トランザクションと要素編集
要素を取得したら、次はそれを編集・作成します。Revit ではモデル変更を「トランザクション」で囲むことが義務付けられています。安全に値を書き換え、要素を作るための作法を整理します。
この記事の要点
- モデルを変更する操作はすべて
TransactionのStart〜Commitで囲む必要がある - 失敗時は
RollBackで取り消せる。例外漏れを防ぐためusing文での管理が推奨 - パラメータは
get_Parameterで取得し、Parameter.Setで値を設定する(内部単位フィートに注意) - 壁・床などの要素は
Wall.Createのようなファクトリメソッドで作成する
この記事は Revit カテゴリの一部です。要素の集め方は 要素の取得とフィルタ、パラメータの基礎は パラメータ も参照してください。
1トランザクションの必須性
モデルへの変更(要素の作成・削除、パラメータ値の変更など)は、必ず Transaction の中で行わなければなりません。トランザクション外で変更しようとすると例外が発生します。これは元に戻す(Undo)の単位を明確にし、変更の一貫性を保つための仕組みです。
外部コマンドのクラスには [Transaction(TransactionMode.Manual)] を付け、コード内で明示的にトランザクションを開始・コミットするのが標準的な書き方です。
2Start / Commit / RollBack と using
トランザクションは Start で開始し、成功すれば Commit、失敗すれば RollBack で取り消します。例外発生時に確実に後始末するため、using 文で囲むのが定石です。
using Autodesk.Revit.DB;
using (Transaction tx = new Transaction(doc, "パラメータ更新"))
{
tx.Start();
try
{
// ここでモデルを変更する
Wall wall = doc.GetElement(wallId) as Wall;
Parameter p = wall.get_Parameter(BuiltInParameter.ALL_MODEL_MARK);
p.Set("W-001");
tx.Commit();
}
catch
{
tx.RollBack();
throw;
}
}
using を使うと、スコープを抜ける際に Dispose が呼ばれ、コミットされていないトランザクションは自動的にロールバックされます。トランザクション名(第 2 引数)は Undo メニューに表示されるので、分かりやすい名前を付けます。
3パラメータの取得と設定
パラメータの読み書きは編集の基本です。取得は get_Parameter(BuiltInParameter・Definition・GUID で指定。名前で探す場合は LookupParameter)、設定は Set を使います。値の型に応じて読み出しメソッドが分かれます。
| 値の型 | 読み出し | 設定 |
|---|---|---|
| 文字列 | AsString() | Set("文字列") |
| 数値(長さなど) | AsDouble() | Set(double)(内部単位フィート) |
| 整数・真偽 | AsInteger() | Set(int) |
| 要素参照 | AsElementId() | Set(ElementId) |
長さ系を mm で扱いたい場合は、UnitUtils.ConvertToInternalUnits でフィートに変換してから Set します。読み取り専用パラメータに Set すると失敗するため、IsReadOnly を確認すると安全です。
4要素の作成
壁・床・梁などの要素は、各クラスの静的ファクトリメソッドで作成します。たとえば直線の壁は Wall.Create を使います。
using (Transaction tx = new Transaction(doc, "壁を作成"))
{
tx.Start();
Line line = Line.CreateBound(
new XYZ(0, 0, 0), new XYZ(10, 0, 0)); // 単位はフィート
Wall wall = Wall.Create(
doc, line, levelId, false); // structural=false
tx.Commit();
}
座標を表す XYZ の値も内部単位(フィート)です。作成系メソッドは引数にレベル ID やタイプ ID を要求することが多いので、事前に FilteredElementCollector で取得しておきます。
5TransactionGroup
複数のトランザクションを論理的にひとまとまりにし、1 回の Undo で全体を戻したい場合は TransactionGroup を使います。グループを Start し、その中で複数のトランザクションを実行したあと、Assimilate(同化)で 1 つにまとめるか、RollBack で全体を取り消します。
using (TransactionGroup tg = new TransactionGroup(doc, "一括処理"))
{
tg.Start();
// 中で複数の Transaction を実行...
tg.Assimilate(); // すべてを1つの Undo 単位にまとめる
}
段階的に処理を進めつつ、最終的にユーザーには「1 操作」として見せたい複雑なツールで重宝します。たとえば「複数の壁を作成し、それぞれにパラメータを設定する」一連の処理を TransactionGroup でまとめておけば、ユーザーが Undo を 1 回押すだけで作成前の状態に戻せます。個々の Transaction をこまめに区切りつつ、利用者から見た操作単位は粗くまとめられる——この使い分けが、扱いやすいツールを作るうえで効いてきます。
「囲む」だけで安全になる
Revit のモデル編集は、すべて Transaction で囲むという一点さえ守れば、Undo・整合性・例外時のロールバックが自動的に保証されます。using 文を組み合わせれば例外漏れも防げ、複数操作をまとめたいときは TransactionGroup。取得 → トランザクション内で編集/作成 → コミットという型を身につければ、安全にモデルを書き換えられます。
編集ができるようになったら、ユーザーが操作する「入口」と「UI」を作りましょう。外部コマンド/アプリ でリボンボタンやモードレス対応を学べます。
→次に読む
パラメータを実際に読み書きする例は要素のパラメータ一覧の取得とFamilySymbol(タイプ)の取得とパラメータの変更にあります。
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