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| この記事の要点 |
|
同軸ケーブルとは
同軸ケーブル(Coaxial Cable、同軸線)は、中心の導体と外側を取り巻く導体が同じ軸を共有する構造の伝送ケーブルです。外部導体が電磁シールドとなり、内部の信号を外部ノイズから守ると同時に、内部の高周波信号が外部に漏れることも防ぎます。
テレビ / 衛星放送のアンテナ線、無線機の給電線、各種計測器、過去の Ethernet(10BASE-2 / 10BASE-5)など、高周波・低損失・耐ノイズ性を必要とする場面で広く使われます。
構造
| 層 | 役割 | 主な材質 |
|---|---|---|
| 中心導体 | 信号の伝送経路 | 銅 / 銅線 / 銅メッキ鋼線 |
| 絶縁体(誘電体) | 中心導体と外部導体を絶縁 | ポリエチレン / 発泡PE / フッ素樹脂 |
| 外部導体 | シールド / グランド | 編組(網組)銅線 / アルミ箔 |
| シース(外被) | 機械保護 / 防水 | PVC / PE |
特性インピーダンス
同軸ケーブルの特性インピーダンスは、中心導体と外部導体の寸法比、誘電体の比誘電率で決まります。送受信機器のインピーダンスと一致させないと反射が起きて信号品質が劣化します。
| インピーダンス | 用途 | 代表規格 |
|---|---|---|
| 75Ω | 映像・TV・BS/CS | 5C-2V, 5C-FB, RG-6, RG-59 |
| 50Ω | 無線・Ethernet・計測 | RG-58, RG-8, 10BASE-2 |
日本国内の規格表記
日本の TV / BS 系では 「数字 + アルファベット + 数字」形式の型番が使われます。
例: 5C-FB
5 → 絶縁体の外径(mm)
C → 特性インピーダンス(C = 75Ω、D = 50Ω)
-FB → 構造記号(後述)
| 構造記号 | 意味 | 用途 |
|---|---|---|
| 2V | 標準的なポリエチレン絶縁、編組シールド | 一般的なTV配線 |
| FB | 発泡ポリエチレン絶縁、アルミ箔+編組 | BS/CS、高周波向け(低損失) |
| FL | FB の高シールド版 | 高周波 / 高品質 |
| FV | FB の屋外用 | 屋外 / 配管内 |
米国系規格(RG)
| 規格 | インピーダンス | 用途 |
|---|---|---|
| RG-58 | 50Ω | 10BASE-2 Ethernet、アマチュア無線(短距離) |
| RG-59 | 75Ω | 映像(細め)、CCTV |
| RG-6 | 75Ω | CATV、衛星 / 地上TV配線 |
| RG-8 | 50Ω | アマチュア無線(高出力) |
| RG-174 | 50Ω | 計測器の細い同軸 |
| RG-213 | 50Ω | 業務用 50Ω 太径 |
太さと損失
同軸ケーブルは太いほど低損失です。長距離配線や高周波で減衰させたくないなら太いものを選びます。
| 太さ | 傾向 | 用途 |
|---|---|---|
| 3C-2V / RG-59 | 細い・損失大・取り回し良好 | 機器内配線、短距離 |
| 5C-2V / RG-6 | 標準 | 家庭内のTV配線 |
| 7C-FB / RG-11 | 太い・低損失 | 長距離、幹線 |
| 10C-FB / RG-8 | 非常に太い | 業務用、無線送信 |
コネクタの種類
| コネクタ | インピーダンス | 用途 |
|---|---|---|
| F型 | 75Ω | 家庭内 TV / BS / CS。日本で最も普及 |
| BNC | 50Ω / 75Ω | 計測器、業務用映像、過去の Ethernet |
| N型 | 50Ω | アマチュア無線、業務用 |
| SMA | 50Ω | 小型機器、計測、Wi-Fi アンテナ |
| TNC | 50Ω | SMA より大型 / 振動に強い |
| UHF(M型) | 50Ω | 無線送受信、業務用 |
用途と歴史
| 用途 | 使用例 |
|---|---|
| 放送(TV / BS / CS) | 家庭〜放送局までの配線 |
| 無線通信 | アマチュア無線、業務無線 |
| CATV | 幹線 / 引き込み線 |
| 計測 | オシロスコープ、信号発生器 |
| 過去の Ethernet | 10BASE-5(太い同軸)、10BASE-2(細い同軸) |
| 映像 | SDI(業務用映像伝送) |
配線時の注意点
- 急な曲げは禁物: 特性インピーダンスが変化し反射の原因。最小曲げ半径を守る
- コネクタ加工の品質: 端面の処理が悪いと VSWR が悪化する
- 長距離は減衰に注意: 周波数が高いほど減衰する。ブースターやアンプを併用
- 屋外配線は耐候性: 紫外線・水分に強いシースのケーブルを選ぶ
- ノイズ環境: 編組密度の高いケーブルを選ぶ
同軸ケーブル vs 他のケーブル
| 項目 | 同軸 | ツイストペア | 光ファイバ |
|---|---|---|---|
| 用途 | 高周波 / 映像 / 無線 | LAN(カテゴリ5e/6/7) | 長距離・高速通信 |
| 距離 | 中 | 短〜中(100m前後) | 長距離(数〜数十km) |
| 速度 | 規格による | 最大 10Gbps(Cat6A) | 10G / 100G+ |
| ノイズ耐性 | シールドで高い | カテゴリで差 | 非常に高い(電磁的影響なし) |
| コスト | 中 | 低 | 高 |
FAQ
Q: なぜ Ethernet は同軸からツイストペアに移行した?
A: ツイストペアの方が安価で取り回しが良く、配線変更も容易。スター型トポロジで断線時の影響範囲も限定できます。10BASE-T 以降はツイストペアが主流に。
Q: BS/CS には FB / FL を使うべき?
A: BS/CS は高周波(1〜3GHz)で減衰が大きいため、低損失タイプ(FB / FL)が推奨。安価な 2V でも短距離なら問題ないことも。
Q: 75Ω 用のケーブルを 50Ω 機器に使うとどうなる?
A: 反射が起きて信号が乱れます。短距離・低周波なら何とか通信できることもありますが、規格通りのインピーダンスを使うべき。
歴史 — Ethernet と同軸の関係
1980 年代の初期 Ethernet では、太い同軸ケーブル(10BASE-5、通称「イエローケーブル」)に複数の端末をぶら下げるバス型トポロジが主流でした。後に細い同軸(10BASE-2、Thin Ethernet)に置き換わり、さらに 1990 年代以降はツイストペア(10BASE-T 以降)に取って代わられました。現在のオフィス LAN で同軸ケーブルを見ることはほぼありません。
とはいえ、放送・無線・計測といった高周波領域では今でも現役のメインプレイヤーです。光ファイバーが普及した現代でも、家庭の TV アンテナ線が同軸であることに変わりはありません。
選定のポイント
- 用途と周波数 — TV/BS なら 75Ω、無線/計測なら 50Ω
- 必要な距離 — 長いほど太径+低損失タイプ(FB / FL)
- 取り回し — 細いほど曲げやすいが減衰が大きい
- 屋内/屋外 — 屋外は耐候性シース
- コネクタ規格 — 接続先機器の口に合わせる(F / BNC / N / SMA)
同軸ケーブルにまつわる用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 減衰量 | 長距離を伝送するときの信号の損失。dB/m で表す |
| VSWR | 定在波比。インピーダンス不整合の度合い。1.0 が理想、2.0 以下が望ましい |
| シールド率 | 編組密度や箔の効果による外来ノイズ遮蔽性能 |
| 遅延時間 | 信号がケーブル内を進む時間。光速より遅い(誘電体の影響) |
| 耐電圧 | 絶縁体が破壊されない最大電圧 |
関連
- ツイストペアケーブル — LAN で主流のケーブル
- 光ファイバ — 長距離・高速通信
- F型コネクタ — 家庭TVの定番コネクタ
- BNCコネクタ — 計測 / 業務向け
- VSWR — 反射の度合いを示す指標
- 10BASE-2 / 10BASE-5 — 過去の同軸 Ethernet
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- 同軸ケーブル
- ツイストペアケーブル
- 光ファイバーケーブル
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