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Unreal Engine 5(以下UE5)の三人称テンプレートを使用している際に、「動いているオブジェクトが静止しているキャラクターに接触しても当たり判定が発生しない」という問題が起きる場合があります。この問題は物理シミュレーションやコリジョン設定に起因していることがほとんどです。本記事では、原因とその解決方法を詳しく解説します。
当たり判定が発生しない主な原因
静止しているキャラクターに当たり判定が発生しない場合、以下の原因が考えられます。
1. キャラクターのコリジョン設定
UE5の三人称テンプレートのキャラクターは、通常Pawnとして設定されています。この設定では、物理的な当たり判定が無効化されていることがあります。特に「Query Only」または「Overlap」モードになっていると、動いているオブジェクトとの物理的な衝突が発生しません。
2. 動いているオブジェクトの物理設定
動いているオブジェクトがSimulate Physicsを有効にしていない場合、物理エンジンによる衝突が処理されません。また、コリジョンプリセットが「No Collision」に設定されていると、そもそも接触が認識されません。
3. 動的と静的の挙動差
UE5では、静止しているオブジェクト(Static)と動いているオブジェクト(Dynamic)の間で物理シミュレーションの処理方法が異なります。静止しているキャラクターは通常「Kinematic」として扱われ、動いているオブジェクトからの物理衝突を受け付けないことがあります。
4. イベントやBlueprintの不足
キャラクターが動いているオブジェクトとの衝突を認識するためには、BlueprintでOn Component HitやOn Component Begin Overlapイベントを正しく設定しておく必要があります。これが設定されていない場合、衝突が無視されます。
解決方法
以下の手順で、キャラクターと動いているオブジェクトの間で正しく当たり判定が発生するように設定します。
1. キャラクターのコリジョン設定を修正
キャラクターのスケルトンメッシュのコリジョンを確認し、必要に応じて以下の設定を行います。
- Collision Presets: 「Custom」に変更
- Collision Enabled: 「Query and Physics」に設定
- Object Type: 「Pawn」に設定
- Response to Other Objects: 動いているオブジェクトに対して「Block」に設定
これにより、キャラクターが物理的な衝突を受け付けるようになります。
2. 動いているオブジェクトの物理設定を修正
動いているオブジェクトの`Details`パネルで以下を確認・修正します。
- Simulate Physics: 有効化
- Collision Presets: 「Physics Actor」に設定
- Mass: 必要に応じて増加(例: 100以上)
この設定により、オブジェクトが物理エンジンによる衝突処理を行うようになります。
3. Blueprintでイベントを設定
キャラクターが衝突を認識できるように、BlueprintでOn Component HitまたはOn Component Begin Overlapイベントを設定します。
以下は`On Component Hit`イベントを使用した例です:
Event OnComponentHit
-> Branch (条件: OtherActor != Self)
-> Print String ("Hit Detected")
このように設定することで、動いているオブジェクトがキャラクターに衝突した際にイベントが発生します。
4. キャラクターの物理挙動を強化
キャラクターが動いているオブジェクトからの力を正しく受けるようにするには、以下の設定を追加します。
- Enable Physics Simulation: キャラクターの物理シミュレーションを有効化
- Ragdoll Transition: 必要に応じてラグドール状態に切り替える
これにより、キャラクターが物理エンジンの影響を受けるようになります。
注意点
設定を調整する際には以下の点に注意してください。
- パフォーマンス: 多数の物理シミュレーションを同時に有効にするとパフォーマンスが低下する可能性があります。
- テスト: 衝突挙動を確認し、不自然な動きがないか検証することが重要です。
- リセット処理: 必要に応じて、キャラクターやオブジェクトの物理状態をリセットする処理を追加してください。
まとめ
UE5の三人称テンプレートで静止しているキャラクターと動いているオブジェクトの間に当たり判定がない場合、コリジョン設定や物理シミュレーションの調整が必要です。正しい設定を行うことで、衝突時の自然な物理挙動を実現できます。本記事の手順を参考に、プロジェクトでの問題を解決してください。
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