| この記事の要点 |
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概要
.env ファイルは、アプリケーションが起動時に読み込む環境変数を KEY=value 形式で外部ファイルにまとめたものです。拡張子という形ではなく ファイル名そのものが .env という UNIX 系の隠しファイル形式で、ドット 1 つで始まるためエクスプローラのデフォルトでは見えないことが多いです。
この仕組みは The Twelve-Factor App(Heroku が提唱した SaaS 構築方法論)の「III. Config — 設定を環境変数に格納する」原則を実装するもので、Ruby on Rails コミュニティ発の dotenv gem(bkeepers/dotenv、2012 年〜)から普及しました。現在は Node.js・Python・PHP(Laravel が標準採用)・Go・Rust などほぼ全言語に dotenv 系ライブラリがあり、API キー・DB 接続情報・OAuth クライアントシークレットなど機密情報を保管する事実標準となっています。
構文・データモデル
1 行 1 変数、KEY=value 形式。値はクォート省略可ですが、スペースや特殊文字を含むときはクォートします。
# コメントは # で始める
APP_ENV=production
APP_DEBUG=false
APP_KEY=base64:abc123...
# 値にスペースや記号があるときはクォート
APP_NAME="My Application"
DB_PASSWORD='p@$$word!'
# 変数展開(dotenv によっては対応しない)
DB_HOST=localhost
DATABASE_URL="postgres://user:pass@${DB_HOST}:5432/mydb"
# 空行と末尾コメントは無視される
MAIL_FROM=admin@example.com # 送信元アドレス
Laravel の .env も同じ形式で、config/*.php から env('APP_KEY') で参照されます。Node.js では require('dotenv').config() で process.env.APP_KEY に流し込まれます。
主な用途
- 機密情報の外部化: API キー、DB パスワード、JWT 秘密鍵、OAuth クライアントシークレット
- 環境ごとの設定切り替え:
.env.development/.env.production/.env.testなど環境別ファイル - Docker Compose 連携:
docker-compose.ymlが同階層の.envを自動読み込み - Vite / Next.js のビルド時定数:
VITE_API_URL、NEXT_PUBLIC_*といったプレフィックス付き変数 - CI/CD のシークレット注入: GitHub Actions / GitLab CI が
.envを出力してビルドに渡すパターン
関連形式との比較
| 項目 | .env | JSON | YAML | シェル変数 |
|---|---|---|---|---|
| 形式 | key=value のみ | 木構造 | 木構造 | key=value |
| ネスト | 不可(フラット) | 可 | 可 | 不可 |
| コメント | 可(#) | 不可 | 可 | 可 |
| 用途 | シークレット・設定 | API・データ | CI・IaC | シェル環境 |
| git 管理 | 原則しない | する | する | 該当なし |
| 標準化 | 仕様統一なし(実装依存) | RFC 8259 | YAML 1.2 | POSIX |
編集・パーサ・ツール
- 各言語の dotenv ライブラリ:
- Node.js:
dotenv(最も普及)、dotenv-flow、dotenvx - Python:
python-dotenv - PHP:
vlucas/phpdotenv(Laravel が利用) - Ruby:
dotenvgem - Go:
joho/godotenv - Rust:
dotenvy
- Node.js:
- direnv: ディレクトリ移動時に
.envrcを自動 source する開発者向けツール - doppler / 1Password CLI / AWS Secrets Manager / HashiCorp Vault: 本番では
.envをやめて専用シークレット管理に移行することも多い - direnv-vscode、EnvFile プラグイン: IDE での
.env読み込み支援
注意点・落とし穴
- 絶対に git にコミットしない:
.gitignoreに.envを必ず追加。誤コミットしたら git history からも除去し、漏れたシークレットは 全てローテーションする - 共有用に
.env.exampleを用意: キー名と説明だけ書いた雛形を git 管理する - シェルの構文ではない:
.envはシェルでsourceするためのものではない。exportプレフィックスは不要(dotenv 系は無視するが、シェルは違う解釈をする) - クォートとエスケープ: ダブルクォート内では
\nを改行に展開するライブラリがある一方、シングルクォートでは展開しない。実装ごとに差があるので注意 - 本番では使わない選択肢も: 本番環境ではコンテナの環境変数や Secret Manager で渡し、
.envはローカル開発専用とする運用が推奨される(12-factor 的) - 変数展開の差異:
${OTHER}形式の展開対応はライブラリ依存。Laravel の.envは対応、素の dotenv-node は古いバージョンでは未対応だった - フロントエンドに渡す変数は公開される: Vite の
VITE_*、Next.js のNEXT_PUBLIC_*はビルド時にバンドルへ埋め込まれ、ブラウザから読める。シークレットを入れてはいけない
関連リンク
- Web・データ・設定
- ファイル拡張子とは
- INI(.ini)
- properties(.properties)
- conf(.conf)
- .env
- .env の値を vue.js で参照する方法
- .env ファイルの設定値へのアクセス
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