クライアントが勝手に書き換えた値はチートの温床になり、同期もずれる。
  • 複製したい変数は Replicated(または値変化時に処理を走らせたい場合は RepNotify)として設定する。HPバーの更新はこの RepNotify 経由で行う構成が一般的。
  • PlayerStateCharacter は複製の仕組みを持つが、GameMode はサーバーのみに存在するためクライアントから直接参照できない。HPの保持先としては不適切。

PlayerState に置いてレプリケーションを有効化し、値の変更はサーバーで行う」——マルチプレイのプレイヤーHPはこの形が出発点になります。なお複製フラグの細かな指定(DOREPLIFETIME の条件等)はバージョンや実装で差があるため、正確な記述は公式ドキュメントの確認を推奨します。

セーブが必要なら何を保存するか

「次回起動時もHPを引き継ぎたい」場合、HPを保持しているクラスをそのままディスクに書けるわけではありません。CharacterPlayerState はランタイムの実体であり、レベルを抜ければ破棄されます。永続化したいときは SaveGame を継承したオブジェクトを用意し、保存したい値だけを詰め替えて SaveGameToSlot 等で書き出します。

  • 保存対象は通常、「数値・状態」だけ(現在HP、最大HP、所持アイテムID、進行フラグ等)。アクターそのものは保存しない。
  • ロード時は SaveGame から読み出した値を、スポーンし直した Character / PlayerState に書き戻す。
  • セーブとランタイムは別レイヤーとして分けて考えると、設計が崩れにくい。

よくある落とし穴

落とし穴 何が起きるか・どう避けるか
GameInstanceに何でも置く 「消えないから便利」と現在HPまでGameInstanceに置くと、各クライアントローカルで複製もされず、戦闘中のリアルタイム同期に使えない。GameInstanceはレベル跨ぎで引き継ぐ最小限の値に留める。
レベル遷移で消える場所に永続データを置く CharacterGameState はレベルを抜けると破棄される。次のレベルへ引き継ぎたい値をここだけに持つと消える。引き継ぎは GameInstance 経由、永続は SaveGame で。
複製(レプリケーション)漏れ 変数を Replicated にし忘れる/クライアント側で値を書き換える、と他プレイヤーにHPが伝わらない・値がずれる。値はサーバーで変更し、UI更新は RepNotify で行う。
GameModeをクライアントから参照しようとする GameMode はサーバーのみに存在するため、クライアント側のBPから取得しようとすると無効になる。全員が参照すべき状態は GameState に置く。

FAQ

Q. シングルプレイならとりあえずCharacterにHPを置けばよい?
A. はい、それで問題ありません。シングルプレイで1体のキャラを操作するだけなら、Character に現在HP・最大HPを持たせるのが最もシンプルで保守しやすい構成です。後からマルチプレイやセーブが必要になった時点で、PlayerStateやSaveGameへの分離を検討すれば十分です。

Q. マルチプレイで味方のHPバーを表示したい。どこに置く?
A. PlayerState が向いています。PlayerStateは全クライアントへ複製されるため、各プレイヤーが他プレイヤーのPlayerStateを参照してHPバーを描画できます。値の変更はサーバー側で行い、複製を有効にしてください。

Q. レベルをまたいでHPを維持したい場合は?
A. CharacterPlayerState はレベル遷移で破棄・再生成されうるため、引き継ぎたい値は GameInstance に退避し、次のレベルで新しいキャラへ書き戻す流れにします。さらにアプリ終了後も残したいなら SaveGame でディスクへ保存します。ただし各クラスの破棄・再生成の細かな挙動はバージョンや構成で差があるため、最終的な仕様は公式ドキュメントでの確認を推奨します。

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