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JP1/FTS(File Transmission Server/FTP)とは|伝送カードとftstranの使い方

この記事の要点
  • 「JP1/FTS」で探されている製品の正式名称は JP1/File Transmission Server/FTP。マニュアル上の略称は JP1/FTP
  • FTP(と FTPS)でファイルを送受信する、運用管理機能付きのファイル伝送ソフト。定型的なファイル連携の自動化が目的
  • 伝送内容は伝送カードに登録し、ftstran で実行する。登録・変更は ftsregc
  • 伝送後のプログラム自動起動、伝送履歴、JP1/AJS3 からのスケジュール伝送、JP1/IM での集中監視ができる
  • 相手側は JP1/FTP 以外の FTP ソフトでもよい(片側だけ JP1/FTP の構成も可)
  • FTPS は Explicit モード、TLS1.2 に対応(Version 13 の UNIX 版マニュアル)

JP1/FTS(JP1/FTP)とは

「JP1/FTS」「jp1 fts」で検索される製品は、日立の JP1/File Transmission Server/FTP です。名前の File Transmission Server の頭文字が FTS で、コマンド名も ftstran ftsregc のように fts で始まるため、現場では JP1/FTS と呼ばれることがあります。ただし公式マニュアルでの略称は JP1/FTP なので、マニュアルを探すときは「File Transmission Server/FTP」か「JP1/FTP」で探すのが確実です。

公式マニュアルでは JP1/FTP を「運用管理機能を備えたファイル伝送プログラム」と説明しています。通信手順は標準的な FTP で、FTPS による暗号化伝送にも対応します。OS 標準の ftp コマンドと比べたときの違いは、定型業務としてファイル伝送を回すための機能が揃っている点です。

  • 伝送内容(相手ホスト・ユーザー・ファイル名など)を伝送カードとして登録しておき、名前を指定するだけで伝送できる
  • 伝送が終わったら、指定したプログラムを自動起動できる(受信したらすぐ取り込み処理を動かす、など)
  • 送受信の履歴を採取・表示でき、異常終了だけを抽出できる
  • JP1/AJS3 と組み合わせてスケジュール伝送、JP1/IM で集中監視ができる
  • ネットワーク上に分散する複数の JP1/FTP ホストの履歴参照や定義情報の配布を、1 か所から行える

マニュアルは Windows 用と UNIX 用に分かれています。Version 13 の UNIX 用は AIX と Linux が対象です。

システム構成:クライアント(発信側)とサーバ(着信側)

JP1/FTP では、接続を始めて伝送を指示する側をクライアント(発信側)、接続を受ける側をサーバ(着信側)と呼びます。1 台のホストがクライアントとサーバの両方を兼ねることもできます。

公式マニュアルの基本構成では、クライアントかサーバのどちらか一方は JP1/FTP 以外の FTP ソフトウェアでもよいとされています。つまり、取引先の一般的な FTP サーバーにファイルを送る、といった片側だけ JP1/FTP の構成も取れます。ただし、送信側と受信側でファイルサイズを照合して破損を検知するサイズ確認は、JP1/FTP どうし(または uCosminexus Service Platform との間)でだけ有効です。

設定するものどちらで設定するかコマンド
伝送情報(伝送カード)クライアント(発信側)ftsregc
伝送の実行クライアント(発信側)ftstran
伝送後に着信側で動かすプログラムサーバ(着信側)ftsautoma
伝送後に発信側で動かすプログラムクライアント(伝送カードの -TS / -TF)ftsregc

伝送カードを登録する(ftsregc)

伝送する内容は伝送カードに登録します。新規登録では -TC(カード名)、-TH(接続先ホスト)、-TU(ログインユーザー)、-TT(送受信種別)、-TY(伝送モード)、-TL(ローカルファイル名)、-TR(リモートファイル名)が必須です。登録・変更・削除にはスーパーユーザー権限が必要です。

オプション内容値
-TC伝送カード名1〜20 バイト
-TH / -TP接続先ホスト名 / ポート番号ホスト名は 1〜256 バイト、ポートは 1〜65535
-TU / -TWログインユーザー名 / パスワード各 80 バイトまで
-TT送受信種別SEND(送信・上書き)、RECV(受信)、APPE(送信・追加)
-TY伝送モードASCII、BINARY
-TM圧縮モードSTREAM(圧縮なし)、COMPRESS(圧縮)
-TKサイズ確認CHECK、UNCHECK
-TL / -TRローカルファイル名 / リモートファイル名各 1〜256 バイト
-TS / -TF正常時 / 異常時に起動するプログラム0〜256 バイト
-TA単一・複数ファイル伝送AUTO、MULTIPLE、SINGLE
-TSSFTPS を使うかCHECK、UNCHECK
-TSE / -TSA / -TSRサーバ証明書の有効期限確認 / CA 証明書パス / CRL パスFTPS 使用時
# 日次売上ファイルを BINARY で送信するカード daily_send を登録
ftsregc -N -TC daily_send -TH filesv01 -TU ftpuser -TW 'パスワード' \
  -TT SEND -TY BINARY -TL /data/out/sales.csv -TR /in/sales.csv

# 内容を表示して確認
ftsregc -L daily_send

# 正常時に起動するプログラムを後から設定/削除(空文字列で削除)
ftsregc -C daily_send -TS /opt/batch/after_send.sh
ftsregc -C daily_send -TS ""

既存のカードをひな形にして新しいカードを作ることもできます。その場合は -N の直後にひな形のカード名を書き、-TC に新しいカード名を指定します。なお、ftsregc を複数同時に実行すると期待どおりに登録されないことがあるため、登録処理は直列に行います(表示だけなら同時実行してかまいません)。

ファイルを伝送する(ftstran)

伝送は、クライアント(発信側)で ftstran を実行します。実行方法は 2 種類です。

  • 選択実行: 登録済みの伝送カードをそのまま使う
  • オンデマンド実行: 伝送カードを指定しつつ、伝送情報オプション(-TH -TL など)で一部を変えて伝送する。カードを登録し直さずに済む
# 選択実行。結果を正常時・異常時で別ファイルに出す
ftstran daily_send -N /var/log/ftp/ok.txt -E /var/log/ftp/ng.txt -M T
echo $?

# オンデマンド実行。ローカルファイルだけ差し替えて送る
ftstran daily_send -TL /data/out/sales_20261003.csv

戻り値は 0 が正常終了、10〜12 が警告付き正常終了(結果ファイル出力時の異常など)、13 がカード情報を取得できない異常終了、50・51・90 が異常終了、91 がコマンドの構文誤りです。スクリプトやジョブから呼ぶときは「0 以外を失敗とみなす」か、警告付き正常終了をどう扱うかを決めておきます。

伝送後の自動起動と履歴の確認

サーバ(着信側)では ftsautoma で自動起動プログラムを登録できます。特定のユーザーからの受信や伝送ファイルの種類を条件に、受信完了後のプログラムを自動で動かせるため、「ファイルが届いたら取り込みバッチを起動」という連携を JP1/FTP だけで組めます。

履歴は ftshistory で表示します。-v の一覧表示では、結果が ●(正常終了)、×(異常終了)、▲(自動起動失敗)、方向が C(発信)、S(着信)で表されます。-s で時刻や時刻の範囲を指定して絞り込めます。

# 履歴を一覧形式で表示
ftshistory -v

# 期間を指定して表示(空白を含むので引用符で囲む)
ftshistory -v -s "2026/10/01 00:00:00","2026/10/03 23:59:59"

FTPS で暗号化して送る

伝送カードで -TSS CHECK を指定すると FTPS を使います。Version 13 の UNIX 用マニュアルに記載されているクライアント側の実装は次のとおりです。

項目実装
Explicit モードサポートする
Implicit モードサポートしない
相手が FTPS 非対応のときの通常 FTP への自動切り替えサポートしない
SSL 通信のバージョンTLS1.2
サーバ証明書の検証証明書のチェーン、有効期限、失効状態(CRL)
データコネクションの保護レベルPrivate
CCC コマンド(NAT 環境)サポートしない

相手の FTP サーバーが Implicit モードしか受け付けない場合や、NAT 越えで CCC が必要な場合は接続できないため、事前に相手側の方式を確認しておきます。

JP1/AJS3 と組み合わせてスケジュール伝送する

JP1/AJS3 から伝送を動かすには、JP1/FTP と同じマシンに JP1/AJS3 - Manager または Agent を入れ、JP1/FTP のカスタムジョブを JP1/AJS3 に登録します。登録は JP1/AJS3 - View の[カスタムジョブ登録]から行い、クラス名は JP1FTP、バージョンは 0600(いずれも固定)を指定します。登録後は JP1/AJS3 を再起動します。

ジョブネットエディタの[カスタムジョブ]タブにある JP1/FTP のアイコンを配置し、コマンド文に ftstran 伝送カード名 を書けば、あとは通常のジョブと同じように前後のジョブと関連付けてスケジュールできます。「前日分の集計が正常終了したらファイルを送り、送信が失敗したらリカバリージョブで通知する」といった流れを JP1/AJS3 側で組めます。

JP1/IM で監視する

JP1/IM と連携すると、JP1/FTP のサービスの開始・停止と、伝送の終了(正常・警告・異常)を JP1/IM の[イベントコンソール]画面で集中監視できます。JP1/FTP が出力する JP1 イベントの一覧はマニュアルの付録に掲載されています。

主要コマンド一覧(UNIX 版)

コマンド機能実行権限
ftsstart / ftsstopJP1/FTP デーモンの起動 / 停止スーパーユーザー
jftsdstatusJP1/FTP デーモンの起動状態確認スーパーユーザー
ftsutil環境情報の変更・表示表示は一般ユーザー、変更はスーパーユーザー
ftsregc / ftsregcv伝送情報の登録・変更・削除・表示 / 表示表示は一般ユーザー、登録等はスーパーユーザー
ftstran伝送の実行一般ユーザー
ftsautoma自動起動プログラムの登録・削除・表示表示は一般ユーザー、登録等はスーパーユーザー
ftshistory履歴情報の表示一般ユーザー
ftslogstart / ftslogstop / jftslogdstatusログデーモンの起動 / 停止 / 状態確認スーパーユーザー
ftsconsole / ftsastart / ftsastop / jftsastatus運用管理コンソールの起動、運用管理エージェントの起動 / 停止 / 状態確認スーパーユーザー

トラブル時の確認ポイント

  • 伝送がすぐ失敗する: jftsdstatus でデーモンが起動しているか確認する
  • 戻り値 13: 指定した伝送カード名が登録されていない。ftsregc -L で確認する
  • 戻り値 91: コマンドの書き方の誤り。オプションと値の組み合わせを見直す
  • FTPS だけ失敗する: 相手が Explicit モードと TLS1.2 に対応しているか、CA 証明書と CRL のパス、証明書の有効期限を確認する
  • 最大同時伝送数を変更したら起動しない: 変更時は伝送履歴などが初期化されるため事前のバックアップが必要で、バックアップ時と復元時の最大同時伝送数が一致しないとデーモンが起動しない

関連

公式情報: JP1/File Transmission Server/FTP(UNIX 用)、JP1/File Transmission Server/FTP(Windows 用)(日立製作所)

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