パラメータの種類と分類 — 総まとめと使い分け
ファミリ・共有・プロジェクト・グローバル・組込み。定義元・適用範囲・データ型という 3 つの軸でパラメータを整理し、「どんなときにどれを使うか」を 1 枚のフローで判断できるようにまとめます。
この記事の要点
- パラメータは 定義元(ファミリ・共有・プロジェクト・グローバル・組込み)と 適用範囲(タイプ/インスタンス)の 2 軸で分類できる
- 追加するパラメータのうちタグ(図面上の注釈)に表示できるのは共有パラメータだけ。これが種類選びで最も重要な分かれ道
- タイプパラメータは同じタイプ全体で共通、インスタンスパラメータは配置した 1 個ごとに値を持つ
- 迷ったら「タグに出す?→共有」「集計だけ?→プロジェクト」「全体で連動?→グローバル」でフロー的に選べる
この記事は Revit のパラメータを体系的に整理する「総まとめ」です。個々の種類のくわしい説明は パラメータ(種類の基礎) と 共有パラメータ にゆずり、ここでは すべての種類を一覧で見比べ、使い分けを判断する ことに絞ります。まず 2 つの分類軸を押さえましょう。
12 つの分類軸
Revit のパラメータは、性質の異なる 2 つの軸で分類すると整理しやすくなります。この 2 軸は独立していて、たとえば「共有パラメータで、かつインスタンスパラメータ」という組み合わせも普通に存在します。
- ファミリ / 共有 / プロジェクト / グローバル / 組込みの 5 種
- タグ表示や集計に使えるかが、これで変わる
- タイプ(同タイプ全体で共通) / インスタンス(1 個ごと)の 2 種
- 1 つ変えると全部に反映されるか、個別かが変わる
以降、まず定義元による 5 種を一覧で見比べ、次に適用範囲による 2 種、最後にデータ型を確認したうえで、使い分けのフローに進みます。
2定義元による 5 分類
「そのパラメータがどこで定義されたか」による分類です。次の表が本記事の中心で、種類ごとに 有効範囲・タグ表示の可否・集計(スケジュール)の可否・主な用途 を並べています。とくにタグ表示の列に注目してください。
| 種類 | 有効範囲 | タグ表示 | 集計(スケジュール) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ファミリパラメータ | 1 つのファミリ内部のみ | 不可 | 不可 | ファミリの寸法や動作を制御する(形状を駆動する) |
| 共有パラメータ | 外部ファイル(.txt)+ GUID で定義。複数ファミリ/プロジェクトで共有 | 可 | 可 | タグ表示・集計・複数ファミリ/プロジェクト共有・IFC 書き出し |
| プロジェクトパラメータ | 特定のプロジェクト内のみ | 不可(共有でなければ) | 可 | 1 プロジェクト内で属性を追加し、集計表にまとめる |
| グローバルパラメータ | プロジェクト全体で 1 つの値 | 不可 | ― | 複数の寸法/パラメータを連動させ、全体を一括制御する |
| 組込みパラメータ(BuiltInParameter) | Revit が最初から各要素に用意 | 種類による | 可 | 長さ・面積・体積・レベルなど既定の属性 |
それぞれのポイントを補足します。
そのファミリ(.rfa)の内部だけで有効。寸法や表示のオン/オフなど、ファミリの振る舞いを制御します。図面のタグに出したり集計表に集めたりはできません。
外部のテキストファイルと GUID(一意な識別子)で定義され、タグ表示・集計・複数プロジェクト共有・IFC 書き出しがすべて可能。連携で最も重要な種類です。→ 共有パラメータ
特定のプロジェクト内で要素に属性を足せます。集計表には出せますが、共有パラメータとして定義しない限りタグには使えません。
プロジェクト全体で 1 つの値を持ち、複数の寸法やパラメータを連動させます。たとえば「全ドアの高さ」を 1 つの値で一括制御するといった使い方です。
Revit があらかじめ用意している既定のパラメータ。長さ・面積・体積・レベルなど、要素が標準で持つ属性がこれにあたります。
「集計だけならプロジェクトでよいが、図面のタグにも出すなら共有」というように、やりたいことに合わせて種類を選びます。
3タグに出せるのは共有パラメータだけ
種類選びで最もつまずきやすいのがここです。図面上のタグ(注釈)に表示できる追加パラメータは、共有パラメータに限られます。プロジェクトパラメータをいくら作っても、それが共有パラメータでなければタグには出せません。
集計表にも出せて、図面のタグにも表示できる。複数プロジェクトで一貫させたいときの基本。
集計表には出せるが、タグには出せない。図面注記が必要になった時点で作り直しになりがち。
そのため、「この属性はいずれ図面のタグに出すかもしれない」と少しでも思うなら、はじめから共有パラメータで用意しておくのが安全です。あとから共有に切り替えるより、最初に共有で作るほうが手戻りが少なくて済みます。
4適用範囲による 2 分類
もう 1 つの軸が「値を持つ単位」です。これは定義元とは別の切り口で、同じ共有パラメータでもタイプ側にもインスタンス側にも設定できます。
| 種類 | 値を持つ単位 | 変更の影響 | 例 |
|---|---|---|---|
| タイプパラメータ | タイプ単位(同じタイプの全部で共通) | 1 つ変えると、そのタイプを使う要素すべてに反映 | ドアの幅・高さ、壁の厚さ・材質 |
| インスタンスパラメータ | インスタンス単位(配置した 1 個ごと) | その 1 個だけに反映 | 配置レベル、敷居高さ、コメント、個別のマーク番号 |
「全体で揃えたいものはタイプ、個別に持たせたいものはインスタンス」と覚えると取り違えにくくなります。タイプとインスタンスの違いは カテゴリ・タイプ・インスタンス でくわしく扱っています。
5データ型による分類
パラメータには、値の種類を表す データ型もあります。数値なのか文字なのか、長さなのか面積なのかを最初に決めておくと、集計や単位の扱いで事故が減ります。
長さ・面積・体積・角度など。単位を持ち、集計表で合計が取れます。
数値・整数・文字列など。番号やコメントなど、汎用的な情報に使います。
Yes/No(はい・いいえ)、材質、URL、画像など。用途に合わせて選びます。
データ型は途中で変えると値が失われることがあるため、パラメータを作る段階で「これは長さか、ただの数値か」をきちんと決めておくことが大切です。
6使い分けフロー
ここまでの内容を、実務での選び方としてまとめます。「まず何をしたいか」から出発すると、種類は次のように決まります。この分岐を 1 枚にしたのが下の図です。
- 図面のタグに出したい → 共有パラメータ(タグに出せる唯一の種類)
- 1 プロジェクト内の集計表にまとめたいだけ → プロジェクトパラメータ(ただし将来タグに出す可能性があるなら共有パラメータが安全)
- ファミリ内部の寸法や動作を制御したい → ファミリパラメータ
- プロジェクト全体で値を連動させたい → グローバルパラメータ
要旨 — 2 軸で整理し、フローで選ぶ
パラメータは 定義元(ファミリ・共有・プロジェクト・グローバル・組込み)と 適用範囲(タイプ/インスタンス)の 2 軸で分類でき、そこにデータ型が加わります。実務での分かれ道は「図面のタグに出すかどうか」で、タグに出せるのは共有パラメータだけです。集計だけならプロジェクトパラメータ、ファミリ内部の制御ならファミリパラメータ、全体を連動させるならグローバルパラメータ、と目的から逆算して選べば迷いません。
各種類のくわしい説明は パラメータ(種類の基礎) と 共有パラメータ、集計への集約は スケジュール表(集計表) を参照してください。
→次に読む
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