| この記事の要点 |
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概要
Parquet は 2013 年に Twitter と Cloudera が共同開発を始め、現在は Apache Software Foundation 配下の OSS として運営されている列指向ファイルフォーマットである。当時 Hadoop / Hive 上で行指向の TSV や SequenceFile が主流だったが、SELECT で「数百カラムのうち 2〜3 列だけ集計したい」というワークロードに対してまったく効率的でなかった。Parquet は列単位でデータを並べることで、必要な列だけを IO することを可能にし、Hive/Impala/Spark などの SQL on Hadoop 世代を支える基盤になった。
2020 年代に入ると、クラウド DWH である BigQuery や Snowflake のエクスポート形式、Amazon S3 上のデータレイク(Athena / Redshift Spectrum)、ストリーミング ETL の Delta Lake / Apache Iceberg / Apache Hudi といったテーブルフォーマットの実体ファイルとして、Parquet は クラウドデータ基盤の共通通貨 の地位を確立した。Python から扱うには pyarrow / fastparquet、Pandas なら pd.read_parquet() / pd.to_parquet() ですぐ読み書きできる。
CSV (CSV(.csv)) との対比でいうと、CSV が「テキストで人間が読める行指向」なのに対し、Parquet は「バイナリで圧縮済み・型付き・列指向」であり、ほとんど真逆の設計思想を持つ。両者は競合ではなく、受け渡し用は CSV、分析・保管用は Parquet という棲み分けが定着している。
内部構造
Parquet ファイルは大きく次の 3 層からなる。
- Row Group: 行を 128 MB〜1 GB 程度の塊にまとめた単位。並列処理の最小単位で、Spark の 1 タスク = 1 Row Group が基本になる。
- Column Chunk: Row Group 内の 1 列ぶん。ここで列単位の圧縮(Snappy / gzip / zstd / LZ4)が掛かる。同じ型・似た値が並ぶので圧縮率が極めて高い。
- Page: Column Chunk をさらに 1 MB 程度に分割した単位。Data Page(実データ)と Dictionary Page(辞書)に分かれる。
エンコーディングは Dictionary Encoding(カーディナリティが低い列は辞書 ID で表現)、RLE(Run Length Encoding)、Bit Packing、Delta Encoding を列の特性に応じて自動選択する。たとえば「性別」のように 2 値しかない列は辞書化して数バイトで済み、CSV で 100 万行 "Female"/"Male" と書いた場合に比べて 1000 倍以上小さくなることもある。
各 Row Group の末尾には Footer(メタデータ)があり、列ごとの min/max/null count、ファイル全体のスキーマ(型、ネスト構造)が記録されている。クエリエンジンはこれを読むだけで「この Row Group には条件に合うデータが無い」と判定でき、本体を読まずにスキップできる。これが Predicate Pushdown の正体である。
主な用途
- データレイク: S3 / GCS / ADLS にパーティション付きで配置(
year=2026/month=06/dt.parquet)し、Athena / BigQuery / Trino / Spark から SQL でクエリ。 - ETL の中間ファイル: CSV や JSON から取り込んだ生データを、列指向に変換して保管する 2nd-tier ストレージ。
- 機械学習の特徴量ストア: 数百カラム × 数億行になりがちな特徴量テーブルを、必要な列だけ高速に取り出す。
- Pandas / Polars の永続化: pickle と違ってバージョン非依存・他言語からも読める。データサイエンス案件の事実上のデフォルト保存形式。
関連形式との比較
| 形式 | 方向 | 圧縮 | 得意領域 |
|---|---|---|---|
| Parquet | 列指向 | 強 | 分析・集計(OLAP) |
| ORC | 列指向 | 強 | Hive エコシステム内の分析 |
| Avro | 行指向 | 中 | Kafka / ストリーミング・スキーマ進化 |
| CSV | 行指向(テキスト) | 無/外付け | 受け渡し・小規模 |
| Feather/Arrow IPC | 列指向(インメモリ寄り) | 弱〜中 | 言語間の高速 I/O |
同じ列指向の ORC とは性能差はワークロード次第でほぼ互角だが、Hadoop/Hive 圏外(クラウド DWH や Python 系)では Parquet が圧倒的なシェアを持つ。長期保管の選定では、「読み手のエコシステムが何を使っているか」で決めるのが妥当である。
コマンド・ツール
CLI で覗くには Apache Arrow 同梱の parquet-tools、もしくはより軽量な pqrs が便利である。
$ parquet-tools schema sample.parquet
message schema {
optional binary user_id (STRING);
optional int64 ts (TIMESTAMP_MILLIS);
optional double amount;
}
$ parquet-tools head -n 5 sample.parquet
$ parquet-tools meta sample.parquet
Python なら次の通り。
import pandas as pd
df = pd.read_parquet("sample.parquet")
df.to_parquet("out.parquet", compression="zstd")
# pyarrow で部分読み(列指向の真価)
import pyarrow.parquet as pq
table = pq.read_table("sample.parquet", columns=["user_id", "amount"])
DuckDB はインストール不要で、Parquet を SQL で直接舐められる。手元の分析にきわめて強力。
duckdb -c "SELECT user_id, SUM(amount) FROM 'sample.parquet' GROUP BY 1"
注意点
- 追記が苦手: 既存ファイルへの行追加は基本不可。append したい場合は新しいファイルを書いて Hive パーティションで分けるか、Delta Lake / Iceberg などのテーブルフォーマットを被せる。
- 1 行だけの取り出しは遅い: 列指向のため Row Group 全体を読まされる。OLTP 用途には絶対に向かない。
- 小さすぎるファイルは性能が出ない: 数 KB の Parquet が大量にあると、メタデータ読みが支配的になり CSV より遅くなる。Row Group 128MB を 1 目安にコンパクションするのが定石。
- スキーマ進化に弱点: 列追加は可能だが、型変更(int→string など)はファイル間で混在するとエンジンによってエラーになる。本格的な進化が必要なら Avro と組み合わせる。
関連リンク
- 親: データベース・データ交換
- 概論: ファイル拡張子とは
- カテゴリ: データベース(カテゴリ)
- テキスト系比較: CSV(.csv)
- 関連する形式: Avro(.avro) / ORC(.orc) / Feather / Arrow IPC
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