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断面図とは|切断線の見方・矩計図との違い・階高と天井高の読み方をやさしく解説

図面・法規 · 09

断面図とは

建物を縦にスパッと切り、その切り口を真横から見た図が断面図です。床の高さ、天井の高さ、梁の大きさ、地盤との関係など、平面図や立面図だけでは分からない「高さの内訳」を表します。切断位置の示し方、矩計図との違い、読み方の手順を具体的に整理します。

この記事の要点

  • 断面図は建物を垂直に切り、切り口とその奥に見えるものを真横から描いた図
  • 切断位置は平面図に切断線と矢印で示す。矢印の向きが見る方向で、A–A のような符号で断面図と対応させる
  • 読み取る中心は高さ。GL・各階 FL・階高・天井高・梁成・天井懐・軒高・最高高さ
  • 断面図は建物全体の高さ関係、矩計図は外壁 1 か所の各層の構成と納まり。縮尺と目的が違う
  • BIM では平面ビューに断面線を置くと断面ビューが生成され、切断位置を動かせば断面も追従する

断面図(だんめんず)は、建物を鉛直方向に切断し、その切り口を横から見た図面で、英語では section と呼ばれます。平面図が「どこに何があるか」を、立面図が「外からどう見えるか」を示すのに対し、断面図は「上下方向にどう積み重なっているか」を示します。図面の種類の全体像は 建築図面の種類 で紹介しているので、本記事では断面図を読み書きするうえで必要な約束ごとを掘り下げます。

1断面図とは — 縦に切って横から見る

断面図は、建物を地面に対して垂直な面で切り、片側を取り除いて、切り口を正面から見た図です。平面図と同じように、見えるものは 2 種類あります。刃物で切られた切り口(床スラブ・壁・梁・屋根・基礎など)と、切断面の奥に切られずに見えている見えがかり(奥の壁にある窓やドア、奥の部屋の壁の輪郭など)です。切り口は太線や塗りつぶしで、見えがかりは細線で描き分けるのが一般的です。

断面図は、建物を構成する「水平の層」を一目で見せられる唯一の図面です。地盤からどれだけ床が上がっているか、各階の床がどの高さにあり、天井がどこにあるか、屋根がどの角度でどこまで伸びているかが、1 枚の中で縦の寸法とともに示されます。立面図にも高さの基準線は描かれますが、室内の天井や床の厚みは外から見えないため、高さの内訳は断面図で初めて分かります。

2切断位置の示し方 — 切断線と矢印

断面図は「どこで切ったか」が分からなければ読めません。そのため、切断位置は平面図(場合によっては配置図)の上に切断線で示します。一般的には一点鎖線で切断位置を引き、両端を太くして、そこに矢印と符号を付けます。矢印の向きが見る方向、符号が断面図の名前で、平面図に「A」と書かれた切断線があれば、それに対応する図が「A–A 断面図」です。

平面図(切断位置を記入) A A 一点鎖線=切断位置 / 矢印=見る向き A–A 断面図 切断面(太線・塗り) 奥の見えがかり(細線)
図: 平面図の切断線 A–A を矢印の向きに見たものが A–A 断面図。切られた床・壁・屋根は太く、奥に見える窓やドアは細い線で描く(模式)

断面図は 1 方向だけでは建物の形が分からないため、一般的には直交する 2 方向以上で描きます。長方形の建物なら長手方向と短手方向、通り芯でいえば X 方向と Y 方向にそれぞれ 1 枚以上です。どこで切るかは任意ですが、情報が多く得られる位置を選ぶのが基本で、階段・吹抜け・天井高が変わる部分・床の段差・屋根形状が変わる部分を通るように切断線を引きます。断面図を読むときは、必ず平面図に戻って切断線の位置と矢印の向きを確かめ、図の左右が平面図のどちら側にあたるかを決めてから読み始めます。

切断線は 1 本の直線である必要はなく、途中で直角に折れ曲がった切断線を使うこともあります。見せたい階段と吹抜けが一直線上に並んでいない場合などに、1 枚の断面図に両方を入れるための工夫です。折れ曲がりがある断面図では、図の中で切断面が奥行き方向にずれている点に注意して読みます。

3断面図で読み取る高さ — 階高・天井高・梁成

断面図の主役は高さの寸法です。基準となる GL・FL の定義は 通り芯・基準線・レベル(GL/FL) で解説しているので、ここでは断面図の中でそれらがどう組み合わさるかに注目します。

2FL 1FL GL 階高 天井高(CH) 天井懐 梁成 床高 天井 床スラブ 階高 = 天井高 + 天井懐 + 上階の床の厚み
図: 階高は床から上階の床まで、天井高は床から天井まで。その差が天井懐と床の厚みで、梁や設備ダクトは天井懐に納める(模式)
用語意味断面図での見方
GL地盤面の高さ。設計上の基準レベルとして使う建物の外側に太い水平線で描かれる。敷地に高低差があれば傾いた地盤線になる
床高GL から 1 階の床(1FL)までの高さ基礎の立ち上がりと床の構成から決まる
FL各階の床仕上げ面の高さ1FL・2FL…と各階の床に基準線が引かれる
階高ある階の FL から直上階の FL までの高さ建物の脇に縦の寸法で並ぶ。各階の階高を足すと建物の高さの骨格になる
天井高(CH)床仕上げ面から天井仕上げ面までの高さ室ごとに記入。同じ階でも部屋によって違うことがある
梁成梁の上端から下端までの高さ(梁の背の高さ)切り口に現れる梁、または見えがかりの梁として描かれる
天井懐天井から上階の床スラブ下までの空間梁・ダクト・配管がここに納まるかを確認する

この中で最も実務的なのが、階高と天井高の差です。階高から天井高と上階の床の厚みを引いた残りが天井懐で、ここに梁や空調ダクト、配管、照明器具が納まらなければなりません。梁成が大きい構造や、太いダクトが通る建物では天井懐を大きく取る必要があり、天井高を確保するためには階高を上げることになります。断面図は、こうした意匠・構造・設備の取り合いを高さ方向で確認する図面でもあります。梁の役割そのものは 主要構造部 を参照してください。

天井高については、建築基準法施行令で居室の天井の高さを 2.1m 以上とすることが定められており、1 室の中で天井高が異なる場合は平均の高さで判断します。また、最下階の居室の床が木造である場合は、原則として直下の地面から床の上面までを 45cm 以上とする規定があります(床下を防湿上有効な措置で覆う場合などの例外あり)。断面図はこうした規定を満たしていることを示す図にもなります。

4断面図と矩計図の違い

断面図とよく混同されるのが矩計図(かなばかりず)です。どちらも建物を縦に切った図ですが、目的・範囲・縮尺がはっきり異なります。

観点断面図矩計図
目的建物全体の高さ関係を示す外壁まわりの各層の構成と納まりを示す
範囲建物を端から端まで切った全体外壁の 1 か所を基礎から屋根まで切り出した帯状の範囲
縮尺の目安1/100〜1/200 程度1/20〜1/50 程度
描かれる情報GL・FL・階高・天井高・軒高・最高高さ・室名上記に加え、基礎・床組・断熱材・防水層・下地・仕上げの材料と厚み
主に使う場面基本設計・確認申請・全体の検討実施設計・施工(現場での納まりの確認)
○ 断面図で確認する
2 階の天井高は足りているか、吹抜けの高さはどれくらいか、屋根の最高点はどこか
△ 矩計図で確認する
外壁の断熱材の厚み、サッシ下の水切りの納まり、床と基礎の取り合い

断面図は建物を「引いて」見る図、矩計図は外壁に「寄って」見る図と考えると区別しやすくなります。断面図で全体の高さ関係を確定し、その中の代表的な外壁部分を矩計図で詳細化する、という順番で作られるのが一般的です。

5断面図の読み方 — 下から上へ

断面図は高さ方向の情報が積み重なった図なので、地面から順に上へ読んでいくと迷いません。

1切断位置と向き
›
2GL と床高
›
3各階の階高
›
4室ごとの天井高
›
5屋根・軒・最高高さ
  1. 切断位置と向きを確認する。図名の符号(A–A など)を平面図の切断線と照合し、矢印の向きから図の左右が平面図のどちら側かを決めます。縮尺も確認します(縮尺の読み替えは 縮尺と寸法表記 を参照)。
  2. GL と床高を読む。地盤線の位置、敷地の高低差、1 階の床が地面からどれだけ上がっているかを確認します。
  3. 各階の階高を読む。1FL から順に、各階の FL と階高を縦の寸法でたどります。合計すると建物の高さの骨格が分かります。
  4. 室ごとの天井高を読む。切断面にある各室の室名と天井高を確認し、梁が天井より下に出ていないか、天井懐が十分かを見ます。
  5. 屋根・軒・最高高さを読む。屋根の勾配、軒の出、軒高、建物の最高高さを確認します。敷地境界線や道路境界線が描かれていれば、建物との位置関係もここで読みます。

確認申請に添える断面図では、斜線制限の検討線(道路斜線や隣地斜線など)を断面図に重ねて描き、建物がその内側に収まっていることを示すこともあります。斜線制限の考え方は 用途地域・容積率・建蔽率 で扱っています。

6確認申請での断面図

断面図は 確認申請 の申請図書にも含まれます。建築基準法施行規則では断面図を「2 面以上」とし、地盤面、各階の床と天井の高さ、軒や庇の出、建築物の各部分の高さ、軒の高さ、建築物の高さなどを明示するよう定めています。高さ制限や天井高・床高の規定への適合は、主にこの断面図で確認されます。必要な記載内容は建物の規模や地域によって変わるため、具体的には申請先の審査機関の案内で確認してください。

BIM の断面ビュー — 切断線がそのまま図面になる

2D CAD では、断面図は平面図や立面図の寸法を拾いながら手で描き起こすもので、平面の変更が断面図に反映されていないという食い違いが起こりがちでした。BIM では、平面ビューに断面記号(切断線)を配置すると、その位置でモデルを切った断面ビューが自動で作られます。Revit では断面記号を動かしたり向きを反転したりすると、断面ビューもその場で追従します。

平面ビュー断面線を配置
→
断面ビュー自動で生成
→
シート断面図として出力

モデルに梁やダクトが入っていれば、断面ビューで天井懐への納まりをそのまま確認できます。ただし、図面として必要な高さ寸法や室名、天井高の表記は人が整える必要があり、どこで切るかを決めるのも設計者の判断です。

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  1. 建築図面の種類
  2. 通り芯・基準線・レベル(GL/FL)
  3. 縮尺と寸法表記
  4. 建築基準法の基礎
  5. 確認申請とは
  6. 用途地域・容積率・建蔽率
  7. 立面図とは
  8. 平面図とは
  9. 断面図とは

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