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共有パラメータの作り方と使い方
タグに表示したい、集計表に出したい――そんなときに欠かせないのが「共有パラメータ」です。外部ファイルに定義され、一意の GUID を持つこの仕組みを、なぜ必要なのか・どう作るのかから整理します。
この記事の要点
- 共有パラメータは外部の共有パラメータファイル(.txt)に定義され、各パラメータは一意の GUID を持つ
- 共有パラメータだけがタグに表示でき、スケジュール(集計表)に出せる。ファミリパラメータや非共有のプロジェクトパラメータではタグ表示できない
- 同じ定義を複数のファミリやプロジェクトで共有でき、IFC などへの書き出しにも使える
- 共有パラメータファイルは組織で一元管理する。GUID が変わると別物になるため、勝手に作り直さない
本記事は Revit カテゴリの一本として、実務で頻繁に登場する「共有パラメータ」を、これから建築・BIM を学ぶ人に向けて整理します。パラメータ全体の種類(プロジェクト/共有/グローバル/ファミリ)を先に把握したい場合は パラメータ(プロジェクト/共有/グローバル/ファミリ) を、要素の階層構造を知りたい場合は カテゴリ・タイプ・インスタンス をあわせて読むと理解が早くなります。
1共有パラメータとは
共有パラメータとは、Revit のプロジェクトやファミリの外側にある共有パラメータファイル(.txt 形式のテキストファイル)に定義されるパラメータのことです。ファミリの中だけに閉じたファミリパラメータや、1 つのプロジェクトにだけ存在するプロジェクトパラメータとは異なり、共有パラメータは定義そのものを外部ファイルとして持ち、必要なファミリやプロジェクトに読み込んで使います。
共有パラメータの最大の特徴は、各パラメータが一意の GUID(グローバル一意識別子)を持つことです。GUID は「名前が同じでも中身は別物になりうる」問題を避けるための背番号のようなもので、この番号が同じであれば、別のプロジェクトやファミリで使われていても「同じパラメータ」として整合が取れます。逆に GUID が違えば、たとえ名前が同じ「防火区画」というパラメータでも、Revit にとってはまったく別のパラメータとして扱われます。
別プロジェクトでも「同じパラメータ」として整合し、集計や連携が揃う
Revit には別物として扱われ、集計や連携がバラバラになる
2なぜ共有パラメータが必要か
共有パラメータを理解するうえで最も大切なのが、「何のために存在するのか」という点です。次の 4 つが代表的な役割です。
図面上の注釈(タグ)に値を表示できる。ドアや部屋に独自の情報を注記したいとき、共有パラメータでなければタグに拾えない。
集計表の列として並べて集計・出力できる。数量表や仕様表に独自項目を載せたいときの土台になる。
同じ定義(同じ GUID)を、いくつものファミリやプロジェクトで使い回せる。組織で統一した属性を持たせられる。
IFC など外部形式へのデータ書き出しに使える。他システムへ属性を引き渡す連携の入り口になる。
ここで押さえておきたいのは、ファミリパラメータや「非共有の」プロジェクトパラメータでは、タグに表示できないということです。「せっかく値を入れたのに、なぜかタグに出てこない」というつまずきの多くは、その値が共有パラメータではないことが原因です。タグやスケジュールに出したい属性は、はじめから共有パラメータとして用意する――これが実務の鉄則です。
| できること | 共有パラメータ | プロジェクトパラメータ(非共有) | ファミリパラメータ |
|---|---|---|---|
| タグに表示 | ○ | △(共有として追加すれば可) | × |
| スケジュールに出す | ○ | ○ | × |
| 複数ファイルで定義を共有 | ○(GUID で整合) | ×(そのプロジェクト内のみ) | ×(そのファミリ内のみ) |
| IFC などへ書き出し | ○ | △ | × |
※プロジェクトパラメータは基本的にそのプロジェクト内でしか通用しませんが、「共有パラメータをプロジェクトパラメータとして追加」した場合は、タグ表示も可能になります。次の見出しで詳しく見ていきます。
3こんな時に必要になる(実務の例)
具体例で見ると腹落ちします。ある建物のすべてのドア・窓・設備機器に「管理番号(資産番号)」を持たせ、それを ①図面にタグとして表示し、②維持管理用の集計表(スケジュール)にまとめ、③FM(施設管理)システムへ IFC で受け渡したい——という場面を考えます。
この管理番号をファミリパラメータや非共有のプロジェクトパラメータで作ってしまうと、そもそも図面にタグとして出せず、さらにドア・窓・設備という別々のファミリをまたいで“同じ項目”として集計することもできません。ここで詰まります。
そこで「管理番号」を共有パラメータ(共有パラメータファイルに GUID 付きで定義)として作ると、ドア/窓/設備の各ファミリにまったく同じ1つの項目として追加でき、タグ表示・複数カテゴリを横断した集計・IFC 書き出しがすべて成立します。これが「共有」でなければ実現できない核心です。
非共有パラメータ=「家の中だけで通じる“あだ名”」。家族(=そのファミリ/プロジェクト)には分かっても、役所の書類(=タグ)や他組織(=他プロジェクト)では通用しません。
共有パラメータ=「役所に登録した“正式な氏名+一意の登録番号(=GUID)”」。だから公的書類(タグ)にも申請書(集計表)にも書けて、別の役所(他プロジェクト・IFC)でも同一人物として照合できます。
管理番号をタグ表示・全設備を横断集計・IFC出力まで一気通貫。他案件でも同じ定義を再利用できる。
タグに出せない/ドア・窓・設備をまたいだ同一項目としての集計ができない。
他にも「メーカー品番」「メンテナンス周期」「設計単価」など、図面に注記したい・集計したい・外部システムに渡したい独自の属性は、すべて共有パラメータで持たせるのが定石です。
4プロジェクトパラメータとの違い
共有パラメータとよく混同されるのがプロジェクトパラメータです。両者は排他ではなく、組み合わせて使う関係にあります。
外部の .txt に定義され GUID を持つ。タグ・スケジュール・複数ファイルでの共有・書き出しの土台になる。
1 つのプロジェクトの中だけに存在する属性。スケジュールには出せるが、非共有のままではタグに表示できない。
ポイントは、共有パラメータを「プロジェクトパラメータとして追加」すると、タグ表示も可能になるという点です。つまり「共有パラメータファイルで定義した項目を、プロジェクトパラメータとしてプロジェクトに組み込む」という使い方をすることで、そのプロジェクト全体で使える属性でありながら、タグにもスケジュールにも出せる状態を作れます。共有パラメータかプロジェクトパラメータか、と二者択一で考えるのではなく、「共有パラメータで定義したものを、プロジェクトパラメータとして取り込む」と理解すると混乱しません。
5共有パラメータファイルの作り方
共有パラメータの定義は、Revit 本体ではなく共有パラメータファイルに保存されます。作成・参照は「管理」タブから行います。
「管理」タブの共有パラメータから、新しい共有パラメータファイルを作成するか、既存のファイルを参照します。ファイルの中では、まずグループ(パラメータを分類する見出しのようなもの)を作り、その中にパラメータを追加していきます。パラメータを作成すると、そのとき自動的に GUID が割り当てられます。
共有パラメータファイルの実体はテキスト(.txt)なので、ネットワーク共有フォルダなどに置いておけば、複数人・複数案件で同じファイルを参照し、定義を一元管理できます。全員が同じファイルを参照していれば GUID が揃うため、別プロジェクトでも同じパラメータとして整合が取れ、集計や連携がばらつきません。
テキスト形式のファイルに、グループとパラメータの定義(名前・データ型・GUID など)が記録される。人が直接編集するのではなく、Revit の共有パラメータ画面を通して操作するのが基本。
6ファミリへの追加手順
共有パラメータを実際にファミリで使うには、ファミリエディタから読み込みます。手順は次のとおりです。
ファミリエディタで「ファミリタイプ」を開き、パラメータを追加する。
パラメータの種類として「共有パラメータ」を選び、共有パラメータファイルから使いたい項目を選択する。
データ型・パラメータグループ・タイプ/インスタンスの区分を指定して確定する。
データ型は、扱う値に応じて長さ・文字列・整数・Yes/No などから選びます。たとえば寸法なら「長さ」、記号や名称なら「文字列」、有無の区別なら「Yes/No」といった具合です。あわせて、その値をタイプ単位で共有するか、インスタンス(配置した 1 個ごと)で個別に持たせるかを選びます。タイプ/インスタンスの考え方は カテゴリ・タイプ・インスタンス で詳しく扱っています。
運用のコツ — GUID は組織の資産
共有パラメータでいちばん事故が起きやすいのは、各自が思いつきで共有パラメータファイルを作り直してしまうケースです。名前が同じでも GUID が変わってしまえば、Revit にとっては別のパラメータになり、集計が二重になったり、連携先で値が拾えなくなったりします。共有パラメータファイルは組織で一元管理し、正式なファイルを全員が参照する運用を徹底しましょう。
「タグに出したい」「集計表に載せたい」「他システムへ引き渡したい」――これらの要望はすべて共有パラメータが起点になります。属性を設計する段階で、どの項目を共有パラメータにするかをあらかじめ決めておくことが、後戻りの少ない BIM 運用につながります。
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