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企画から維持管理まで
建築は企画から維持管理まで長い段階を踏みます。各段階でどんな成果物が生まれ、後の段階へどう引き継がれるのか。BIM がどこで効くのかも含めて全体像をつかみます。
この記事の要点
- 建築は企画→基本設計→実施設計→確認申請→施工→竣工検査→引渡し→維持管理の段階を踏む
- 各段階で図面やモデルという成果物が更新され、後の段階に引き継がれる
- 確認申請の前後で設計が確定し、以降の変更コストは急増する
- BIM は設計だけでなく、施工・維持管理まで一貫してデータを活かす考え方
建築入門 の流れの全体像をつかむ記事です。「どの段階で、どんな成果物が、どんな粒度で生まれるか」を知っておくと、BIM をどこに効かせるかの判断ができるようになります。
1全体の流れ
| 段階 | 主な内容 | 主な成果物 |
|---|---|---|
| 企画・計画 | 事業の目的・規模・予算・敷地の検討 | 事業計画・ボリューム検討 |
| 基本設計 | 建物の方針・配置・大まかな形を決める | 基本設計図・概算 |
| 実施設計 | 施工に必要な詳細まで描き込む | 実施設計図・詳細BIMモデル |
| 確認申請 | 法適合を確認検査機関が審査 | 確認申請図書・確認済証 |
| 施工 | 実際に建てる。施工図に展開 | 施工図・製作図・現場 |
| 竣工検査 | 完成した建物の検査 | 完了検査・検査済証 |
| 引渡し | 施主へ建物と書類を引き渡す | 竣工図・各種図書 |
| 維持管理 | 点検・修繕・改修・解体 | 維持保全データ |
2設計の3段階
設計は粒度を段階的に上げていきます。企画段階は「建てるべきか・どの規模か」を検討するフェーズで、敷地に入る建物のボリューム検討などを行います。基本設計では建物の方針・配置・おおまかな平面・立面を固め、実施設計で施工に足りる詳細(納まり・仕様・寸法)まで描き込みます。
建てるべきか・どの規模かを検討。敷地に入る建物のボリュームを大づかみに探る段階。
方針・配置・おおまかな平面・立面を固める段階。建物の骨格が見えてくる。
納まり・仕様・寸法など施工に足りる詳細まで描き込む段階。図面が最も詳細になる。
BIM の文脈では、この粒度の段階を LOD(Level of Development/詳細度) という指標で表現することがあります。早い段階のモデルは大づかみ、後の段階ほど属性も形状も詳細になります。モデルを連携する際は、受け取る側が期待する LOD と送る側の LOD を合わせることが重要です。たとえば企画段階のざっくりしたモデルを、施工の詳細検討にそのまま使うことはできません。逆に、まだ方針が固まっていない段階で過剰に詳細なモデルを作り込むと、後の方針変更で作り直しになり、かえって手間が増えます。段階に見合った粒度で情報を育てていく、という発想が大切です。
3確認申請という節目
確認申請は、着工前にその設計が建築基準法などに適合しているかを確認検査機関が審査する手続きです。意匠分野 が中心となって申請図書を整えます。確認済証が交付されて初めて工事に着手できます。
確認申請という節目を過ぎると設計の自由度は下がり、変更にかかるコスト・手戻りは急増する。だからこそ設計段階で BIM を使い、干渉や不整合を早期に潰しておく価値が高い。
4施工から引渡しまで
施工段階では、設計図をもとにゼネコンが施工図・製作図に展開し、サブコンが実際の工事を行います。施工図は、設計図には描き切れない取り付けの細部や、複数の工事の取り合いを現場で成立させるための図面で、設計の意図を実際のものづくりに翻訳する役割を持ちます。完成後、確認検査機関による完了検査を経て検査済証が交付され、施主へ引渡しが行われます。このとき、図面どおりに建ったとは限らない現場の変更を織り込み、実際に建った状態を反映した竣工図が重要な引き継ぎ資料になります。竣工図が正確であるほど、その後の維持管理や改修の判断がしやすくなります。
建物のライフサイクルは数十年に及ぶ
引渡し後も建物は数十年使われ、点検・修繕・改修・最終的な解体まで続きます。この維持管理段階で、竣工時の正確なモデルや属性データ(機器の型番、配管経路など)が活きます。設計・施工で作ったデータを維持管理まで一貫して活用しようというのが BIM の理想です。
BIM の定義そのものは BIMとは で詳しく扱います。まずは「建物は長く使われ、情報も長く受け継がれる」という前提を押さえておきましょう。
→次に読む
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