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AppleTalk

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本稿は AppleTalk に関する記事です。AppleTalk は、Apple 社が 1980 年代に開発した独自のネットワークプロトコルスイートです。初期の Macintosh では標準のネットワーク手段として広く使われ、特に LocalTalk (シリアルポート経由の小規模 LAN) と組み合わせて、プリンタ共有・ファイル共有を実現していました。

現代では完全にレガシーで、Mac OS X 10.6 (Snow Leopard) を最後に Apple 公式のサポートも終了しています。新規利用の理由は事実上ありません。

AppleTalk の基本

項目内容
正式名AppleTalk Protocol Suite
開発元Apple Computer (現 Apple Inc.)
登場年1985 年頃
用途初期 Macintosh のネットワーク (ファイル/プリンタ共有)
位置づけ独自のプロトコルファミリ (IPX/SPX と並ぶ非 TCP/IP 系)
サポート終了Mac OS X 10.6 (Snow Leopard / 2009) を最後に公式サポート終了

主な構成プロトコル

プロトコル役割TCP/IP での対応
LocalTalk物理層・データリンク層 (シリアル接続)Ethernet / Wi-Fi に相当
DDP (Datagram Delivery Protocol)パケット配送 (コネクションレス)IP に相当
ATP (AppleTalk Transaction Protocol)信頼性のあるトランザクション通信TCP に近い
NBP (Name Binding Protocol)名前解決 (機器名 ↔ ネットワークアドレス)DNS に近い
ZIP (Zone Information Protocol)ゾーン (グループ) の情報共有(類似機能なし)
RTMP (Routing Table Maintenance Protocol)ルーティング情報の交換RIP / OSPF に相当
AFP (Apple Filing Protocol)ファイル共有プロトコルSMB / NFS に近い
PAP (Printer Access Protocol)プリンタアクセスLPR / IPP に近い

特徴

  • 自動構成: ユーザが IP アドレス相当を意識せず、機器を繋ぐだけでネットワークが組めた (1980 年代当時としては画期的)
  • ゾーンという単位でグループ化し、ユーザ向けにわかりやすく見せる仕組み
  • LocalTalk はシリアル + 安価なケーブルで構築可能 (低速だがオフィスのプリンタ共有には十分)
  • 後に EtherTalk (Ethernet 上の AppleTalk)・TokenTalk (Token Ring 上の AppleTalk) も登場
  • Chooser (Mac の機器選択 UI) や Bonjour の前身に近い使い勝手

TCP/IP への移行

  • 1990 年代後半から、Mac OS でも TCP/IP の重要性が増し「Open Transport」 を経て TCP/IP が標準に
  • Mac OS X (2001〜) は基本的に TCP/IP・SMB・AFP over TCP がメインに
  • ファイル共有は AFP → SMB へ徐々に移行 (現在の macOS は SMB 推奨)
  • サービス検出は Bonjour (mDNS / DNS-SD) に置き換わった (Apple は AppleTalk の自動発見をベースに Bonjour を設計)
  • 2009 年の Snow Leopard で Apple は AppleTalk のサポートを完全終了

現在の代替

旧 AppleTalk 機能現代の代替
ファイル共有 (AFP)SMB (macOS / Windows / Linux で標準)
プリンタ共有 (PAP)IPP / AirPrint
サービス検出 (NBP / Chooser)Bonjour (mDNS / DNS-SD)
パケット配送 (DDP)IPv4 / IPv6
信頼性配送 (ATP)TCP

歴史的・学習上の意義

  • ユーザが設定を意識しなくても繋がる」というネットワーク思想は、Bonjour / Zeroconf の系譜を通じて現代の Apple 製品にも生きている
  • パソコン通信〜LAN 黎明期のネットワーク史を語る上で外せないプロトコル
  • レトロ Mac のコレクター・博物館展示などで触れる機会がある

注意点

  • 現代の macOS / Windows / Linux では標準で利用できない
  • 古い Mac (Mac OS 9 以前) と通信する場合は専用のサーバ・ルータが必要
  • サポート終了プロトコルのためセキュリティ脆弱性の修正もない。インターネットに直接さらさない
  • セキュリティ・互換性の観点から、新規システムでは絶対に採用しない

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