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RAR(.rar)完全ガイド — WinRAR 仕様・リカバリレコード・ZIP/7z との比較・商用ライセンス

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この記事の要点
  • RAR は Eugene Roshal が 1993 年に開発したプロプライエタリな圧縮形式で、WinRAR を通じて世界的に普及した
  • リカバリレコード(破損自動修復用冗長データ)と ボリューム分割(.part1.rar / .part2.rar など)が ZIP に対する最大の差別化要因
  • RAR5(v5.0 以降)では AES-256 暗号化と BLAKE2 ハッシュを採用し、堅牢性が大幅に向上した
  • 解凍ライブラリ (libunrar) はオープンだが、圧縮側のコードは非公開で WinRAR の商用ライセンスが必須
  • マジックナンバーは RAR4 で 52 61 72 21 1A 07 00、RAR5 で 52 61 72 21 1A 07 01 00
  • macOS/Linux では unrar(解凍のみ)が標準、Windows では WinRAR / 7-Zip が圧縮・解凍に対応
  • ZIP・7z・Zstandard との競合が激化しており、オープンソース潮流からは外れつつあるが、Windows 圏では依然強い存在感を維持

概要

RAR(Roshal ARchive)は、ロシアのプログラマ Eugene Roshal(エフゲニー・ロシャール)が 1993 年に開発した独自仕様の圧縮アーカイブ形式です。同氏の名字をそのまま冠した本形式は、1995 年に GUI フロントエンド WinRAR がリリースされたことで爆発的に普及し、1990 年代後半から 2000 年代にかけて ZIP と双璧をなすアーカイブ形式となりました。

RAR の最大の特徴は、ZIP が苦手としていた領域、すなわち「大容量データの分割保存」と「破損データの自動修復」を仕様レベルでカバーしている点です。フロッピーディスクや CD-R 時代に複数メディアへ跨ぐアーカイブを作る用途、あるいはダイヤルアップ回線で大きなファイルを分割転送する用途で、RAR は事実上の標準として機能していました。

仕様としては RAR4(〜2013 年)と、後継の RAR5(2013 年 WinRAR 5.0 で導入)が並列で存在します。RAR5 では暗号化が AES-128 から AES-256 に強化され、整合性ハッシュも CRC32 から BLAKE2sp へと刷新されました。一方で形式の独自性は維持されており、現代でもオープンソース陣営からは「使いにくい形式」として敬遠される傾向があります。

内部構造とマジックナンバー

RAR ファイルはマジックナンバーで始まる固定ヘッダブロックを持ち、その後に複数の可変長ブロックが続く構造になっています。

バージョンマジックナンバー(hex)ASCII 表現
RAR 1.5 〜 4.x52 61 72 21 1A 07 00Rar!..(0x1A 0x07 0x00)
RAR 5.0+52 61 72 21 1A 07 01 00Rar!..(0x1A 0x07 0x01 0x00)

マジック直後にはアーカイブ全体のメタデータを示すアーカイブヘッダ、続いてファイルごとのファイルヘッダと圧縮データ本体、最後に End-of-Archive ブロック が並びます。リカバリレコードを持つ場合は専用ブロックが追加され、データ破損時にこの冗長情報から元データを復元できます(理論上、リカバリレコードのサイズに応じて数 % までの欠損を修復可能)。

圧縮アルゴリズムには、RAR4 では PPMd(テキスト系に強い文脈混合)と独自の LZ77 派生、RAR5 では刷新された LZ77 派生と PPMII が使われます。辞書サイズも RAR4 の最大 4 MB から RAR5 では最大 1 GB(64bit 版)まで拡張されており、巨大ファイルでの圧縮率が改善されています。

主な用途

  • 大容量データの分割配布: ゲーム ROM、動画ファイル、データセットなどを .part01.rar, .part02.rar ... の形で分割(ボリュームアーカイブ)し、複数メディアやアップローダの容量制限を回避
  • 修復可能な長期保管: リカバリレコード付きで作成し、テープや光ディスクなど経年劣化が懸念される媒体に保存
  • Windows 圏でのパスワード保護配布: AES-256 + ファイル名暗号化により、ZIP の旧形式暗号より堅牢な配布が可能
  • レガシー資産: 2000 年代に作られた配布物(同人作品、ドキュメント、ソフトウェア配布)には依然 RAR 形式が多く残存

関連形式との比較

形式ライセンス圧縮率暗号化分割修復機能
RAR5プロプライエタリ(圧縮)AES-256○(標準)○(リカバリレコード)
ZIPオープンAES-256 (WinZip 拡張)△(ZIP64)×
7zLGPL非常に高AES-256×(PAR2 別途)
ZstandardBSD中〜高(高速)×(別途)××

RAR は「圧縮率は 7z に劣るが、修復機能と分割機能を兼ね備えた唯一の主要形式」というニッチに位置しています。逆に言えば、修復・分割を必要としなければ 7z や Zstandard を選ぶ方が現代的です。

コマンド・ツール

Linux/macOS では解凍専用ツールの unrar が一般的です。Windows は WinRAR(30 日試用後はシェアウェア)または 7-Zip GUI から扱えます。

# インストール(Ubuntu/Debian)
sudo apt install unrar

# 解凍(カレントに展開)
unrar x archive.rar

# 中身一覧
unrar l archive.rar

# パスワード付きアーカイブの解凍
unrar x -p<password> secret.rar

# 分割アーカイブは先頭ファイル (.part01.rar) を指定すれば自動で連結
unrar x movie.part01.rar

# WinRAR CLI (Windows、圧縮も可能)
rar a -m5 -v100m -rr5 backup.rar ./project/
#   a       : add
#   -m5     : 最高圧縮レベル
#   -v100m  : 100MB ごとに分割
#   -rr5    : リカバリレコード 5%

注意点・落とし穴

  • 商用ライセンスの誤解: WinRAR は「試用版」を装って事実上使い続けられるため誤解されがちですが、業務用途では正規ライセンス購入が必須です。社内監査で問題化しやすいポイント。
  • 圧縮ツールがオープンでない: unrar ソースコードは公開されていますが、RAR ライセンスにより「RAR 互換の圧縮ツールを作ること」は明示的に禁止されています。そのため Linux ディストリビューションでは non-free リポジトリに置かれることが多い。
  • CVE-2018-20250: WinRAR 5.61 以前で発見された ACE 形式パース時の脆弱性(任意コード実行)。ACE サポートは以降削除されたが、古い WinRAR を使い続けないこと。
  • 分割ファイルの紛失リスク: .partNN.rar が 1 つでも欠けると全体が解凍不能になる。リカバリレコードがあっても、ボリュームごと欠落した場合は救えない。
  • RAR5 と RAR4 の互換性: RAR5 で作ったアーカイブは、古い WinRAR や古い unrar では開けない。配布側はバージョンを意識する必要がある。

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