| この記事の要点 |
|
C++ で文字列を表す 4 つの型
C++ の文字列まわりは歴史的事情から複数の型が混在しており、初心者が混乱しやすいポイントです。実務では std::string を使うのが原則ですが、ライブラリや API の引数として const char* が現れることも多いため、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
| 型 | 役割 | 再代入 | 備考 |
|---|---|---|---|
char | 1 文字 | 可 | シングルクォート必須 |
char[] | 固定長の C 文字列 | 不可(配列自体) | 要素単位の書き換えは可 |
const char* | 文字列リテラルへのポインタ | ポインタは可 | const 必須 |
std::string | 可変長の文字列クラス | 可 | 標準ライブラリ。実務はこれ |
char(1 文字)
char は1 文字だけを保持する型です。整数として 1 バイトを表現する型でもあり、ASCII コードで扱われます。
char a = 'a'; // OK
char b = "a"; // エラー: ダブルクォートは const char* なので不可
char c = 65; // 'A' と等価(ASCII 65)
リテラルはシングルクォートで書きます。ダブルクォートで書くと文字列リテラル(const char*)として解釈されてしまうため、char への代入はコンパイルエラーになります。
char[](固定長配列)
複数の文字を持ちたい場合の最も素朴な方法が char[] です。ヌル終端(\0)を含めた C 文字列が配列にコピーされます。
char a[] = "abc"; // 'a','b','c','\0' の 4 要素
a[0] = 'A'; // OK: 要素単位の書き換え
a = "xyz"; // エラー: 配列自体への再代入は不可
配列名は定数扱いなので、別の文字列を丸ごと代入することはできません。ただし、要素単位 (a[0] など) なら書き換え可能で、ここが const char* との大きな違いです。
const char*(文字列リテラルへのポインタ)
ポインタ変数に文字列リテラルのアドレスを格納する形式です。リテラルは読み取り専用領域に置かれるため、書き換えようとすると未定義動作になります。
const char* a = "abc"; // OK
a = "def"; // OK: ポインタ先を変更
a[0] = 'X'; // エラー: const なので書き換え不可
char* b = "abc"; // 警告(C++11 以降は非推奨/エラー)
const を付けずに書くと、コンパイラが警告(環境によってはエラー)を出します。C++11 以降、文字列リテラルは const char[] として扱われるため、const char* として受けるのが正しい書き方です。
std::string(実務で使う型)
標準ライブラリの <string> ヘッダで提供されるクラスです。長さの変更・連結・部分文字列の取得などが直感的にでき、メモリ管理も自動です。
#include <string>
using namespace std;
string a = "abc";
a = "def"; // 再代入 OK
a += "ghi"; // 連結 OK
cout << a.length(); // 長さ取得
cout << a[0]; // 添字アクセス
基本的には std::string を使えば問題ありません。Java / C# / Python / PHP などで言う「文字列型」に最も近いのがこの型です。
std::string と const char* の相互変換
レガシーな C API(printf 系・fopen など)は const char* を要求するため、std::string からの変換が必要になります。
string s = "hello";
// string -> const char*
const char* p = s.c_str();
printf("%s\n", s.c_str());
// const char* -> string
const char* cs = "world";
string t = cs;
比較・連結・検索の基本操作
std::string は演算子オーバーロードによって、整数や他の文字列クラスと同じ感覚で扱えます。代表的な操作をまとめます。
string a = "Hello";
string b = "World";
// 連結
string c = a + " " + b; // "Hello World"
a += "!"; // "Hello!"
// 比較
if (a == b) { /* 等価比較 */ }
if (a < b) { /* 辞書順比較 */ }
// 検索
size_t pos = c.find("World"); // 6
size_t notfound = c.find("xyz"); // string::npos
// 部分取り出し
string sub = c.substr(0, 5); // "Hello"
// 置換
c.replace(6, 5, "C++"); // "Hello C++"
// 長さと空判定
size_t n = c.length();
bool ok = c.empty();
find が見つからなかったときの戻り値は std::string::npos という特別な値で、これを -1 と比較してはいけません(実体は最大値の size_t)。
文字列リテラルと std::string の混在
関数引数を const std::string& として受けると、文字列リテラルからの暗黙変換が起きます。これは便利ですが、毎回コピーが発生するため、頻度の高い API では C++17 で追加された std::string_view を使うのが現代的です。
#include <string_view>
// 古い書き方(コピーが起きる)
void log_old(const std::string& s) { /* ... */ }
// 推奨(コピーなし、リテラルも string も受けられる)
void log_new(std::string_view s) { /* ... */ }
log_new("literal");
log_new(std::string("hello"));
選び方のまとめ
| シーン | 推奨 |
|---|---|
| 新規コードで文字列を持つ変数 | std::string |
| 関数引数(読み取り専用、頻度高) | std::string_view(C++17) |
| C ライブラリへの受け渡し | const char* (.c_str() で取得) |
| 1 文字だけ持ちたい | char |
| 固定サイズのバッファが必要 | char[N] または std::array<char,N> |
関連
- 文法 — 親カテゴリ
- C++ — 言語トップ
- std::string — 標準ライブラリの文字列クラス
- char / wchar_t / char16_t / char32_t — 文字型のバリエーション
- std::string_view — C++17 で追加された軽量参照型
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