| この記事の要点 |
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概要
7z は 1999 年、ロシアの開発者 Igor Pavlov が圧縮ソフト 7-Zip のために設計したアーカイブ形式です。当時から ZIP より大幅に高い圧縮率を実現する目的で開発され、その鍵となったのが Pavlov 自身が考案した圧縮アルゴリズム LZMA(Lempel–Ziv–Markov chain Algorithm)、および後継の LZMA2 です。これらは現在 xz / .deb(dpkg)/ Android APK / RPM / OS インストーラ等、多くの場所で使われています。
7-Zip ソフト自体は LGPL の OSS で、Windows 用 GUI 解凍ツールとしてフリーソフト界の定番の地位を築きました。コマンドライン版(7z / 7za / 7zr)は Linux / macOS でも動き、最近は p7zip プロジェクトが派生して各種ディストリビューションに同梱されています。
7z 形式は ZIP 互換ではなく、Windows / macOS の OS 標準機能では開けません。受け手が解凍ツールを持っているか確認できない汎用配布では ZIP のほうが無難で、用途は「サイズを限界まで小さくしたい」「強固な暗号化が要る」「自分や社内など環境を把握済みのケース」が中心です。
内部構造とマジックナンバー
7z ファイルの先頭マジックナンバーは 37 7A BC AF 27 1C(ASCII の "7z" を含む 6 バイト)で、続いてバージョン情報、ヘッダ位置、CRC が並びます。ヘッダ本体は ZIP と同様、ファイル末尾近くに置かれるため、アーカイブを末尾基準で読み解いていく構造です。
7z の最大の特徴は 固体圧縮(solid mode) です。複数のファイルを連結して 1 つの巨大なストリームとして LZMA2 にかけるため、似た内容のファイル(同じヘッダを持つソース、同じテンプレートで作られたドキュメント、似た構造の JSON など)が大量にあるアーカイブで 劇的に圧縮率が上がります。反面、特定ファイルだけを取り出すには連結ストリームの先頭から再展開する必要があり、ランダムアクセスは ZIP より遅くなります。
暗号化は AES-256-CBC をベースに、SHA-256 で導出した鍵を用います。-mhe=on オプションを付けると ヘッダ自体も暗号化 され、ファイル名やフォルダ構成すら外部から見えなくなります。機密性要件の高い配布に向きます。
主な用途
- サイズ削減を最優先するソフトウェア配布(ゲーム MOD、巨大データセット)
- Windows でのフリーソフトの定番ダウンロード形式
- 強固な暗号化を伴う機密データの保管(AES-256 + ヘッダ暗号化)
- 多数のテキスト系ファイル(ソースコード、ログ、JSON 群)の長期アーカイブ
- RAR の代替(オープンソースで仕様も公開されているため)
関連形式との比較
| 形式 | 圧縮率 | 速度(圧縮) | 暗号化 | OS 標準対応 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7z (LZMA2) | 非常に高い | 遅い | AES-256 + ヘッダ暗号化 | なし | 固体圧縮で更に有利 |
| ZIP (Deflate) | 中 | 速い | AES-256 / ZipCrypto | Win/Mac 標準 | 互換性最強 |
| RAR | 高い | 中 | AES-256 | なし | 独占仕様 |
| tar.xz | 非常に高い | 遅い | なし | Unix 系で多い | 同じ LZMA2 ベース |
| tar.zst | 高い | 速い | なし | Linux で増加中 | 速度重視 |
コマンド・ツール
# 基本:フォルダを 7z 形式で圧縮
7z a archive.7z mydir/
# 圧縮レベル最大(-mx=9)、固体圧縮 ON、LZMA2 を明示
7z a -t7z -m0=lzma2 -mx=9 -ms=on archive.7z mydir/
# パスワード付き + ヘッダ自体も暗号化
7z a -p'StrongPass123!' -mhe=on secret.7z mydir/
# 展開
7z x archive.7z # x はパス情報保持
7z e archive.7z # e はフラットに展開(パス無視)
# 中身一覧
7z l archive.7z
# ZIP 形式で出力することもできる(7-Zip は ZIP の AES-256 にも対応)
7z a -tzip -mem=AES256 -p'pwd' archive.zip mydir/
# Windows コマンドプロンプト(7-Zip インストール後)
"C:\Program Files\7-Zip\7z.exe" a -t7z -mx=9 archive.7z mydir\
# 巨大データを分割アーカイブ(100MB 単位)
7z a -v100m huge.7z bigfile.iso
# → huge.7z.001, huge.7z.002, ... が生成される
注意点・落とし穴
- OS 標準では開けない — Windows / macOS の標準解凍機能では開けないため、受け手に 7-Zip / The Unarchiver などのインストールを要求することになる。汎用配布には不向き。
- 固体圧縮の代償 — 高圧縮率と引き換えに、1 ファイルだけ取り出す時の速度がかなり遅くなる。頻繁にランダムアクセスする用途には向かない。
- 圧縮速度・メモリ消費 — LZMA2 -mx=9 は圧縮時に数 GB のメモリを使い、CPU 時間も長い。CI や定期バックアップで使う場合はリソース予算を確認する。
- パスワード強度 — 7z の AES-256 自体は強固でも、辞書攻撃可能な弱パスワードを使えば意味がない。十分な長さとランダム性を確保する。
- ヘッダ暗号化を忘れない —
-pだけだとファイル名一覧は見えてしまう。本当に隠したいなら必ず-mhe=onを付ける。 - Unix 属性の保持は不完全 — 7z は ZIP と同様、Unix のパーミッションや所有者を tar ほど完璧には保持できない。Unix システムのフルバックアップなら tar 系を選ぶ。
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