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UE5 のライトの種類と使い分け|Directional/Point/Spot/Rect

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この記事の要点

  • ディレクショナルライトは無限遠から平行に降る光で、太陽・月といった主光源を 1 灯で担当する。
  • ポイントライトは一点から全方向、スポットライトは円錐状に限定した範囲を照らす。減衰半径がコストと見た目の両方を左右する。
  • レクトライトは面積を持つ矩形の光源で、窓・パネル照明・撮影ライトのような柔らかい光と自然な影に向く。
  • 光源サイズ(Source Radius / Source Angle / Source Width・Height)が影のボケ具合を決める。物理的な大きさに合わせるのが基本。
  • Mobility(Static / Stationary / Movable)の選択は、種類の選択と同じくらい負荷と表現力に影響する。

Unreal Engine 5 (UE5)ライティング で使う光源は、大きく 4 種類に整理できます。ディレクショナルライト、ポイントライト、スポットライト、レクトライトです。これらに加えてスカイライトやスカイアトモスフィアといった環境光を担う仕組みがありますが、まずはこの 4 つの特性と使い分けを押さえておけば、大半のシーンは組み立てられます。

種類ごとの違いは、突き詰めると「光がどこから、どの方向へ、どの範囲に届くか」の違いです。そしてそれぞれのパラメータは、その形状を制御するためのものだと理解すると混乱しにくくなります。

Directional 平行光線 位置に依存しない Point 一点から全方向 減衰半径で範囲を決める Spot 円錐状に限定 内側/外側の角度で境界を調整 Rect 面積を持つ矩形光源 柔らかい影が出る
4 種類のライトの光の届き方。届く範囲の形が、そのままパラメータの意味に対応している。

1ディレクショナルライト

ディレクショナルライトは、無限に遠い場所から平行光線が降ってくる光源です。アクタをレベルのどこに置いても結果は変わらず、効くのは回転(向き)だけです。太陽や月といった、シーン全体を一様に照らす主光源に使います。原則として 1 つのレベルに 1 灯、という運用が基本になります。

パラメータ意味実務での使いどころ
Intensity光の強さ。ディレクショナルライトでは照度の単位(ルクス)で扱われる晴天の屋外を作るときは、他のライトより桁違いに大きな値になるのが普通
Light Color / Temperature光の色。色温度から指定することもできる朝夕の暖色、曇天の寒色など、時間帯の表現はここで作る
Source Angle光源の見かけの大きさ(角度)。影のボケ量を決める小さくすると輪郭のはっきりした強い影、大きくすると曇りの日のような柔らかい影になる
Atmosphere Sun Light大気表現の太陽としてこのライトを使うかどうかスカイアトモスフィアと組み合わせて空の色を光の向きに連動させる場合に有効化する
Cast Shadows影を落とすかどうか補助的に追加した 2 灯目のディレクショナルライトでは、影を切って負荷を抑えることがある

Movable にした場合の遠景の影は、UE5 では既定で Virtual Shadow Maps(VSM) によって生成されます。プロジェクト設定の Shadow Map Method を従来方式に戻した場合は、カスケードシャドウマップ(CSM)で段階的に生成されます。どちらの方式かは環境・バージョンによって異なるため、実際の設定を確認してください。影を落とす距離を伸ばすほど負荷が上がるので、実際にプレイヤーが見る範囲に合わせて調整します。広大なレベルを扱う場合は、ストリーミングされる範囲との兼ね合いも考える必要があります。

2ポイントライト

ポイントライトは一点から全方向へ均等に光を放つ光源です。裸電球、ろうそく、たき火、光る小物など、方向性を持たない光源全般に使います。位置が結果を決めるので、配置が重要になります。

パラメータ意味実務での使いどころ
Intensity / Intensity Units光の強さと、その単位(カンデラ、ルーメンなど)単位を変えると同じ数値でも明るさが変わる。実在の電球を再現するならルーメン基準が分かりやすい
Attenuation Radius光が届く最大距離。この外側には一切影響しない見た目の範囲と負荷を同時に決める最重要パラメータ。必要以上に広げないのが鉄則
Source Radius光源の球としての半径。影のボケ具合に影響する実際の電球サイズに近づけると、影の柔らかさが自然になる
Source Length光源を線状に伸ばす蛍光灯のような細長い光源を、レクトライトを使わずに近似したいときに便利
Use Inverse Squared Falloff物理的な逆二乗則で減衰させるかどうか既定の物理挙動が扱いにくい演出用途では、オフにして減衰カーブを手動指定する選択肢もある
IES Texture実在の照明器具の配光データを適用する建築ビジュアライゼーションで、器具ごとの光の広がりを再現したいときに使う

ポイントライトの影は全方向に対して生成する必要があるため、影を有効にした Movable のポイントライトは相対的に高コストです。「影は 1 灯だけ落とし、周囲の補助光は影を切る」といった割り切りが、実務では頻繁に使われます。

3スポットライト

スポットライトは、一点から円錐状の範囲に限定して光を放つ光源です。懐中電灯、スポット照明、車のヘッドライト、天井のダウンライトなど、方向を持った照明の大半はこれで表現します。

ポイントライトと共通するパラメータ(強度、減衰半径、光源半径、IES)に加えて、円錐を制御する 2 つの角度があります。

  • Inner Cone Angle:完全な明るさで照らされる内側の円錐の角度。
  • Outer Cone Angle:光が届く外縁の角度。内側と外側の間で、明るさが徐々に落ちていきます。

この 2 つの差が、光の縁の柔らかさを決めます。両者を同じ値に近づけると縁がくっきりしたステージ照明のような光になり、差を大きく取ると縁がぼやけた自然な光になります。

○ スポットライトが有利な場面
照らしたい方向が決まっている場合。全方向へ影を生成するポイントライトより、円錐に限定したスポットライトのほうが負荷面で有利になることが多い。天井のダウンライトを大量に並べるようなケースでは、この差が効いてくる。
△ 置き換えの注意
ポイントライトをスポットライトに置き換えると、円錐の外側は完全に暗くなる。壁や天井への回り込みが必要な場所では、暗さが不自然になることがある。その場合は Lumen による間接光や、影を切った弱い補助ライトで補う。

4レクトライト

レクトライトは、矩形の面積を持った光源です。窓から差し込む光、天井の平板な照明パネル、モニタの発光、撮影用のソフトボックスなど、「面で光っているもの」の表現に使います。点光源では出せない柔らかいグラデーションと、自然に広がる半影が得られるのが最大の利点です。

パラメータ意味実務での使いどころ
Source Width / Source Height発光面の幅と高さ実際の窓やパネルのサイズに合わせる。大きくするほど影は柔らかくなる
Barn Door Angle発光面の四辺に付いた遮光板の角度光の広がりを絞りたいときに使う。撮影機材のバーンドアと同じ発想
Barn Door Length遮光板の長さ角度と組み合わせて、光が届く範囲をコントロールする
Source Texture発光面に貼るテクスチャモニタや看板のように、面ごとに色や明るさが違う光源を作るときに使う
Attenuation Radius光が届く最大距離ポイントライトと同様、負荷に直結するので必要な範囲に絞る

レクトライトは面積を持つぶん計算が重く、他の 3 種類より高コストです。「窓 1 枚だけレクトライト、他はスポットライトで代用する」といった配分が現実的です。また、機能面でも他のライトと完全に同じではなく、一部の機能に対応していない場合があるため、演出上どうしても必要な機能がある場合は事前に確認しておくと安全です。

54 種類の比較と使い分け

種類光の届き方影の特徴代表的な用途相対コスト
Directional平行光線。位置に依存せず全体へ届くSource Angle でボケ量を制御。遠景まで影を出すと重い太陽、月、シーン全体の主光源1 灯前提なら許容範囲
Point一点から全方向。減衰半径で打ち切り全方向に影を生成するため高コスト電球、たき火、方向性のない光源影ありは高い
Spot円錐状に限定円錐内のみ計算するため相対的に軽い懐中電灯、ダウンライト、ヘッドライト
Rect矩形の面から広がる半影が自然に広がり、最も柔らかい窓、照明パネル、モニタ、撮影ライト高い

選び方の指針としては、まず光源の実物が何なのかを考えるのが確実です。面で光っているならレクトライト、方向が決まった器具ならスポットライト、裸で全方向に光るならポイントライト、太陽ならディレクショナルライト、という対応関係がそのまま自然な絵につながります。そのうえで負荷が問題になったら、レクトライトをスポットライトに、影ありを影なしに、と段階的に落としていくのが定石です。

6Mobility の選択も同じくらい重要

ライトの種類と並んで結果を左右するのが Mobility の設定です。これは「そのライトが実行時に変化しうるか」を宣言するもので、負荷と表現力のトレードオフを決めます。

Mobility特性向いている用途
Static直接光・間接光ともにベイクされる。実行時には一切変化しない。描画負荷は最も低いまったく動かない環境光。ベイクを前提とした構成のプロジェクト
Stationary位置と向きは固定だが、色や強度は実行時に変更できる。間接光と一部の影はベイクに頼る。重なりの数に制限がある点灯・消灯や明滅はするが、動きはしない室内照明
Movableすべて動的に計算される。位置も色も自由に変えられる代わりに、負荷は最も高いプレイヤーが持つ光源、動く乗り物のライト、時間経過で動く太陽

Lumen を主軸にした動的ライティング構成では、実質的に Movable または Stationary で組むことになります。Static ライトはベイク前提の扱いになるため、動的 GI と組み合わせても期待どおりの照り返しは得られません。プロジェクト全体の方針として、ベイクを使うのか動的で通すのかを最初に決めておくと、後から全ライトを見直す手戻りを避けられます。

7組み立ての実践的な順序

  1. 主光源を 1 灯決める:屋外ならディレクショナルライト、屋内なら窓のレクトライトなど、シーンの明るさの土台を作る光を最初に置きます。
  2. 環境光を足す:スカイライトを配置し、影の中が黒く潰れない状態にします。この段階で全体のコントラストが決まります。
  3. 露出を固定する:Post Process Volume で露出を固定してから細部を詰めます。自動露出のままだと、ライトを足すたびに全体の明るさが変わってしまい、判断がぶれます。
  4. 器具に対応するライトを置く:モデル上に照明器具があるなら、その実物に合った種類のライトを対応付けて配置します。
  5. 影の要否を仕分ける:見せたい影を落とすライトだけ Cast Shadows を有効にし、補助光は影を切ります。これだけで負荷が大きく変わります。
  6. 減衰半径を絞る:各ライトの Attenuation Radius を、実際に効いてほしい範囲まで詰めます。影響を受ける メッシュ の数が減り、描画コストが下がります。
  7. 光源サイズを調整する:Source Radius や Source Width・Height を実物のサイズに合わせ、影のボケ具合を整えます。
  8. マテリアルと合わせて確認する:金属や光沢面は光源の形がそのまま映り込むため、マテリアル の粗さ設定とセットで最終確認します。

ライティングは「足す」より「絞る」ほうが難しい作業です。とりあえず明るくするために大量のライトを置いた結果、どれが何を照らしているのか分からなくなり、負荷だけが膨らむ、という失敗はよく起きます。1 灯ずつ役割を決めて置き、不要になったら消す、という運用を最初から徹底しておくと、後半の調整が格段に楽になります。

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