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UE5でAI Move ToがAbortedで失敗する原因と対処方法

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Unreal Engine 5(UE5)で「AI Move To」が結果「Aborted」で失敗するのは、開始した移動命令が目的地に到達する前に何らかの理由で中断(キャンセル)された状態を表します。多くの場合、移動命令を出した直後に別の移動命令や停止命令で上書きしていることが原因で、移動命令を毎フレーム呼び直さず一度だけ発行し、完了するまで待つように整理すると解決しやすくなります。本記事では「Aborted」の意味と主な原因、最短の解決手順、そして紛らわしい「Blocked」「Failed」「Skipped」との違いを整理します。

この記事の要点
  • 「Aborted」は移動が途中で中断された結果で、移動命令そのものが取り消されたことを示します。
  • 最も多い原因は、新しい「AI Move To」や「Stop Movement」で前の移動を上書きしていること、または毎フレーム移動命令を出していることです。
  • まずは移動命令を毎Tickで呼ばないこと、Behavior Tree(ビヘイビアツリー)で管理することを確認します。
  • 移動が完了した後の処理は、「On Success」「On Fail」など結果に応じた出力ピンで分岐させます。
  • 「Aborted」は中断、「Blocked」は障害物で進めない、「Failed」は経路自体が作れない、と原因が異なるため切り分けが重要です。

「Aborted」とは何を意味するのか

UE5の移動システムでは、移動命令の結果が内部的に複数の状態(EPathFollowingResult)で表現されます。「Aborted」は、その中で「移動が中断されて停止した」状態を指します。AIが目的地に向かって移動を始めたものの、到達する前にその移動命令自体が取り消された、という意味です。

ここで重要なのは、「Aborted」は移動先が見つからなかった失敗ではないという点です。経路は正常に計算され移動が始まっていたのに、外部からの割り込みでキャンセルされた、というニュアンスです。そのため、ナビメッシュ(NavMesh)の設定だけを疑っても解決しないことが多く、「誰が、いつ、その移動を止めたのか」を探すことが解決の近道になります。

主な原因

「AI Move To」が「Aborted」になる典型的な原因は、次のようなものです。

1. 新しい移動命令で前の移動を上書きしている

移動中のAIに対してもう一度「AI Move To」を実行したり、「Stop Movement」「Stop Active Movement」などの停止命令を呼んだりすると、進行中だった移動命令は中断されます。このとき、最初の「AI Move To」ノードの結果が「Aborted」として返ってきます。意図せず別のロジック(攻撃、回避、別の状態遷移など)が同時に移動を発行していないかを確認します。

2. 移動命令を毎フレーム(毎Tick)呼び出している

「Event Tick」など毎フレーム実行されるイベントから「AI Move To」を呼び出していると、前のフレームで出した移動命令が次のフレームの命令で次々と上書きされます。同じ目的地を出し続けている場合は内部的に「Skipped(スキップ)」として扱われることもありますが、目的地が頻繁に変わる場合などは「Aborted」になりやすくなります。移動命令は必要なときに一度だけ発行するのが基本です。

3. Behavior Treeのタスクが中断(Abort)された

Behavior Treeで「Move To」タスクを使っている場合、上位のデコレーター(Decorator)の条件が変化したり、より優先度の高いブランチへ切り替わったりすると、実行中の「Move To」タスクが中断されます。これは設計上の正常な動作ですが、Blueprintの「AI Move To」ノードで監視している場合は結果が「Aborted」として観測されることがあります。デコレーターの「Observer Aborts」(Self / Lower Priority / Both)の設定が意図どおりかを見直します。

4. 移動の目標(ターゲット)が消滅・無効化された

「Move To Actor」のように特定のアクターを追いかける移動で、追跡対象のアクターが破棄(Destroy)されたり無効になったりすると、移動を続けられなくなり中断されます。ターゲットが「Is Valid」かどうかを移動前に確認すると、この種の中断を減らせます。

5. ポーン(Pawn)やAIコントローラーが破棄・切り替えされた

移動中にAIキャラクター自身がDestroyされたり、AIコントローラー(AIController)の所有(Possess)が外れたりすると、移動命令の主体がいなくなるため中断されます。スポーン・デスポーンの処理や、プレイヤーによる乗っ取り(Possess)が絡む場合に起こりやすい原因です。

解決方法

原因の多くは「移動命令の出し方」にあります。次の順で確認すると、最短で原因を切り分けられます。

手順1:移動命令を毎Tickで呼んでいないか確認する

まず「AI Move To」が「Event Tick」や高頻度のタイマーから繰り返し呼ばれていないかを確認します。移動の開始は一度だけにし、結果が返るまで待つのが原則です。継続的に目的地を更新したい場合でも、毎フレームではなく、ある程度の間隔(例:数百ミリ秒ごと)や、目的地が一定距離以上変わったときだけ呼び直すように整理します。

手順2:移動の結果ピンで分岐処理を作る

「AI Move To」ノードには、移動完了時の「On Success」と失敗・中断時の「On Fail」の出力ピンがあります。これらを使って、成功時と失敗時で処理を分けます。中断が起きること自体を前提に、On Fail側で「再試行する」「別の行動に移る」などのフォールバックを用意しておくと、ゲームの挙動が安定します。

// 擬似的な流れ(Blueprintのイメージ)

AI Move To (Destination)

 ├─ On Success ─> 到着後の処理(攻撃・待機など)

 └─ On Fail   ─> 再試行 or 別行動へ(Abortedもここに来る)

手順3:別の移動・停止命令と競合していないか確認する

同じAIに対して、別のイベントやステートから「AI Move To」「Stop Movement」が呼ばれていないかを探します。デバッグとして移動命令を呼ぶ直前で「Print String」を出力し、想定外のタイミングで二重に呼ばれていないかを目視で確認すると原因を特定しやすくなります。

手順4:Behavior Treeで移動を管理する

Blueprintで直接「AI Move To」を多用すると、移動の重複発行や中断の管理が煩雑になりがちです。継続的なAIの行動は、Blueprint側から毎フレーム命令するのではなく、Behavior Treeに「Move To」タスクとして任せると、タスクの開始・中断・完了が一元管理され、意図しない「Aborted」を減らせます。Behavior Tree内で中断する場合は、デコレーターの条件と「Observer Aborts」の設定で制御します。

手順5:ターゲットとナビメッシュを確認する

追跡対象のアクターが移動の途中で消えていないか(Is Validか)を確認します。あわせて、ビューポートで「P」キーを押してナビメッシュを表示し、目的地が緑色の移動可能エリア内にあるかも確認します。ただし、ナビメッシュ起因の問題は多くの場合「Aborted」ではなく「Failed」(経路を作れない)として現れる点に注意してください。

「Aborted」「Blocked」「Failed」「Skipped」の違い

移動の失敗は原因によって結果の種類が異なります。混同すると見当違いの対処をしてしまうため、違いを把握しておくと切り分けが速くなります。なお、表示名や扱いはエンジンのバージョンや確認場所(Blueprintノードの出力か、内部の結果列挙か)によって異なる場合があります。

結果意味主な発生状況
Success目的地に到達して移動が正常終了した正常完了。受け入れ半径(Acceptance Radius)内に到達
Aborted移動が途中で中断・キャンセルされた新しい移動命令や停止命令で上書き、BTタスクの中断、ターゲット消失
Blocked障害物などで物理的に前へ進めず止まった狭い通路、他のキャラクターや動的オブジェクトによる進路妨害
Failedそもそも有効な経路を作れず移動できない目的地がナビメッシュ外、ナビメッシュ未生成、ターゲット無効
Skipped前の移動命令が新しい命令に置き換えられた毎フレーム「AI Move To」を同じ対象へ呼び続けたとき

ポイントは、Aborted(中断)とFailed(経路を作れない)は原因がまったく異なることです。「Aborted」が出ているのにナビメッシュばかり調整しても解決しないのは、このためです。「Aborted」のときは、まず「その移動を止めているロジック」を探すのが正しい方向です。

よくある落とし穴
  • 「AI Move To」を毎フレーム発行する:前の移動が次々上書きされ、「Aborted」や「Skipped」が頻発します。一度だけ呼ぶのが基本です。
  • 同じAIに複数の移動命令が同時に走っている:移動と別の移動、移動と「Stop Movement」が競合すると中断されます。発行元を一本化します。
  • 結果ピンを無視している:「Aborted」を異常としてだけ扱うと、正常な状態遷移まで止めてしまうことがあります。On Failでの分岐を前提に設計します。
  • ナビメッシュの問題と混同する:NavMesh外への移動は通常「Failed」です。「Aborted」のときにNavMeshだけを疑うと回り道になります。
  • 受け入れ半径(Acceptance Radius)が小さすぎる:到達判定が厳しすぎると目的地手前で停滞し、別の中断要因と重なって不安定になることがあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 「Aborted」と「Skipped」はどう違いますか?

どちらも移動が完了せずに別の状態へ移ったものですが、ニュアンスが異なります。「Aborted」は移動が中断・取り消された状態、「Skipped」は前の移動命令が新しい命令に置き換えられた状態を指します。毎フレーム同じ対象へ「AI Move To」を呼んでいる場合は「Skipped」になりやすく、停止命令や別の移動で割り込んだ場合は「Aborted」になりやすい、と覚えておくとよいでしょう。

Q. Behavior Treeで「Move To」を途中で止めたいのですが、これも「Aborted」になりますか?

はい。デコレーターの条件変化などで「Move To」タスクが中断されると、移動命令としては中断扱いになります。これは設計上意図された動作です。中断を制御したい場合は、デコレーターの「Observer Aborts」(Self / Lower Priority / Both)を適切に設定し、どのタイミングでブランチを中断するかを明示します。

Q. たまにだけ「Aborted」になり、再現性がありません。何を疑うべきですか?

不定期に起きる場合は、タイミング依存の競合を疑います。具体的には、移動を開始したフレームの近くで別のイベント(敵の発見、被ダメージ、状態遷移など)が移動を上書き・停止していないかを確認します。「Print String」で移動の発行と停止のタイミングをログに出すと、どのイベントが割り込んでいるかを特定しやすくなります。

まとめ

「AI Move To」が「Aborted」で失敗するのは、移動先が見つからない失敗ではなく、始まっていた移動が途中で中断された状態です。最も多い原因は、新しい移動命令や停止命令による上書きと、移動命令を毎フレーム発行していることです。まずは移動命令を一度だけ発行するように整理し、「On Success」「On Fail」の結果ピンで分岐を作り、継続的な行動はBehavior Treeに任せると安定します。「Aborted(中断)」「Blocked(障害物)」「Failed(経路なし)」「Skipped(上書き)」は原因が異なるため、結果の種類を見極めてから対処することが、最短解決の鍵になります。

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