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L3 スイッチとは(L2 スイッチ + ルータの融合 / VLAN 間ルーティング / SVI)

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この記事の要点
  • L3 スイッチ = L2 スイッチ + ルーティング機能を 1 台に統合した装置
  • 主用途はVLAN 間ルーティング。LAN 内で異なる VLAN(部署間など)の通信を高速ルーティング
  • ASIC によるハードウェア処理でルータ(ソフトウェア処理)より遥かに高速・低遅延
  • SVI (Switched Virtual Interface): VLAN ごとに仮想 IP インターフェースを作りそこにゲートウェイ IP を設定
  • 代表機種: Cisco Catalyst 9300 / Juniper EX シリーズ。データセンタのコアスイッチで多用

レイヤ3スイッチとは

L3 スイッチ(Layer 3 Switch)は、L2 スイッチ(MAC アドレスでフレーム転送)の機能に、IP ルーティング機能を追加した装置です。1990 年代後半に登場し、現代の企業 LAN・データセンタのコア層を担う中心的な装置になっています。

L2 スイッチ / ルータ / L3 スイッチの違い

項目L2 スイッチルータL3 スイッチ
動作層L2 (データリンク)L3 (ネットワーク)L2 + L3
転送基準MAC アドレスIP アドレスMAC + IP
処理方式ASIC (HW)CPU (SW) ※近年 HW 化進むASIC (HW)
処理速度非常に高速 (ワイヤレート)速度はモデル次第非常に高速 (ワイヤレート)
WAN 機能無しNAT / VPN / PPPoE / IPsec無し or 限定的
主用途LAN 内のフレーム転送異ネットワーク・WAN 接続LAN 内の VLAN 間ルーティング
ポート密度高い (24/48 ポート以上)低い (4〜8 ポート)高い
QoS / セキュリティ基本的高度 (ACL, FW)中〜高度

L3 スイッチの主な役割: VLAN 間ルーティング

同一物理スイッチで VLAN 10(営業)と VLAN 20(経理)を分離している場合、両者の通信にはルーティングが必要です。L2 スイッチだけでは VLAN を越えられず、従来は別途ルータをOne-arm router (Router on a stick)として接続していました。L3 スイッチはその役割を内蔵します。

[従来構成: L2 スイッチ + ルータ]

         [Router (L3)]
              | trunk
       [L2 Switch]
       /        \
   VLAN 10    VLAN 20
   (営業)     (経理)

通信が VLAN を越える度に Router を経由 → 性能ボトルネック


[L3 スイッチ構成]

       [L3 Switch] ── SVI: vlan10 = 192.168.10.1
       /        \   ── SVI: vlan20 = 192.168.20.1
   VLAN 10    VLAN 20
   (営業)     (経理)

スイッチ内で ASIC ルーティング → ワイヤレート (Gbps)

SVI (Switched Virtual Interface)

SVI は VLAN に対応する仮想 L3 インターフェースです。VLAN ごとにゲートウェイ IP をここに設定します。Cisco IOS では interface Vlan<n>:

! Cisco Catalyst 9300 設定例
!
hostname CoreSW01
!
vlan 10
 name SALES
vlan 20
 name ACCOUNTING
!
! L3 ルーティング機能を有効化
ip routing
!
! SVI を作成 (= VLAN のゲートウェイ IP)
interface Vlan10
 description ##SALES_GW##
 ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
 no shutdown
!
interface Vlan20
 description ##ACCOUNTING_GW##
 ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
 no shutdown
!
! アクセスポート (ホストを VLAN に所属)
interface GigabitEthernet1/0/1
 switchport mode access
 switchport access vlan 10
!
! 上位ルータへ向けたデフォルトルート
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.0.1

ルーテッドポート (Routed Port)

SVI ではなく、物理ポートを直接 L3 として扱うこともできます(L2 機能を外して純粋にルータポート化):

interface GigabitEthernet1/0/24
 description ##上位ルータ接続##
 no switchport                  ! ← L2 を無効化
 ip address 10.0.0.2 255.255.255.252
!
! OSPF などの動的ルーティングも可
router ospf 1
 network 10.0.0.0 0.0.0.3 area 0
 network 192.168.10.0 0.0.0.255 area 0

主な L3 スイッチ機能

機能説明
VLAN / トランク802.1Q タグで複数 VLAN を 1 リンクに集約
SVI / ルーテッドポートVLAN や物理ポートに IP を割当て
スタティックルーティングip route で固定経路
動的ルーティングRIP / OSPF / EIGRP / BGP(モデルによる)
HSRP / VRRPL3 スイッチを冗長化してゲートウェイ可用性向上
スタック / VSS / MC-LAG複数台を 1 台に見せて冗長化
QoS (DSCP / CoS)音声・映像トラフィック優先制御
ACLL3/L4 でのパケットフィルタ
マルチキャストIGMP Snooping / PIM
PoE / PoE+IP 電話・無線 AP に電源供給

スタック構成と冗長化

! Cisco StackWise (Catalyst 9300/9500 等)
! 複数のスイッチを背面ケーブルで直結 → 1 台に見える

[SW1 master] ─ stack cable ─ [SW2] ─ stack cable ─ [SW3]
             ↑ 1 つの制御プレーン、1 つの設定ファイル
             ↑ いずれかが故障しても他が引き継ぐ

! 確認コマンド
show switch
show switch stack-ports

L2/L3/L4-L7 スイッチの階層

種別動作層主な用途
L2 スイッチL2同一 LAN 内のフレーム転送
L3 スイッチL3VLAN 間ルーティング、コア層
L4 スイッチL4 (TCP/UDP)ポート単位の負荷分散
L7 スイッチ / ロードバランサL7 (HTTP/HTTPS)URL ベース振り分け、SSL オフロード

代表的な製品

  • Cisco Catalyst 9300 / 9500 / 9600 シリーズ — エンタープライズ標準
  • Juniper EX シリーズ — Junos OS、データセンタで人気
  • Arista 7050 / 7280 — 大規模データセンタの定番
  • Aruba (HPE) CX シリーズ — 中規模に強い
  • NEC IX / Apresia / Allied Telesis — 国内採用

FAQ

Q: ルータと L3 スイッチ、どちらを買えばいい?
A: WAN 接続・NAT・VPN・PPPoE が必要ならルータ。LAN 内の VLAN 間通信や高ポート密度のコア用途ならL3 スイッチ。両方が必要な小規模拠点ではルータの LAN 側に L2 スイッチを接続する構成が一般的。

Q: L3 スイッチで NAT は使えない?
A: モデルによるが、機能は限定的で本格的な NAT・FW にはルータや FW を別途用意するのが定石。

Q: PoE 給電は L3 スイッチでもできる?
A: Catalyst 9300P 等の PoE モデルなら可能。1 ポートあたり 30W (PoE+) / 60W (PoE++) を給電できる。

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