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JP1とは|日立の運用管理製品一覧(AJS3・IM・Base)とマニュアルの探し方

この記事の要点
  • JP1 (Job Management Partner 1) は日立製作所の統合システム運用管理製品群。公式マニュアルは日立の IT Platform Document Portal で無償公開(HTML / PDF、バージョン別一覧から探す)
  • 主要モジュール: JP1/AJS3 (ジョブ管理)、JP1/IM (統合監視)、JP1/Base (認証・基盤)、JP1/PFM (性能監視)、JP1/Cm2 (可用性)
  • Windows / Linux / AIX / HP-UX / Solaris に対応、メインフレーム連携も可能
  • 競合: Hinemos (NTTデータ系 OSS)、千手 (Senju) (野村総研系)、Zabbix / Datadog など
  • クラウド移行のトレンド → JP1 Cloud Service (SaaS) / コンテナ対応 / Kubernetes 対応強化

JP1 とは

JP1 (Job Management Partner 1) は、日立製作所が提供する統合システム運用管理ソフトウェアです。1994 年に最初のバージョンがリリースされ、30 年以上にわたって日本の大企業・官公庁・金融機関のシステム運用基盤として使われ続けています。

製品群はジョブ管理・監視・認証・性能管理・バックアップなど 20 以上のモジュールから構成され、組み合わせて巨大なシステム運用を一元化します。

主要モジュール一覧

モジュール役割競合製品
JP1/Base認証・コマンド実行・イベント基盤。他 JP1 製品の前提—
JP1/AJS3ジョブネット設計・実行・スケジューリングControl-M / Autosys / Hinemos
JP1/IM統合管理 (イベント集約・コンソール表示・自動アクション)Zabbix / Datadog / OpenView
JP1/PFM性能監視 (CPU / メモリ / DB / アプリ)Prometheus / NewRelic / Mackerel
JP1/Cm2ネットワーク管理・可用性監視SolarWinds / OpenView
JP1/IT Desktop Managementクライアント PC 資産管理SKYSEA / LANSCOPE
JP1/VERITAS NetBackupバックアップ統合Veeam / Commvault
JP1/Software Distributionソフトウェア配布SCCM / WSUS
JP1/Audit Information Linkage監査ログ集約Splunk / ArcSight

JP1/AJS3 (ジョブ管理) の基本

JP1 で最もよく使われるのがAJS3 (Automatic Job Management System)。複数サーバにまたがるバッチ処理を依存関係付きで実行します。

[典型的なジョブネット]

START
  ├→ [日次集計バッチ] (毎日 02:00 開始)
  │     ├→ [売上集計]
  │     ├→ [在庫集計]
  │     └→ [在庫アラート判定]
  │           └→ [メール送信] (在庫不足時のみ)
  └→ [DB バックアップ] (毎日 03:00 開始)
        └→ [テープ書出し]
END

依存関係:
- 売上集計と在庫集計は並列
- 在庫アラートは集計完了後
- メール送信は条件付き (在庫不足検知時)

AJS3 ではこのジョブネットを JP1/AJS3 - View の画面で設計するか、定義ファイルを ajsdefine コマンドで登録します。リカバリ実行・スキップ・引数渡し・カレンダー連動 (営業日のみ実行) など、エンタープライズで必要な機能が揃っています。

JP1/IM (統合監視) の構成

[統合管理サーバ]
    ↑ (JP1 イベント)
    │
┌───┴─────────────────────────────┐
│                                     │
[業務サーバ A]   [業務サーバ B]   [DB サーバ]
- syslog 監視    - プロセス監視   - SQL 監視
- ログ監視       - ファイル監視   - 接続数
- WMI 監視       - サービス監視

各サーバの JP1/Base がイベントを発火
→ JP1/IM が集約 → コンソール表示
→ 重大度に応じて自動アクション (メール / コマンド実行)

JP1 を採用する典型ケース

  • 金融機関: 銀行・証券の勘定系バッチ管理 (夜間バッチ数千ジョブ規模)
  • 製造業: 生産管理 / 出荷管理 / 在庫管理の日次バッチ
  • 官公庁: 住基ネット / 税務システム / 年金システム
  • 大手 SIer: 客先システムの統合運用センター
  • 通信: NW 監視 / 課金システムの集計

共通の特徴は24時間365日無停止・厳格な変更管理・監査対応必須。エンタープライズ要件を満たすために JP1 のような統合製品が選ばれます。

競合製品との比較

項目JP1Hinemos千手 (Senju)Zabbix
ベンダー日立NTTデータ系野村総研系Zabbix LLC (OSS)
ライセンス商用OSS + 有償サポート商用OSS
強みジョブ管理 / 統合性クラウドネイティブ金融業界の実績低コスト / 柔軟性
導入コスト高 (数百万〜)中高低
運用人材豊富 (日立認定)少ない限定的世界中に多い
クラウド対応中 (改善中)強い (Kubernetes)中中

JP1/Base のコマンド例

# JP1 サービス起動 (Linux)
/etc/opt/jp1base/jbs_start

# サービス停止
/etc/opt/jp1base/jbs_stop

# JP1 ユーザーを登録(ユーザー名は小文字。パスワードは対話で入力)
jbsadduser jp1user1

# JP1 イベント発行 (運用スクリプトから)。重大度は -e SEVERITY= で指定する(-s は送信元イベントサーバ名)
jevsend -i 111 -m "業務A: バッチ完了" -e SEVERITY=Information

# ジョブネット起動 (AJS3)
ajsentry -F APP -n /SYSTEM/daily/MAIN
ajsshow -F APP /SYSTEM/daily/MAIN  # 状態確認

クラウド移行のトレンド

JP1 はオンプレ前提の伝統的製品でしたが、近年は以下の方向で進化しています:

  • JP1 Cloud Service: 日立提供の SaaS 版 (AWS / Azure 上)
  • コンテナ対応: Docker / Kubernetes 上のジョブ管理
  • パブリッククラウド連携: AWS / Azure / GCP の監視・操作
  • API 拡充: REST API でジョブ操作 / イベント発行
  • Ansible 連携: 構成管理ツールと統合

とはいえ、フルクラウドネイティブな新規案件では Datadog + Argo Workflows / Airflow といった OSS スタックが選ばれることが増えています。JP1 は既存資産のあるエンタープライズでの選択肢として残り続けるでしょう。

JP1 技術者になるには

資格レベル備考
JP1 認定エンジニア (Certified Engineer)初級製品別 (AJS / IM / Base)
JP1 認定コンサルタント上級提案 / 設計レベル
日立 OpenMiddleware 資格関連Cosminexus / HiRDB と組合せ

SIer 大手 (日立系・NTT データ系・NRI 等) に在籍するか、日立の有償研修で習得するのが王道。OSS ツールと比べて書籍・Web 情報が少ないため、ベンダー研修への投資は必須です。

JP1 の公式マニュアルの探し方

JP1 の製品マニュアルは、日立の「IT Platform Document Portal」(https://itpfdoc.hitachi.co.jp/)で無償公開されています。HTML 版のほか、多くのマニュアルは PDF 版と EPUB 版もダウンロードできます。コマンドの書式やオプション、メッセージの意味を確認するときは、まずここを見るのが確実です。

バージョン別の一覧ページから探す

  1. ポータルのトップから「ドキュメント一覧」→「マニュアル」→「JP1」を開く
  2. Version 13 の一覧は jp1v13.html。ページ内のリンクから Version 12・11・10・9・8 の一覧にも移動できる
  3. 「統合管理」「ジョブ管理」「ネットワーク管理」「バックアップ管理」などの分類から製品を選び、HTML か PDF を開く

ポータルのキーワード検索(全文検索・マニュアル名称検索)は提供が中止されています。コマンド名などで直接探したい場合は、一般の検索エンジンで site:itpfdoc.hitachi.co.jp ajsentry のようにサイトを絞り込むと見つけやすくなります。その場合も、ヒットしたページが自分のバージョンのマニュアルかを必ず確認してください。

資料番号と URL からバージョンを見分ける

マニュアルには「3021-3-L09-10」のような資料番号が付いていて、URL のフォルダ名と対応しています。

見る場所例読み方
資料番号3021-3-L09-10JP1/Base 運用ガイド(Version 13)。末尾の枝番が付くと改訂版で、この例は JP1/Base 13-10 に対応
URL のフォルダ/manuals/3021/30213L0910/資料番号からハイフンを除いたもの。同じマニュアルの改訂前は 30213L0900
末尾の e/manuals/3021/30213L0910e/英語版マニュアル
マニュアルの「変更内容」各マニュアル冒頭どの製品バージョン(13-00、13-10 など)で何が変わったかが書かれている

同じ名前のマニュアルでも、Version 12 と 13 ではコマンドのオプションや前提 OS が違うことがあります。サーバーに入っている製品のバージョンを確認してから、対応する一覧ページのマニュアルを使いましょう。

よく使う Version 13 のマニュアル

製品マニュアル資料番号
入門ジョブ管理 基本ガイド(ジョブスケジューラー編)3021-3-L41
JP1/AJS3導入ガイド(概要・用語・機能の全体像)3021-3-L42-20
JP1/AJS3設計ガイド(システム構築編)/設計ガイド(業務設計編)3021-3-L43-20 / 3021-3-L44-20
JP1/AJS3構築ガイド/運用ガイド/操作ガイド3021-3-L45-20 / L46-20 / L48-20
JP1/AJS3コマンドリファレンス3021-3-L49-20
JP1/AJS3トラブルシューティング/メッセージ3021-3-L47-20 / L51-20
JP1/IMJP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド3021-3-L02-40
JP1/IM同 コマンド・定義ファイル・APIリファレンス3021-3-L06-40
JP1/BaseJP1/Base 運用ガイド(機能・コマンド・定義ファイル・JP1 イベント)3021-3-L09-10
JP1/FTPJP1/File Transmission Server/FTP(Windows 用/UNIX 用)3021-3-L59 / 3021-3-L60

初めて JP1/AJS3 を触る場合は、基本ガイドで全体像をつかみ、導入ガイドで用語を確認してから、作業内容に応じて操作ガイドやコマンドリファレンスを引く、という順番が効率的です。エラーが出たときは、画面やログに出たメッセージ ID(JP1/IM の KAVB8800-E、JP1/FTP の KDJF で始まる番号など)を、各製品のメッセージマニュアル(JP1/FTP はマニュアル内のメッセージの章)で引くと、原因と対処が分かります。

FAQ

Q: JP1 と Hinemos、どちらを選ぶ?
A: 既存に JP1 資産がある / 金融など厳格業界なら JP1。新規・コスト重視 / クラウド前提なら Hinemos や Datadog 等を検討。

Q: JP1 のライセンス費用は?
A: 製品・ノード数で大きく変わります。AJS3 + IM + Base のフル構成で数千万円規模になることも。

Q: JP1 案件は今後増えるか?
A: 既存システムの保守・拡張は確実に残ります。新規はクラウドネイティブにシフトしつつあり、JP1 単独より JP1 + AWS / Azure ハイブリッドの提案が中心になっています。

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子ページ
  1. JP1/AJS3 とは
  2. JP1/AJS3 のコマンド一覧
  3. JP1/IM とは
  4. JP1/Base とは
  5. JP1/FTP(JP1/FTS)とは
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