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STPケーブルとは|UTPとの違い・シールド構造・S/FTPなどの表記

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この記事の要点
  • STP(Shielded Twisted-Pair)は ツイストペアケーブルシールド付き版で、外部ノイズ・クロストークを金属箔/編組で遮断する
  • UTP(Unshielded)との違いは シールド層の有無。STP の方がノイズ耐性が高いが、太く・硬く・高価で施工難度も上がる
  • 正確な分類は U/UTP / F/UTP / S/FTP / S/STP など、「全体シールド / ペアシールド」の組み合わせで表記する
  • 用途は工場・医療機器・データセンター・10G/25G 通信など、ノイズが多い環境 + 高速通信
  • 正しい接地(アース)が不可欠。片端だけ接地が原則で、両端接地はループ電流の原因になる

STP とは

STP(Shielded Twisted-Pair)は、より対線(ツイストペア)の周囲を金属箔(フォイル)や編組(ブレイド)でシールドした LAN ケーブルです。電磁波・電気的なノイズを遮断することで、長距離・高速通信時の信号劣化を抑える役割を担います。

ツイストペアケーブル はもともと「2 本の銅線をねじり合わせる」だけでもある程度ノイズを打ち消せますが、工場・医療機器・モータ・無線設備のそばなど 強いノイズ源 が近い環境では、シールド付きの STP の方が安定して通信できます。

UTP との違い(早見表)

項目UTPSTP
シールドなしあり(箔 / 編組)
ノイズ耐性普通高い
太さ細い太い
柔軟性柔らかく曲げやすい硬めで曲げ半径が大きい
価格安い高い(1.5〜3 倍)
施工難度容易接地・コネクタ処理が必要
主な用途オフィス・家庭工場・医療・データセンター

シールド構造による細分化(ISO/IEC 11801 表記)

「STP」とひと口にいっても内部構造はいくつかあり、ISO/IEC 11801 では 「全体シールド / ペアシールド」 の組み合わせで以下のように呼び分けられます。

表記全体シールドペアシールド備考
U/UTPなしなし一般的な UTP
F/UTP箔(Foil)なし「STP」と書かれることが多い
S/UTP編組(Braid)なし編組のみ
SF/UTP箔 + 編組なし強化版
U/FTPなしペアごとに箔カテゴリ 6A 以上に多い
F/FTPペアごとに箔二重シールド
S/FTP編組ペアごとに箔カテゴリ 7 / 7A の代表

カタログで「STP ケーブル」と書かれていたら、上の表のどれに当たるかをまず確認するのが選定のコツです。同じ「STP」でも S/FTP と F/UTP では電気的特性が全く違います。

カテゴリと STP の関係

カテゴリ最大速度STP 推奨度
Cat 5e1 GbpsUTP で十分
Cat 61 Gbps(10G は短距離)UTP で十分
Cat 6A10 Gbps(100m)STP(U/FTP)推奨
Cat 710 Gbps(規格上)STP 必須(S/FTP)
Cat 7A10 GbpsSTP 必須
Cat 825 / 40 Gbps(30m)STP 必須(S/FTP)

STP の利点

  • 外来ノイズ耐性: モータ・蛍光灯・無線機など強い電磁波源に近くても信号品質を維持
  • クロストーク低減: 隣接ペア同士の干渉(NEXT / FEXT)を抑え、高速通信での誤り率が下がる
  • EMI 放射の抑制: ケーブル自身から外部への漏洩も少なくでき、医療機器・無線通信の近隣で有利
  • 10G / 25G 通信での安定性: Cat 6A 以上の長距離 10G ではシールド付きが事実上の選択肢

STP の欠点と注意点

  • 太く・硬いため 狭いケーブルルートに通しにくい
  • 価格が UTP より高い(カテゴリと長さによるが 1.5〜3 倍
  • シールドを 正しく接地(アース)しないと逆効果。コモンモードノイズを拾うアンテナになることも
  • コネクタも STP 専用品(金属シェルでシールドに導通する RJ-45)が必要
  • 両端接地はループ電流の原因になる。片端接地が原則

STP を選ぶべきシーン

環境推奨
一般オフィス / 住宅UTP で十分
工場のライン脇・モータ近くSTP(F/UTP 以上)
医療機器の近く(ICU / 手術室)STP(医療用シールド)
データセンター内の 10G/25G 配線STP(U/FTP / S/FTP)
放送局・無線設備のスタジオSTP(S/FTP)
屋外・電気的に厳しい配線屋外用 STP(鎧装ケーブル)

施工上のチェックポイント

  1. シールドコネクタ(金属シェル RJ-45)を使う。プラスチックのみのコネクタでは導通が取れない
  2. パッチパネル・スイッチ側もシールド対応(FTP モジュラージャック・接地端子付きパッチパネル)を使う
  3. 片端でのみ建物のアース母線(PE)に確実に接地する
  4. 曲げ半径は外径の 8 倍以上を確保(規格上の目安)
  5. UTP 用工具のままでは銅箔を傷つけることがあるので、STP 対応の皮むき・圧着工具を使う

接地(アース)の考え方

STP のシールド層は 「アースに落として初めて意味がある」導体です。シールドが浮いた(フローティング)状態では、かえって周囲のノイズを拾うアンテナになり、UTP より悪化することもあります。

接地方式説明使いどころ
片端接地スイッチ側(ラック側)でのみシールドをアースへ接続。原則これ標準的な構内 LAN
両端接地両側でアース。建物間で電位差があるとループ電流が流れ、誤動作・破損の原因同一電位を保証できる短距離のみ
非接地シールドを浮かせる。NG絶対に避ける

機器側のシールドジャックとラックの接地端子(PE バー)を、平編線または専用ケーブルで確実に接続します。塗装面の上にネジを直接打って導通が取れていないケースが意外と多いので、テスタで実測するのが安心です。

STP 配線設計のチェックリスト

  1. カテゴリと使用速度を整理(Cat 6A 以上の長距離 10G ならシールド推奨)
  2. 環境のノイズ源を洗い出し(インバータ・モータ・無線設備・電力ケーブル並走)
  3. シールド構造(F/UTP / U/FTP / S/FTP)を選定
  4. シールド対応パッチパネル・モジュラージャック・コネクタを揃える
  5. 建物のアースバー / ラックのアース端子を確認し、片端接地で接続
  6. 圧着後はケーブルテスタ(DSX シリーズ等)でリンク認定試験を実施

用語ミニ辞典

用語意味
EMIElectro-Magnetic Interference。電磁妨害
EMCElectro-Magnetic Compatibility。電磁両立性
NEXTNear-End Crosstalk。近端漏話
FEXTFar-End Crosstalk。遠端漏話
Alien Crosstalk束ねた他ケーブル間のクロストーク(10G で問題化)
Drain Wireシールド層に沿わせた裸銅線。アース接続用
PEProtective Earth。保護接地

まとめ

  • STP は ノイズに強いが、高い・太い・施工が面倒な LAN ケーブル
  • 一般オフィスは UTP で十分、強ノイズ環境や Cat 6A 以上の長距離 10G では STP が選択肢
  • 「STP」と書かれていても内部構造は U/FTP / F/UTP / S/FTP など複数あるので必ず詳細を確認
  • 正しい接地・専用コネクタなしには本来の性能は出ない

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