| この記事の要点 |
|
ハブとは
ハブ (Hub) は、複数の機器を 1 つの LAN に接続するための集線装置です。複数のポート(差込口)を持ち、そこに LAN ケーブルを刺すだけで機器同士が通信できるようになります。「とりあえずパソコン・プリンタ・NAS を社内 LAN にぶら下げたい」というときに置く箱、というのが現場でのイメージです。
歴史的にはリピータハブ (L1) → ブリッジ (L2) → スイッチングハブ (L2) と進化しました。現在「ハブ」と呼ばれている製品は実質的にすべてスイッチングハブです。
リピータハブ vs スイッチングハブ
| 観点 | リピータハブ (L1) | スイッチングハブ (L2) |
|---|---|---|
| OSI 階層 | 物理層 | データリンク層 |
| 転送単位 | 電気信号(ビット) | イーサネットフレーム |
| 転送先 | 受信ポート以外の全ポート | MAC テーブルで学習した該当ポートのみ |
| コリジョンドメイン | すべて 1 つ | ポートごとに分離 |
| 帯域 | 全ポートで共有 | ポートごとに専有 |
| セキュリティ | 盗聴し放題 | 宛先以外には流れない |
| 現状の入手性 | ほぼ絶滅 | 家庭用〜エンタープライズ用まで豊富 |
リピータハブは「来た信号をそのまま全ポートにオウム返し」する単純な装置でした。10 台ぶら下がっていると 10 台分のトラフィックが衝突し、帯域も実質 1/10。スイッチは MAC アドレスを覚えて宛先ポートだけに送るので、各機器が広告された通りの帯域をフルに使えます。
スイッチングハブの仕組み — MAC 学習
- あるポートからフレームが届くと、送信元 MAC アドレスを「このポートにこの MAC」として MAC アドレステーブルに記録。
- 宛先 MAC アドレスをテーブルで検索。
- 見つかればそのポートにだけ転送(ユニキャスト)。見つからなければ全ポートに転送(フラッディング)。
- 一定時間通信のない MAC エントリはエージアウトで消える。
これにより、同じハブにぶら下がった機器同士が通信していても、無関係な他の機器のポートには余計なフレームが流れません。
製品ジャンル別の特徴
家庭用・SOHO 用 アンマネージドスイッチ
- 5/8/16 ポート、ギガビット (1000BASE-T) が一般的
- 電源を入れるだけで動く。設定不要
- 数千円〜 1 万円程度
マネージドスイッチ (L2 / L3)
- VLAN、STP、QoS、SNMP 監視、ポートミラーリングなど設定可能
- L3 スイッチは IP ルーティングまで実行可能
- 業務用は数万円〜
PoE スイッチ
- LAN ケーブル経由で電力も供給 (IEEE 802.3af/at/bt)
- IP カメラ、Wi-Fi AP、IP 電話の電源工事が不要
- 1 ポートあたり 15.4W (af) / 30W (at) / 60W (bt) など給電能力で選ぶ
ルーターとの違い
| 機器 | OSI | 主機能 | 典型用途 |
|---|---|---|---|
| ハブ (L2 スイッチ) | L2 | 同一ネットワーク内のフレーム転送 | 社内 LAN の足回り |
| ルーター | L3 | 異なるネットワーク間の IP パケット中継 | LAN ↔ インターネット |
家庭用のいわゆる「Wi-Fi ルーター」はルーター + スイッチ + 無線 AP を一台にまとめた製品です。これがあれば追加のハブは不要ですが、有線ポート数が足りなければ後段にスイッチングハブを追加します。
選び方のチェックポイント
- 必要ポート数: 機器数 + 将来増設分の余裕。ループバック・カスケード接続用にも 1〜2 ポートあると便利
- 速度: 1000BASE-T (ギガ) が標準。動画編集・NAS 用途では 2.5G / 10G も選択肢
- PoE: IP カメラ・無線 AP・IP 電話を使うなら必須
- ファンレス: オフィス静音化、家庭設置はファンレス推奨
- マネージド機能: VLAN 分離・ループ防止・帯域制限が必要なら
よくある質問
Q: ハブをハブにつないでもいい?
A: 一般的なスイッチングハブなら可(カスケード接続)。ただし、間違って LAN ケーブルを 2 本ループさせるとブロードキャストストームが発生してネットワーク全停止になります。心配ならループ防止機能付きの製品を選ぶこと。
Q: 古い 100Mbps ハブを混ぜると遅くなる?
A: 100M ハブを経由した区間は 100M がボトルネックになります。基本的にすべてギガで揃えるのが無難。
Q: 無線 LAN しか使わないからハブは要らない?
A: 家庭ならそれで OK。ただし固定機器(NAS、デスクトップ PC、プリンタ、ゲーム機)は有線の方が安定するため、有線を残す価値はあります。
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