4.

AppleTalk プロトコル完全ガイド (歴史的)|AFP/NBP/DDP と TCP/IP への移行

編集
この記事の要点
  • AppleTalk は Apple が 1985 年に投入した独自ネットワークプロトコル群
  • 主要プロトコル: AFP (Apple Filing) / NBP (Name Binding) / ADSP (Data Stream) / DDP (Datagram Delivery)
  • 当時の Mac は LocalTalk / EtherTalk でつなぐだけでファイル共有・プリンタ共有が可能
  • Mac OS X 10.6 Snow Leopard (2009) でサポート終了 → SMB / NFS / TCP-IP AFP へ移行
  • 現代の Mac ネット環境は Bonjour (mDNS/DNS-SD) が NBP の後継として動作

AppleTalk とは

AppleTalk は Apple Computer が 1985 年に発表した独自のネットワークプロトコルスイートです。当時の Macintosh はネットワーク機能を本体に内蔵しており、AppleTalk を喋るだけでファイル共有・プリンタ共有・名前解決が自動でできるという、当時としては画期的なゼロコンフィグ環境を提供していました。

2009 年にリリースされた Mac OS X 10.6 Snow Leopard で正式に廃止され、現在では歴史的プロトコルです。ただし用語そのもの(AFP, Bonjour 等)は形を変えて生き残っており、Mac/ネットワークの歴史を理解するうえで重要な存在です。

歴史

出来事
1985初代 AppleTalk と LocalTalk 配線が登場
1989AppleTalk Phase 2 (大規模ネットワーク対応)
1989EtherTalk / TokenTalk (Ethernet / Token Ring 上で AppleTalk)
1997Mac OS 8 以降 TCP/IP が標準化、AppleTalk と並行運用
2001Mac OS X が登場、AFP over TCP に主軸が移る
2009Mac OS X 10.6 でサポート終了
2013OS X 10.9 Mavericks 以降は AFP からも SMB2 へ徐々に移行

レイヤ構成

AppleTalk は OSI モデルにマップ可能な複数のレイヤで構成されます:

OSI 層AppleTalk プロトコル役割
アプリケーションAFPファイル共有 (Apple Filing Protocol)
プレゼン / セッションADSP, ASP, ZIPストリーム、セッション、ゾーン情報
トランスポートATP, NBP, RTMP, AEP信頼性転送、名前解決、ルーティング
ネットワークDDPデータグラム配送 (IP に相当)
データリンク / 物理LocalTalk, EtherTalk, TokenTalk, FDDITalk各種媒体

主要プロトコル

AFP (Apple Filing Protocol / AppleShare)

Mac の標準ファイル共有プロトコル。当初は AppleTalk 上で、後に TCP/IP 上 (AFP over TCP, port 548) で動作。Mac OS X 10.9 以降は SMB2 が優先となり、現代の macOS では SMB がデフォルトに。

NBP (Name Binding Protocol)

ネットワーク上のサービスを名前で解決する仕組み。「営業部のプリンタ」のような名前で機器を探せました。現在の Bonjour (mDNS / DNS-SD) の直接の祖先と言える存在です。

ADSP (AppleTalk Data Stream Protocol)

2 つのノード間で全二重ストリーム通信を提供。TCP に近いポジション。

ATP (AppleTalk Transaction Protocol)

軽量なトランザクション型プロトコル。要求/応答型のサービスで利用。

DDP (Datagram Delivery Protocol)

AppleTalk のネットワーク層 (IP に相当)。各ノードに network.node 形式のアドレスを割り当て、データグラムを配送します。

RTMP (Routing Table Maintenance Protocol)

AppleTalk ルータ間でルーティング情報を交換。RIP に近いディスタンスベクタ方式。

ZIP (Zone Information Protocol)

AppleTalk の「ゾーン」(論理グループ)情報を管理。大規模 LAN を論理分割する仕組み。

物理層 / データリンク層

名称媒体速度
LocalTalkRS-422 シリアル (Mini-DIN 8 ピン)230.4 kbps
EtherTalkEthernet10/100 Mbps
TokenTalkToken Ring4/16 Mbps
FDDITalkFDDI100 Mbps

当初の LocalTalk は速度こそ遅いものの、Mac 本体のシリアルポートに専用アダプタを挿すだけでネットワーク構築できる手軽さが革新的でした。

現代への置き換え

AppleTalk プロトコル現代の代替
AFP (AppleTalk 上)AFP over TCP → SMB2/3
NBPBonjour (mDNS + DNS-SD)
DDPIPv4 / IPv6
LocalTalk 印刷IPP (Internet Printing Protocol) / AirPrint
AppleTalk ゾーンVLAN / IP サブネット

Bonjour との関係

Bonjour は Apple が AppleTalk 廃止後に投入したゼロコンフィグネットワーク技術で、IETF 標準の mDNS (Multicast DNS)DNS-SD (DNS Service Discovery) を組み合わせて、AppleTalk が実現していた「機器を名前で探す」「自動でプリンタが見える」体験を IP の世界で再現しました。

# macOS で Bonjour サービスを探す
dns-sd -B _afpovertcp._tcp .   # AFP サーバ一覧
dns-sd -B _smb._tcp .          # SMB サーバ一覧
dns-sd -B _ipp._tcp .          # プリンタ一覧 (IPP)
dns-sd -B _services._dns-sd._udp .  # 全サービスタイプ列挙

# Linux でも Avahi 経由で同じ仕組みが使える
avahi-browse -a

歴史的に残るキーワード

  • Chooser (セレクタ): 古い Mac で AppleTalk 経由のプリンタ・ファイルサーバを選んでいたアプリ
  • AppleShare: AFP サーバ製品名、現在も用語として残る
  • LaserWriter: AppleTalk で接続する Apple のレーザープリンタ。当時のオフィスを変えた
  • EtherTalk Phase 2: 802.3 SNAP 上で動作する AppleTalk のカプセル化

FAQ

Q: 現代の macOS で AppleTalk は完全に動かない?
A: はい。Mac OS X 10.6 (2009) でカーネルおよびシステムからサポートが削除されています。古い AppleTalk 専用周辺機器を使うには、AppleTalk → TCP/IP ブリッジ装置や、対応する旧 OS を仮想化するなどが必要です。

Q: AFP は今でも使える?
A: AFP over TCP は macOS でクライアントとしてはまだ動作することがありますが、Apple は SMB2 を推奨。新規システムでは SMB3 を選んでください。

Q: なぜ AppleTalk は廃止された?
A: TCP/IP が事実上の標準になり、独自プロトコルを維持する利点が薄れたため。プロトコル理念 (ゼロコンフィグ・名前解決) は Bonjour として継承されています。

編集
Post Share
子ページ

子ページはありません

同階層のページ
  1. TCP/IP
  2. Web通信プロトコル
  3. IPX/SPX
  4. AppleTalk

最近更新/作成されたページ