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JP1/IM(JP1/IM2・IM3)とは|JP1イベントによる統合監視の仕組みとJP1/Baseとの関係

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この記事の要点
  • JP1/IM(JP1/Integrated Management)は、システム全体で起きた事象を集めて一元監視・操作する統合管理製品
  • 製品名は Version 12 が Integrated Management 2(いわゆる JP1/IM2)、Version 13 が Integrated Management 3
  • 監視の単位は JP1 イベント。各ホストの JP1/Base が発行・転送し、マネージャーで集約する
  • 構成は Manager(+JP1/Base)・Agent(JP1/IM - Agent または JP1/Base)・View。JP1/Base は Manager の前提製品
  • 監視の中心は[イベントコンソール]画面。重大度は 8 段階、対処状況は 4 種類で管理する
  • 自動アクションは 2034 年 9 月末までの機能。以降は対処アクションへの移行が必要と公式に案内されている

JP1/IM とは

JP1/IM は、JP1 製品群の中で統合管理を担う製品です。公式マニュアルでは、IT システム全体に散在するリソースの情報を集中管理し、一元的な監視と操作を実現する基盤と説明されています。ジョブ管理の JP1/AJS3、性能監視の JP1/PFM、各サーバーのログ監視など、ばらばらに上がってくる「何かが起きた」という知らせを 1 か所に集め、運用担当者が 1 つの画面で状況を把握し、対処できるようにするのが役割です。

運用監視センターのオペレーターが常時見ている画面、という位置付けをイメージすると分かりやすいでしょう。個々のサーバーを見に行かなくても、障害の通知・重要度の判断・対処の記録・自動対応のきっかけまでを JP1/IM 上で完結させられます。

JP1/IM2 と JP1/IM3:名前とバージョンの関係

「JP1/IM2」という呼び方は、Version 12 の製品名 JP1/Integrated Management 2 - Manager(および View)に由来します。Version 13 では製品名が JP1/Integrated Management 3 - Manager になりました。マニュアル本文ではどちらも総称して「JP1/IM」と表記されています。

系列Manager の製品名通称
JP1 Version 12JP1/Integrated Management 2 - ManagerJP1/IM2、JP1/IM
JP1 Version 13JP1/Integrated Management 3 - ManagerJP1/IM3、JP1/IM

手順やコマンドを調べるときは、名前の「2」「3」に引きずられず、自分の環境の JP1 のバージョンに合ったマニュアルを選ぶのが確実です。以下の説明は Version 13 の「JP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド」に基づきます。

JP1/IM の構成

JP1/IM のシステムは、システムを統合管理するマネージャー、監視対象サーバーで動くエージェント、リモートで監視するホスト、監視・操作に使うビューアーで構成されます。役割ごとに必要な製品は次のとおりです。

役割必要な製品説明
マネージャーJP1/IM - Manager と JP1/Baseインテリジェント統合管理基盤、統合オペレーション・ビューアー、セントラルコンソール、セントラルスコープ、IM 構成管理の機能を提供する
エージェントJP1/IM - Agent または JP1/BaseJP1/Base は監視対象サーバーとして動き、JP1 イベントや JP1 ユーザーの管理など JP1 の基盤機能を提供する。JP1/IM - Agent はオンプレミスとクラウドのシステムを監視し、パフォーマンスデータを収集してマネージャーに送る
ビューアーJP1/IM - Viewセントラルコンソール・ビューアー、セントラルスコープ・ビューアー、IM 構成管理・ビューアーの 3 つの画面を提供する

大規模なシステムでは、マネージャーを階層化できます。最上位の統合マネージャー、拠点ごとのエージェントを管理する拠点マネージャー、エージェントのイベントを集約する中継マネージャーという分担です。拠点のイベントは拠点マネージャーで一度受けてから、重要なものだけを統合マネージャーに上げる、という設計ができます。

JP1 イベントによる監視の仕組み

JP1/IM が扱う監視情報の単位は JP1 イベントです。JP1 イベントは、システムで発生した事象(ディスク容量不足、ジョブの異常終了、サービス停止など)を JP1/Base に通知したもので、次のような流れで JP1/IM に届きます。

  1. 各ホストの JP1/Base が JP1 イベントを受け取り、そのホストのイベント DB に保存する(JP1/AJS3 などの JP1 製品が発行するほか、ログファイルトラップでアプリケーションのログ行を JP1 イベントに変換することもできる)
  2. JP1/Base が転送設定(イベントフィルター)に従い、重要な JP1 イベントだけを上位のマネージャーへ転送する。初期設定では JP1/IM で定義した階層に従って転送される
  3. マネージャーの JP1/Base のイベント DB に JP1 イベントが入る。統合監視 DB を使う構成では、JP1/IM - Manager のイベント基盤サービスがイベント DB から取り出し、JP1/IM 固有の情報を付けて統合監視 DB に保管する
  4. JP1/IM - View の[イベントコンソール]画面に一覧表示され、自動アクションなどの処理の起点になる

つまり、JP1 イベントの保存と転送という「配管」は JP1/Base が担い、JP1/IM はそれを集約・表示・判断する「司令室」の役割です。JP1/Base 側の仕組みは兄弟記事の「JP1/Base とは」で詳しく説明しています。

セントラルコンソール:イベントの監視と対処状況

セントラルコンソールは、ネットワークトラブルやマシンダウンなどの重要な事象を JP1 イベントで集中監視する機能です。主な機能は次のとおりです。

  • フィルタリング: 表示フィルターやユーザーフィルターで、担当者ごとに見るべきイベントを絞り込む
  • 相関イベントの発行: 複数のイベントの組み合わせから、意味のある 1 つのイベントを発行する
  • 繰り返しイベントの監視: 同じイベントが大量に来たときに表示や自動アクションを抑止する(統合監視 DB 使用時)
  • イベント検索、イベントガイド(対処方法の案内表示)、メモ情報、表示内容の CSV 出力
  • JP1/IM からのシステム操作: 画面からエージェントでコマンドを実行する

重大度と対処状況

JP1 イベントの重大度は、緊急(Emergency)・警戒(Alert)・致命的(Critical)・エラー(Error)・警告(Warning)・通知(Notice)・情報(Information)・デバッグ(Debug)の 8 段階で、[イベントコンソール]画面ではアイコンで区別されます。オペレーターは重要イベントに対して対処状況を付けて、誰がどこまで対応したかを管理します。

対処状況jcochstat のキー
対処済PROCESSED
処理中PROCESSING
保留HELD
未対処UNPROCESSED

セントラルスコープと IM 構成管理

  • セントラルスコープ: 監視対象を業務やシステムの目的に沿ってまとめ、目的指向でシステムを監視する機能。個々のイベントではなく「どの業務が影響を受けているか」の単位で状態を見られる
  • IM 構成管理: マネージャーとエージェントの階層構成や、各ホストの設定を一元管理する機能

インテリジェント統合管理基盤と統合オペレーション・ビューアー

Version 13 の JP1/IM - Manager には、Web ブラウザーで使う統合オペレーション・ビューアーと、それを支えるインテリジェント統合管理基盤があります。監視対象のシステムからホストやジョブなどの構成情報を集め、各構成要素の状態を JP1 イベントの発生元の情報をもとに評価して、ツリー形式で表示します。

たとえば JP1/AJS3 と連携すると、JP1 イベントの通知元・通知先のルートジョブネットの関連がリンク情報として取り込まれ、どの業務フローで異常が起きているかを画面上でたどれます。構成情報の取り込みは、統合オペレーション・ビューアーからのツリー情報の生成・反映、または jddcreatetree と jddupdatetree コマンドで行います。

自動アクションと対処アクション

自動アクションは、マネージャーが特定の JP1 イベントを受信したときに自動でコマンドを実行する機能です。障害イベントの受信をきっかけにメール送信や電話連絡のコマンドを動かす、といった使い方をします。実行条件、実行するコマンド、実行先ホスト、実行ユーザーを定義し、コマンドの実行先ホストでは JP1/Base のユーザーマッピングが必要です。

ただし公式マニュアルには、自動アクションによるコマンド実行は 2034 年 9 月末までは使えるが、2034 年 10 月以降は使えないと明記されています。それまでに対処アクション(自動実行機能と手動実行機能)へ移行する必要があります。対処アクションは JP1/IM - Agent と連携している場合に、インテリジェント統合管理基盤が管理するシステムで使える機能で、イベントの内容だけで対処が決まる事象は自動実行、オペレーターの判断が必要な事象は手動実行、と使い分けます。新しく設計する場合は、最初から対処アクションを前提に検討するのが無難です。

項目自動アクション対処アクション
実行の契機JP1 イベントの受信JP1 イベントとの照合(自動)またはオペレーター操作(手動)
連携先JP1/Base 連携JP1/IM - Agent 連携
提供期限2034 年 9 月末まで移行先として案内されている

よく使うコマンド

コマンド用途
jco_spmd_statusJP1/IM - Manager のプロセス群の起動状態を表示する。UNIX の格納先は /opt/jp1cons/bin/。戻り値 0 は全プロセス起動、4 は一部起動、8 は全停止
jco_start / jco_stopUNIX 限定の自動起動・自動終了用スクリプト(/etc/opt/jp1cons/)。jco_start.model をコピーして有効にする。起動前に JP1/Base を起動しておく必要がある
jcochstat重要イベントの対処状況を変更する
jcoevtreport統合監視 DB の JP1 イベントを CSV 形式でファイルに出力する
jddcreatetree / jddupdatetreeインテリジェント統合管理基盤の構成情報(ツリー)の生成・反映
# プロセスの起動状態を確認(UNIX)
/opt/jp1cons/bin/jco_spmd_status

# イベント DB 内通し番号 35 と 400 のイベントを「対処済」にする
jcochstat -k PROCESSED -n 35,400

# 期間を指定して統合監視 DB のイベントを CSV 出力
jcoevtreport -o /tmp/events.csv -s 20261001000000 -e 20261002000000

導入・運用でつまずきやすい点

  • イベントが上がってこない: エージェント側 JP1/Base の転送設定(転送設定ファイル forward)で対象外になっている、またはイベントサービスが止まっている。まずエージェントでイベントが発行・保存されているかを確認する
  • 同じイベントが大量に表示される: 繰り返しイベントの監視抑止や、大量発生イベントの転送抑止(JP1/Base 側)を検討する
  • 画面からのコマンド実行や自動アクションが失敗する: 実行先ホストで JP1 ユーザーと OS ユーザーのユーザーマッピングが設定されていない
  • 大量のエージェントに一斉実行: マネージャーの負荷が高くなるおそれがあるため、ホストグループごとに分散して実行することが推奨されている

よくある質問

Q. JP1/IM だけ入れれば監視できる?
A. できません。JP1/Base は JP1/IM - Manager の前提製品で、マネージャーにも必要です。監視対象サーバーにも JP1/Base(または JP1/IM - Agent)を入れて、JP1 イベントを送れるようにします。

Q. JP1/IM と JP1/AJS3 の関係は?
A. 別製品ですが、JP1/AJS3 はジョブの異常終了などを JP1 イベントとして発行できるため、JP1/IM で他の監視と一緒に見られます。認証も同じ JP1/Base の認証サーバを使えば、同じ認証圏の中でログインし直さずに JP1/AJS3 - View のモニター画面を呼び出せます。

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公式情報: JP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド(日立製作所)

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