◀ 7.

立面図とは|平面図・断面図との違いと読み方、東西南北4面と高さ表記をやさしく解説

▶
図面・法規 · 07

立面図とは

建物を外から真横に眺め、外観をそのまま描いた図面が立面図です。東西南北の 4 面で建物の「顔」と「高さ」を表します。何が描かれているのか、平面図・断面図とどう役割を分けているのか、どの順番で読めばよいのかを具体的に整理します。

この記事の要点

  • 立面図は建物を切らずに外から真横に見た図。東・西・南・北の 4 面を描くのが基本
  • 「南立面図」は南側を向いている外壁を正面から見た図。見る人は建物の南側に立っている
  • 描かれるのは外観の形・開口部の位置と大きさ・屋根形状・外装仕上げ・GL/FL・軒高・最高高さ
  • 平面図は「水平に切る」、断面図は「垂直に切る」、立面図は「切らずに外から見る」。内部の天井高や床の厚みは立面図では分からない
  • BIM では立面図はモデルから立面ビューとして生成され、モデルを直せば自動で追従する

立面図(りつめんず)は、建物の外側を真横から見た姿を描いた図面です。英語では elevation と呼ばれ、図面集では「東立面図」「南立面図」のように方位名を付けて並びます。図面の全体像は 建築図面の種類 で整理しているので、本記事では立面図そのものに絞り、描かれている情報の意味、読み方の手順、方位の付け方の約束ごと、確認申請での扱いまでを一段深く解説します。

1立面図とは — 「切らずに外から見る」図面

平面図や断面図は、建物を仮想的にスライスして、その切り口を見せる図面です。これに対して立面図は建物をどこも切らず、外に立って壁面と平行な向きから眺めた姿を描きます。遠近法は使わず、建物のどの部分も同じ縮尺で描く「正投影」なので、図面上で測った長さに縮尺の分母を掛ければ実際の寸法が求められます。この点が、手前が大きく奥が小さく見える外観パース(完成予想図)との決定的な違いです。パースは雰囲気を伝えるための絵、立面図は寸法を読み取るための図面と考えると区別しやすくなります。

立面図で分かるのは、外から見える範囲の情報に限られます。窓の高さや屋根の形は分かりますが、窓の内側にある部屋の天井の高さや、床の厚み、壁の中の構造は描かれません。それらは断面図や矩計図の担当です。立面図は「外観をデザインし、外装工事の範囲と高さ関係を示す図面」と位置づけるのが正確です。

2東西南北の 4 面と、方位の付け方

四角い建物であれば外壁は 4 面あるため、立面図も 4 面描くのが基本です。ここで最も混乱しやすいのが名前の付け方です。一般的に「南立面図」は南を向いている外壁を描いた図で、見る人は建物の南側に立って北の方向を見ています。「南から見た図」と「南に向かって見た図」を取り違えると、窓の位置が左右逆に見えてしまうので注意が必要です。

建物 (上から見た形) 北立面図 北側に立ち、北を向く外壁を見る 南立面図 南側に立ち、南を向く外壁を見る 西立面図 西を向く外壁を見る 東立面図 東を向く外壁を見る N
図: 立面図の名前は「どの方位を向いている外壁か」で付ける。矢印は見る人の視線の向き

実際の敷地では建物が真北に対して斜めに建っていることも多く、その場合は外壁が向いている方位に近いほうの名前を付けるのが一般的です。斜め 45 度に近いなど方位で呼びにくいときは、「A 面・B 面」「X1 通り側立面図」のように面の記号や 通り芯 の名前で呼び分ける方法もとられます。どの呼び方でも、図面集の中で配置図や平面図の方位記号と照らし合わせて、どの面を描いたものかを確かめるのが基本です。

L 字形やコの字形の建物では、同じ方位を向く外壁が奥と手前に複数現れます。立面図ではそれらが重なって描かれ、手前の壁が奥の壁を隠します。奥まった壁面は線が見えにくくなるため、入り隅(へこんだ部分)の外観をきちんと示したい場合には、展開した立面や部分的な立面図を追加することもあります。

3立面図に描かれる情報

立面図には「形」「開口」「仕上げ」「高さ」の 4 種類の情報が重ねて描かれます。それぞれ何を読み取るためのものかを整理しておきましょう。

外観の形輪郭・屋根・庇
  • 建物の外形線、屋根の形と勾配(例: 4/10 のように表記)
  • 軒・庇・バルコニー・手すり・外階段の出
  • 雨樋や換気口、屋外機置き場など外部に現れる要素
開口部窓・出入口
  • 窓やドアの位置・幅・高さ、上下の並び
  • 建具の種類(引違い・すべり出しなど)を示す建具記号や符号
  • 建具符号は建具表と対応し、詳細はそちらで確認する
外装仕上げ材料と範囲
  • 外壁・屋根・軒裏などの仕上げ材と色を引出線で記入
  • 仕上げが切り替わる位置(目地や見切り)
  • 同じ材料でも張り方向や色違いの範囲が分かる
高さGL・FL・軒高・最高高さ
  • 地盤面の基準となる GL と、各階の床の高さ FL
  • 軒の高さ、建物の最も高い部分の高さ
  • 各レベル間の寸法(階高)を縦に並べて記入

高さの情報は立面図の中でも特に重要です。図面の脇には GL・1FL・2FL・軒高・最高高さといった水平の基準線が引かれ、それぞれの間の寸法が書き込まれます。GL や FL の定義は 通り芯・基準線・レベル(GL/FL) で詳しく扱っていますが、立面図を読むうえで押さえておきたいのは、設計上の GL と法規上の地盤面は必ずしも一致しないという点です。建築基準法で建物の高さや軒の高さを測る起点は原則として「地盤面」で、敷地に高低差があれば建物が地面と接する位置の平均の高さで算定します。図面に書かれた「GL」が設計の基準レベルを指しているのか、算定した地盤面を指しているのかは、凡例や特記で確認する必要があります。

最高高さ 軒高 2FL 1FL GL 屋根:材料と勾配を記入 外壁:仕上げ材と色 開口部:位置・大きさ 南立面図(模式)
図: 立面図の脇に高さの基準線(GL・1FL・2FL・軒高・最高高さ)を並べ、外装仕上げと開口部を引出線で注記する

4平面図・断面図との違い

立面図は単独では情報が足りず、平面図・断面図と組み合わせて初めて建物の形が確定します。3 つの図面の守備範囲を比べると、立面図の役割がはっきりします。

観点立面図平面図断面図
見方切らずに外から真横に見る床から約 1〜1.5m で水平に切り、上から見る垂直に切り、切り口を横から見る
分かること外観・窓の配置・仕上げ・外形の高さ間取り・壁と柱の位置・建具の開き方階高・天井高・床や屋根の厚み・地盤との関係
分からないこと室内の間取り・天井高・壁の厚み高さ方向の寸法・外観の見え方切断位置以外の部屋の配置・外装の全体像
枚数の目安外壁の面の数(通常 4 面)階の数だけ建物の形に応じて縦横の 2 方向以上

たとえば立面図で 2 階の窓が床からどのくらいの高さにあるかを知りたいとき、立面図の 2FL の線から窓の下端までを測れば外から見た位置は分かります。しかし、室内側でその窓の下に腰壁があるのか、床からどれだけの高さに見えるのかは、断面図や展開図で確かめます。立面図で外観の印象を掴み、平面図で位置を、断面図で高さの内訳を確認する、という往復が図面を読む基本動作です。

5立面図の読み方 — 5 つの手順

初めて立面図を見ると、線と文字が多くてどこから読めばよいか迷います。次の順番で読むと、情報を取りこぼしにくくなります。

1図名・方位
›
2縮尺
›
3高さの基準線
›
4開口部
›
5仕上げ・付属物
  1. 図名と方位を確認する。「南立面図」なら南を向く外壁です。平面図の方位記号と照らし合わせ、図の左端・右端が平面図のどの角にあたるかを先に決めておくと、窓の位置を取り違えません。南立面図では、図の左が西側、右が東側になります。
  2. 縮尺を確認する。立面図は一般的に 1/100 で描かれ、住宅など小規模な建物では 1/50、大規模な建物では 1/200 が使われることもあります。縮尺による長さの読み替えは 縮尺と寸法表記 を参照してください。
  3. 高さの基準線を上から順にたどる。最高高さ・軒高・各階 FL・GL の値と、その間の寸法を読みます。建物全体のボリューム感と、各階の階高がここで掴めます。
  4. 開口部を確認する。窓やドアの位置、大きさ、建具符号を読み、平面図の同じ位置に同じ建具があるかを照合します。立面図と平面図で窓の数や位置が食い違っていれば、どちらかの描き漏れです。
  5. 仕上げと付属物を読む。外壁・屋根の仕上げ材、色、切り替え位置、樋や換気口、設備機器の位置を確認します。外装の見積もりや施工範囲はここから拾います。

4 面の立面図を並べて、角の部分が隣の面とつじつまが合っているかを見るのも有効な確認方法です。南立面図の右端(東側の角)に見える庇の出や屋根の形は、東立面図の左端にも同じ形で現れているはずです。

6確認申請での立面図の位置づけ

建物を建てる前に行う 確認申請 でも、立面図は申請図書の一つです。建築基準法施行規則では、申請に添える図書として立面図・断面図をそれぞれ「2 面以上」とし、立面図には縮尺や開口部の位置、延焼のおそれのある部分の外壁・軒裏の構造などを明示するよう定めています。実務では 4 面すべてを添えることが一般的です。

確認申請用の立面図では、デザインの見せ方よりも法規に関わる情報の明示が重視されます。たとえば防火上の規制がかかる地域では、延焼のおそれのある部分にある窓が防火設備かどうかが審査の対象になるため、その範囲と建具の仕様が読み取れるように描きます。最高高さや軒高も、高さ制限や斜線制限の確認に使われます(斜線制限との関係は 用途地域・容積率・建蔽率 を参照)。必要な記載事項は建物の規模・構造・地域によって変わるため、具体的には申請先の審査機関の案内で確認してください。

BIM では立面図は「描く」から「生成する」へ

2D CAD では 4 面の立面図をそれぞれ別に描いていたため、平面図で窓を 1 つ動かすと立面図も手で直す必要がありました。BIM ではモデルが 1 つあり、立面図はそれを外から見た立面ビューとして生成されます。Revit であれば、テンプレートから新規プロジェクトを作ると東西南北の立面ビューと、平面図上の立面記号があらかじめ用意されており、モデルの窓を動かせばすべての立面ビューに自動で反映されます。

モデル1 つの 3D
→
ビュー東西南北の立面
→
シート立面図として出力

ただし、自動生成されるのは形と線までです。仕上げの注記、高さ寸法の配置、見せたくない線の整理などは人が整える必要があります。レベル(GL・FL)は立面ビュー上でも編集でき、ここで動かした高さがモデル全体に効く点が 2D CAD との大きな違いです。

→次に読む

Post Share
子ページ

子ページはありません

同階層のページ
  1. 建築図面の種類
  2. 通り芯・基準線・レベル(GL/FL)
  3. 縮尺と寸法表記
  4. 建築基準法の基礎
  5. 確認申請とは
  6. 用途地域・容積率・建蔽率
  7. 立面図とは
  8. 平面図とは
  9. 断面図とは

最近更新/作成されたページ