◀ 26.

scp コマンドの使い方 (SSH 経由のファイルコピー)

▶
この記事の要点
  • scp は SSH で暗号化してファイルをコピーするコマンド。SSH でログインできる相手なら追加設定なしで使える
  • ローカル → リモート: scp ローカルファイル ホスト:リモートパス
  • リモート → ローカル: scp ホスト:リモートファイル ローカルパス
  • よく使うオプション: -r ディレクトリごと / -p 日時と権限を保持 / -P ポート指定(大文字)/ -i 秘密鍵指定
  • ~/.ssh/config に Host を登録しておくと scp file myserver:/tmp/ のように短く書ける
  • 大量・大容量の同期や再開が必要なら rsync の方が向いている

scp とは

scp(secure copy)は、SSH の接続を使ってホスト間でファイルをコピーするコマンドです。通信はすべて暗号化され、認証も SSH と同じ(パスワード認証または公開鍵認証)なので、SSH でログインできるサーバーであれば、そのまま scp も使えるのが利点です。Linux・Mac には標準で入っており、Windows 10 以降も OpenSSH クライアントとして標準搭載されています。

SSH の接続設定や鍵認証の準備は SSH とは?暗号化リモート接続・鍵認証・実装一覧 を参照してください。

基本の書式

scp [オプション] コピー元 コピー先

リモート側のパスは ユーザー名@ホスト:パス の形で書きます。: の有無でローカルかリモートかを区別している点がポイントです。

ローカルからリモートへコピー(アップロード)

# 書式
scp [コピー元のローカルのファイルパス] [ユーザー名@ホスト:リモートのコピー先のフォルダパス]

# 例: report.csv をサーバーの /home/taro/data/ にコピー
scp ./report.csv taro@192.168.1.10:/home/taro/data/

リモートからローカルへコピー(ダウンロード)

# 書式
scp [ユーザー名@ホスト:リモートのコピー元のファイルパス] [コピー先のローカルのフォルダパス]

# 例: サーバーのログをカレントディレクトリにコピー
scp taro@192.168.1.10:/var/log/app/error.log .

ssh config の識別子を使う

~/.ssh/config に接続先を登録しておくと、ユーザー名・ホスト・ポート・鍵ファイルを毎回書かずに済みます。

Host myserver
    HostName 192.168.1.10
    User taro
    Port 2222
    IdentityFile ~/.ssh/id_ed25519
# config に設定した識別子(myserver)で指定できる
scp ./report.csv myserver:/home/taro/data/
scp myserver:/var/log/app/error.log .

主なオプション

オプション意味
-rディレクトリごと再帰的にコピーする
-pコピー元の更新日時・アクセス日時・パーミッションを保持する。どの日時に変更されたファイルをコピーしたか正確に把握できる
-P ポートSSH のポート番号を指定する(大文字。ssh コマンドの -p とは違うので注意)
-i 鍵ファイル認証に使う秘密鍵を指定する
-F 設定ファイルssh の config ファイルを指定する(既定は ~/.ssh/config)
-C転送データを圧縮する。テキストなど圧縮が効くファイルを低速回線で送るときに有効
-l 帯域転送速度の上限を Kbit/s で指定する(本番回線を占有しないため)
-q進捗表示を出さない(スクリプト向け)
-v詳細なデバッグ出力。接続できない原因の調査に使う
-3リモート間のコピーを、手元のマシン経由で中継する

よく使う組み合わせ

# ディレクトリをまるごと、日時と権限を保ったままアップロード
scp -rp ./public_html myserver:/var/www/

# ポート 2222・鍵指定でダウンロード
scp -P 2222 -i ~/.ssh/id_ed25519 taro@example.com:/backup/db.sql.gz .

# 複数ファイルをまとめて送る(コピー先はディレクトリ)
scp a.txt b.txt c.txt myserver:/tmp/

落とし穴と注意点

  • ポート指定は大文字の -P: 小文字の -p は「日時の保持」なので、ポートを指定したつもりで接続先が 22 番のままになることがあります
  • 上書き確認がない: コピー先に同名ファイルがあると、確認なしで上書きされます。重要なファイルを送る前にコピー先を確認しましょう
  • リモート側のワイルドカードはクォート: scp 'myserver:/var/log/*.log' . のようにクォートしないと、手元のシェルが先に展開しようとしてエラーになることがあります
  • 空白を含むパス: リモート側のパスに空白がある場合はクォートします。古い OpenSSH ではさらにエスケープが必要でした
  • 途中で切れると最初からやり直し: scp には再開機能がありません。数 GB 以上のファイルや、差分だけ送りたい場合は rsync を使います
  • プロトコルの変化: OpenSSH 9.0(2022 年)以降、scp コマンドは内部で SFTP プロトコルを使うのが既定になりました。古いサーバーで動かない場合は -O オプションで従来の方式に戻せます

scp・rsync・sftp の使い分け

コマンド向いている用途
scp数ファイルを 1 回だけさっと送る・取ってくる
rsyncディレクトリの同期、差分転送、中断からの再開、除外指定
sftp対話的にリモートのディレクトリを見ながら操作する

うまくいかないときの確認方法

  1. まず ssh myserver でログインできるか確認する(ssh で入れなければ scp も使えません)
  2. scp -v で実行し、どの段階(名前解決・接続・認証)で止まっているかを見る
  3. 「Permission denied」が転送先で出る場合は、リモート側のディレクトリの書き込み権限を確認する
  4. コピー後は ls -l でサイズと日時を確認し、重要なファイルは sha256sum で両側のハッシュ値を比較する

関連

子ページ

子ページはありません

同階層のページ
  1. ls ファイル/ディレクトリ一覧表示
  2. sudo ユーザー指定
  3. cron/crontab ジョブの自動実行と登録方法
  4. wget http通信によるファイルダウンロード
  5. rm ファイル/ディレクトリ削除
  6. pwd カレントディレクトリの表示
  7. cd ディレクトリの移動
  8. ./configure
  9. make
  10. make install
  11. unzip ファイルの解凍
  12. mv ファイル/ディレクトリの移動および名称変更
  13. mkdir ディレクトリの作成
  14. touch 空ファイルの新規作成
  15. vi テキストディタの使用
  16. find ファイル/ディレクトリ検索
  17. grep 文字列の検索
  18. tail ファイルの末尾表示
  19. curl HTTP通信によるリクエスト
  20. nslookup ドメインのIP解決
  21. apt update パッケージリストの情報を更新
  22. apt upgrade パッケージの更新
  23. ln リンク/ショートカットの作成と削除
  24. rsync ファイル/ディレクトリの同期
  25. ssh リモートとの暗号化通信
  26. scp sshを利用したファイルのコピー
  27. unzip zip ファイルを解凍する
  28. cp ファイル/ディレクトリのコピー
  29. diffファイルの差分抽出
  30. fdisk ハードディスクに対する操作
  31. lsblk デバイスをツリー状で表示する
  32. kill プロセスを終了させる
  33. zip ファイルやディレクトリをzip形式に圧縮する
  34. hostコマンド
  35. chmod 権限の変更
  36. ip IPアドレスの確認
  37. chown コマンド(所有者の変更)
  38. chgrp ファイル/ディレクトリのグループ情報の変更
  39. nohupと'&' プログラムのバックグラウンド実行(ssh接続時)
  40. lsof 開いているポート番号の確認
  41. tar ファイルの圧縮と解凍
  42. file ファイルの種類を表示
  43. cat ファイルの中身を表示
  44. head ファイルの先頭部分を表示
  45. wc 行数/単語数/文字数を確認
  46. shutdown システムのシャットダウンと再起動
  47. ps プロセスの確認
  48. which コマンドの絶対パスを調べる
  49. yum RedHat系ディストリビューションの管理
  50. mount ファイルシステムのマウント
  51. 特定フォルダ以下の特定拡張子のファイルを再帰的に削除する方法
  52. 特定のフォルダとそのサブフォルダ内にある特定のファイル名のファイルを再帰的に削除
  53. sed テキスト処理用ストリームエディタ
  54. awk フィールド単位の柔軟なテキスト処理
  55. sort 行の並び替え
  56. uniq 重複行の除去・カウント
  57. cut 行から特定列を切り出し
  58. tr 文字の置換・削除
  59. less ページャでファイルを読む
  60. more 古典ページャ
  61. xargs 標準入力をコマンド引数に変換
  62. paste 複数ファイルを列方向に結合
  63. top プロセスの動的監視
  64. htop 強化版インタラクティブプロセス監視
  65. nice プロセスの優先度を指定して起動
  66. renice 実行中プロセスの優先度を変更
  67. jobs シェル管理下のジョブ一覧
  68. bg ジョブをバックグラウンドで実行
  69. fg バックグラウンドジョブをフォアグラウンドに
  70. killall プロセス名でまとめて終了
  71. pgrep プロセス名から PID を検索
  72. pkill プロセス名でシグナルを送信
  73. uname システム情報の表示
  74. uptime システム稼働時間とロードアベレージ
  75. free メモリ使用状況の表示
  76. df ディスク使用量 (ファイルシステム単位)
  77. du ディレクトリ・ファイル単位の使用量
  78. lscpu CPU 情報の表示
  79. lsmod 読み込み済みカーネルモジュール一覧
  80. lspci PCI デバイス一覧
  81. dmesg カーネルリングバッファの表示
  82. w ログイン中ユーザーと負荷の表示
  83. ping ホストへの到達性とラウンドトリップ確認
  84. traceroute ホストまでの経路を表示
  85. netstat ネットワーク接続・ルーティング表示 (旧式)
  86. ss netstat 後継、ソケット統計
  87. ifconfig ネットワークインターフェース表示・設定 (旧式)
  88. dig DNS リゾルバ問い合わせの定番
  89. route ルーティングテーブル表示 (旧式)
  90. iptables Linux パケットフィルタリング
  91. telnet TCP 接続診断・古典的リモートログイン
  92. arp ARP テーブルの表示・編集 (旧式)
  93. useradd ユーザーアカウントの作成
  94. usermod 既存ユーザーアカウントの変更
  95. userdel ユーザーアカウントの削除
  96. passwd パスワードの変更・管理
  97. groupadd グループの追加
  98. id ユーザーとグループの ID・所属を表示
  99. whoami 現在のユーザー名を表示
  100. su 別ユーザーに切り替え
  101. dnf Red Hat 系の次世代パッケージマネージャ (yum 後継)
  102. pacman Arch Linux のパッケージマネージャ
  103. echo 文字列・変数の出力
  104. export 環境変数の設定と継承
  105. alias コマンドの別名定義
  106. source / . スクリプトをカレントシェルで実行
  107. history コマンド履歴の表示・操作
  108. type コマンドの種別 (組み込み/関数/エイリアス/外部) を表示
  109. env 環境変数表示と一時設定でコマンド実行
  110. set シェルオプションと位置パラメータの操作
  111. unset 変数・関数の削除
  112. printf C 風書式付き出力
  113. systemctl systemd ユニットの管理
  114. service init.d 互換のサービス管理
  115. journalctl systemd ジャーナルログの参照
  116. crontab 定期実行ジョブの登録・編集
  117. at 指定時刻に 1 回だけコマンド実行
  118. umount ファイルシステムのアンマウント
  119. reboot システムを再起動
  120. halt システムを停止
  121. date 日付・時刻の表示と設定
  122. hostname ホスト名の表示・設定
  123. gzip ファイルを Deflate で圧縮
  124. gunzip gzip 圧縮ファイルの展開
  125. bzip2 高圧縮率の圧縮コマンド
  126. xz LZMA2 ベースの高圧縮コマンド
  127. zstd Facebook 製の高速圧縮コマンド
  128. dpkg Debian パッケージの低レベル操作
  129. rpm Red Hat パッケージの低レベル操作
  130. snap Canonical の sandbox パッケージマネージャ
  131. apt Debian/Ubuntu の高レベルパッケージマネージャ
  132. 7z 7-Zip コマンドラインツール