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平面図とは|切断高さの考え方・建具や階段の記号・配置図との違いと読み方をやさしく解説

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図面・法規 · 08

平面図とは

建物を床から 1m 少々の高さで水平に切り、上から見下ろした図が平面図です。間取りを知るための最も基本的な図面ですが、「どの高さで切っているか」「線の太さや記号が何を表すか」を知らないと正しく読めません。切断高さの考え方、主要な記号、配置図・天井伏図との違い、読み方の順番を整理します。

この記事の要点

  • 平面図は各階を床から約 1〜1.5m の高さで水平に切り、切り口と下にあるものを上から見た図
  • この高さで切るのは、壁・柱・窓・ドアがすべて切り口に現れるから
  • 切られたものは太線、切断面より下に見えるものは細線、上にあるものは破線などで描き分ける
  • 主要な記号は 建具(開き戸・引戸・窓)、壁、階段、寸法線、通り芯。開き戸の円弧は開く向きを示す
  • 配置図は敷地全体、天井伏図は天井面を表す。平面図は「各階の床まわり」を表す図面

平面図(へいめんず)は、建物の各階を水平に切断して上から見た図面で、英語では floor plan と呼ばれます。間取り図としてなじみがある一方、設計図書としての平面図には、壁の構造、建具の開き方、通り芯と寸法、階段の昇り方向など、多くの約束ごとが詰め込まれています。図面全体の位置づけは 建築図面の種類 で概観しているので、本記事では平面図の「切り方」と「記号」に踏み込んで解説します。

1平面図とは — 水平に切って上から見る

平面図は、ある階の床から一定の高さで建物を水平に切り、上半分を取り除いて、残った下半分を真上から見下ろした図です。見下ろしたときに見えるものは 2 種類あります。ひとつは刃物で切られた切り口(壁・柱・窓・ドアなど)、もうひとつは切断面より下にあって切られずに見えている見えがかり(床の段差・キッチンカウンター・便器・階段の下のほうの段など)です。平面図は、この 2 つを線の太さで描き分けています。

平面図は階ごとに 1 枚ずつ描くのが基本で、「1 階平面図」「2 階平面図」と呼びます。図面集の中では各階平面図をまとめて扱うことが多く、地下階や塔屋(屋上に突き出た階段室など)がある建物ではそれらの階も描きます。屋根を上から見た図は屋根伏図と呼ばれ、平面図とは区別されます。

2切断高さの考え方 — なぜ床から約 1〜1.5m なのか

平面図の切断高さに法律上の決まりがあるわけではなく、一般的には床から約 1〜1.5m の高さで切ると考えます。この高さが選ばれるのは、壁・柱・窓・ドアがすべて切り口に現れるからです。腰窓は床から 1m 前後の位置に下端があることが多く、ドアは床から 2m 程度まであるため、この範囲で切れば窓もドアも「開口」として切り口に表れます。もっと低い位置で切ると窓が描かれず、高い位置で切るとドアの上の壁を切ってしまい、出入口が描かれません。

台 吊戸棚 切断面(床から約 1〜1.5m) 床から 上から見下ろす この間の窓・ドア・壁が切り口に現れる 切り口 太線で描く 下の見えがかり 細線(台・段差など) 上にあるもの 破線などで示す
図: 床から約 1〜1.5m の高さで水平に切る。切り口は太線、下に見えるものは細線、切断面より上の吊戸棚などは破線で表すことが多い

切断面より上にあるもの、たとえば吊戸棚、高い位置の窓(高窓)、吹抜けの上部、天井から下がった梁などは、上から見下ろしても本来は見えません。ただ、それらの位置を平面図で伝えたい場合が多いため、一般的には破線や一点鎖線で「上にある」ことを示して描き加えます。どの線種で何を示すかは事務所や図面によって異なることもあるので、凡例があればそれに従って読みます。

階段は切断面の高さで途中を切られるため、切られた位置に斜めの破断線を入れ、そこから下の段だけを描くのが一般的です。上の階の平面図には同じ階段の上半分が現れるので、2 枚の平面図を重ねて 1 本の階段として理解します。

3平面図の主要な記号

平面図には、建具や壁を簡略化した記号が使われます。建築製図の表し方は JIS A 0150(建築製図通則)にまとめられており、多くの図面はこれを基本にしつつ、事務所ごとの慣例を加えて描かれています。ここでは読むうえで特に重要な記号を取り上げます。

壁(切断面・太線) 片開き戸(円弧=開く軌跡) 引違い戸・窓(ずれた 2 本) 階段(矢印=昇る向き) X1 通り芯(一点鎖線+符号) 3640 寸法線(単位 mm)
図: 平面図でよく使われる記号の模式。実際の描き方は図面の凡例や JIS A 0150 の表示記号に従う
記号描き方の要点読み取ること
壁切断された壁は太線で囲む。RC 造などでは材料を示すハッチングを入れることがある壁の位置と厚み、構造壁か間仕切り壁か
柱切り口を太線で描き、塗りつぶしやハッチングで示すことが多い柱の位置・大きさ、通り芯との関係
開き戸扉の板を線で描き、開く軌跡を円弧で示すどちらの室側へ、どちら向きに開くか。扉同士や家具との干渉
引戸・引違い戸を壁に沿った線で描き、引違いは 2 本を少しずらして描く引き込む方向、戸袋の位置
窓壁の切れ目に窓枠とガラスを細い線で描く。開閉方式ごとに記号が異なる窓の位置と幅。高さは立面図・断面図で確認
階段段を平行線で描き、矢印で昇る方向を示す。切断位置に破断線昇り口と昇る向き、段数、上階とのつながり
通り芯一点鎖線と、端の丸に付けた符号(X1・Y1 など)柱・壁の基準位置。他の図面との位置合わせの基準
寸法線寸法補助線の間に寸法線を引き、数値を mm で記入通り芯間隔(スパン)、壁や開口の位置

開き戸の円弧は読み落としやすいのに、使い勝手への影響が大きい記号です。円弧が描かれている側が扉の開く側で、円弧の中心が蝶番(吊元)の位置にあたります。廊下側に開くのか室内側に開くのか、扉を開けたときに照明スイッチや家具とぶつからないかは、この記号から読み取ります。通り芯の考え方と符号の付け方は 通り芯・基準線・レベル(GL/FL) で詳しく扱っています。

寸法は外側に向かって何段かに重ねて書かれるのが一般的です。壁や開口の細かな位置を示す寸法が内側に、通り芯の間隔が中ほどに、建物の全長が一番外側に並びます。外側の寸法から読んで全体の大きさを掴み、内側へ向かって細部を確認すると効率よく読めます。

4配置図・天井伏図との違い

平面図と同じく「上から見る」図面に、配置図と天井伏図があります。見る対象と向きが異なるので、取り違えないよう整理しておきましょう。

配置図

敷地全体を上から見た図。建物の外形・位置、隣地境界線や道路からの距離、方位、外構を示す。室内の間取りは基本的に描かない。

平面図

各階を床から約 1〜1.5m で切って上から見た図。間取り・壁・柱・建具・階段など床まわりの情報を示す。

天井伏図

各室の天井面を示す図。天井の仕上げ・高さ、照明器具や点検口、換気口などの位置を描く。

天井伏図は本来は下から見上げる面を描くものですが、一般的には平面図と重ねて照合できるよう、平面図と同じ向きに揃えて描かれます。そのため照明の位置を平面図の家具配置と見比べたり、天井高の変わる位置を間取りと対応させたりしやすくなっています。小規模な住宅では、配置図と 1 階平面図を 1 枚にまとめた「配置図兼 1 階平面図」が作られることもあります。

5平面図の読み方 — 外から内へ

平面図は情報量が多いため、決まった順番で読むと理解が早くなります。おすすめは「全体から細部へ、外から内へ」です。

1図名・縮尺・方位
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2通り芯と全体寸法
›
3出入口と動線
›
4各室と建具
›
5上下階との対応
  1. 図名・縮尺・方位を確認する。何階の平面図か、縮尺はいくつか(一般的には 1/100、住宅や詳細を示す場合は 1/50)、北がどちらかを最初に押さえます。縮尺の読み替えは 縮尺と寸法表記 を参照してください。
  2. 通り芯と全体寸法を読む。通り芯の本数と間隔、建物の全長から、建物の大きさと柱の並びを掴みます。
  3. 出入口と動線をたどる。玄関や主出入口から入り、廊下・階段を通って各室へ向かう経路を指でなぞります。扉の開き方向もここで確認します。
  4. 各室と建具を確認する。室名、室の大きさ(内法寸法)、窓の位置、水まわりの機器、収納などを読みます。建具に符号が振られていれば建具表と照合します。
  5. 上下階との対応を確かめる。階段の位置、吹抜け、上下に連続する柱や壁、配管の通るスペースが、他の階の平面図と食い違っていないかを確認します。

平面図だけでは高さが分からない点にも注意が必要です。床の段差は見えがかり線や床レベルの表記(FL±0、FL−50 のような表記)で示されますが、天井高や窓の高さは断面図・立面図で確認します。平面図に断面図の切断位置を示す記号が描かれていれば、その位置の高さ関係を断面図で追いかけることができます。

6不動産の間取り図と設計図の平面図の違い

住宅の購入や賃貸で目にする「間取り図」も平面図の一種ですが、設計図書としての平面図とは目的が異なります。間取り図は部屋の並びと広さの印象を伝えるための簡略図で、通り芯や詳細な寸法、壁の構造の描き分けは省かれ、縮尺も正確でないことがあります。設計図の平面図は施工や申請に使うため、寸法と記号で位置を正確に示します。

観点間取り図(販売・賃貸用)平面図(設計図書)
目的部屋の構成と広さの印象を伝える位置・寸法を正確に伝え、施工や申請に使う
広さの表し方「6 帖」など畳数で表すことが多い寸法(mm)と面積(m²)で表す
寸法・通り芯省略されることが多い通り芯と寸法が段状に記入される
壁・柱同じ太さの線で簡略化されることが多い切断面の太線、材料のハッチングなどで描き分ける

畳数による広さの表示は、1 畳あたりの面積が地域や基準によって異なるため、厳密な比較には向きません。不動産広告では業界の公正競争規約で 1 畳あたりの最低面積の目安が定められていますが、正確な広さを知りたいときは設計図の平面図の寸法や面積表で確認するのが確実です。

BIM の平面ビューと「ビュー範囲」

BIM では平面図もモデルから切り出す平面ビューとして生成されます。Revit では平面ビューごとに「ビュー範囲」という設定があり、切断面の高さ、見下ろす深さ、上方向に表示する範囲を数値で指定します。紙の図面で「床から約 1〜1.5m で切る」としていた考え方が、そのまま設定値として明示されているわけです。

切断面の高さを変えると、高窓が切り口として描かれたり、腰窓が描かれなくなったりします。平面ビューで窓が表示されないときは、まずビュー範囲の切断面がその窓の高さにかかっているかを疑うと原因に早くたどり着けます。

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