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通り芯・基準線・レベル(GL/FL)
建物のどこを基準に位置を測るか。平面方向の物差しが「通り芯」、高さ方向の物差しが「レベル」です。図面の補助線にとどまらず、Revit などの BIM では建物の骨格となるオブジェクトそのもの。最初に押さえるべき土台を整理します。
この記事の要点
- 通り芯は建物の位置を決める基準線。X方向・Y方向に格子状に引き、X1/Y1 のように符号を付ける
- 高さの基準はレベルで表す。GL(地盤面)・FL(床面)・SL(構造躯体上端)などがある
- 階高は床から上階の床までの高さ、天井高は床から天井までの高さ。両者は別物
- Revit の「通り芯(Grid)」「レベル(Level)」は、この基準線・基準高さがそのままモデル要素になったもの。柱・壁・梁は基準に紐づき、基準を直すと追従する
建築の図面やモデルでは、まず「どこを基準に位置を測るか」を決めます。平面方向の基準が 通り芯、高さ方向の基準が レベル です。これらは図面を描くための補助線というだけでなく、Revit をはじめとする BIM ツールではモデルの骨格を成すオブジェクトそのものです。建物の位置や高さは、座標値そのものよりも「通り芯 X3、2階 FL から +2400」のような相対的な位置で語られる場面が多く、この基準の仕組みを理解しておくと図面もモデルもぐっと読みやすくなります。
1通り芯(平面方向の基準線)
通り芯(とおりしん)は、建物の柱や壁の中心を通す基準線です。平面図上に格子状(グリッド)に引かれ、一方向を数字(X1, X2, X3…)、直交する方向を英字(Y1, Y2… あるいは A, B, C…)で符号付けします。柱や壁はこの通り芯に合わせて配置されるため、通り芯は「建物の座標系」のように機能します。
- たとえば横方向に X1〜Xn と番号付け
- 「X3 と Y2 の交点に柱がある」のように交点で位置を特定する
- それに直交する縦方向に Y1〜Yn または A〜n で符号付け
- 通り芯間の距離をスパンと呼び、構造の架構を決める基本寸法になる
意匠図・構造図・設備図のすべてが同じ通り芯を共有することで、各図面の位置が一致します。逆に言えば、通り芯がズレると全系統がズレるため、通り芯は最初に確定し、安易に動かさない基準です。施工現場でも、通り芯は地面に墨を打つ(墨出し)ことで実際の位置として写し取られ、そこを起点に柱や型枠が建てられます。つまり通り芯は図面の中だけの線ではなく、設計から施工まで一貫して使われる「建物共通の物差し」です。
なお通り芯は必ずしも等間隔ではありません。大きな空間が必要な場所はスパンを広く、構造的に支えたい場所は狭くと、設計意図に応じて間隔が変わります。柱を抜きたい部分には通り芯があっても柱を置かないこともあります。通り芯どうしの交点に必ず柱があるとは限らない、という点は図面を読むうえで押さえておきたいところです。
2レベル:GL・FL・SL(高さ方向の基準)
高さの基準を レベル と呼びます。代表的なものを整理します。
| 記号 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
| GL | Ground Level(地盤面) | 建物が建つ地面の高さ。多くの高さ寸法の起点になる |
| FL | Floor Level(床面) | 各階の仕上げ床面の高さ。1FL, 2FL のように階ごとに設定する |
| SL | Slab Level(構造床面) | 仕上げを除いた構造躯体(スラブ)上端の高さ。FL より少し下になる |
| BM | Bench Mark(基準点) | 敷地周辺に設けた測量上の高さ基準。GL の根拠になる |
FL と SL は混同しやすい点です。FL は人が歩く仕上げ床の高さ、SL はその下にある構造体(コンクリートスラブ)の高さで、仕上げ材やモルタルの厚みぶんだけ差があります。図面で「FL+1000」とあれば仕上げ床から1m上、という意味です。設備の取り付け高さやコンセント・スイッチの位置は FL を起点に表記されることが多く、一方で構造躯体の高さは SL を起点に表記されます。どの基準からの高さなのかを取り違えると、仕上げ厚ぶんの誤差が積み重なるため注意が必要です。
GL も実は一意ではありません。敷地に高低差があると地盤面の高さは場所によって変わるため、設計では平均的な地盤面(設計 GL)を定めて高さの起点にします。敷地全体の高さ管理の根拠には、敷地外の動かない点に設けた BM(ベンチマーク)を用います。BM から設計 GL を決め、GL から各階の FL を積み上げる、という順で建物全体の高さが定まっていきます。
3階高と天井高の違い
高さに関する2つの用語も区別が必要です。
ある階の床面から、直上階の床面までの高さ。建物の積み上がりを決める寸法で、断面図で確認する
床面から、その階の天井までの高さ。室内空間の高さで、居住性や法規(採光・換気)に関わる
階高は「2FL − 1FL」のような床どうしの距離、天井高は「1FL から1階の天井まで」の距離です。階高の中には、天井高に加えて天井裏(設備配管が通る空間=ふところ)や床スラブの厚みが含まれます。設備の配管ルートを考えるとき、この天井ふところの寸法が効いてきます。たとえば階高が同じでも、天井ふところを広く取れば天井高は低くなり、配管の自由度は上がります。逆に天井高を確保したいと天井ふところが狭くなり、設備配管が窮屈になります。階高・天井高・天井ふところは、意匠・構造・設備の要求のバランスで決まる、3者の調整点です。
これらの高さ関係は断面図で確認します。断面図には GL から各階の FL、各階の天井、屋根までの高さが寸法として書き込まれており、建物がどう積み上がっているかを縦方向に読み取れます。平面図が「ある階を水平に見た情報」、断面図が「高さ方向の情報」を担うため、両者を合わせて初めて建物の立体が把握できる、という関係は通り芯(平面)とレベル(高さ)の役割分担にそのまま対応します。
Revit の通り芯・レベルはこれそのもの
ここまでの「通り芯」「レベル」は、Revit においてそのままモデル要素になります。Revit の Grid(通り芯) は X1/Y1 といった符号を持つ基準線で、Level(レベル) は 1FL/2FL といった高さの基準面です。柱・壁・梁などの部材は通り芯やレベルに紐づけて配置されるため、通り芯を動かすと関連部材が追従し、レベルの高さを変えると床や壁の高さが連動します。
つまり建築でいう基準線・基準高さの考え方を理解していれば、Revit の Grid と Level の挙動はそのまま理解できます。壁や柱は絶対座標の数値で「ここに置く」のではなく、「このレベルの上に、この通り芯に沿って」という相対的な定義を持つ点がポイントです。具体的な操作やデータ構造は レベルと通り芯 で詳しく解説しています。
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