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IPアドレスのクラス(A/B/C/D/E)とは|範囲・サブネットマスクとCIDR

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IPアドレスのクラスとは、IPv4アドレスを先頭ビットのパターンによってクラスA〜Eの5種類に分類する、旧来のアドレス割り当て方式(クラスフルアドレッシング)のことです。クラスごとにネットワーク部とホスト部の境界が固定されており、ネットワークの規模に応じてクラスA(大規模)・クラスB(中規模)・クラスC(小規模)を使い分け、クラスDはマルチキャスト、クラスEは実験用に予約されています。なお現在の実運用では、この固定的なクラス分けは使われず、より柔軟なCIDR(クラスレスアドレッシング)が主流となっています。

この記事の要点
  • クラスとは、IPv4アドレスを先頭ビットのパターンでA〜Eの5つに分類する旧来の方式(クラスフルアドレッシング)。
  • クラスA・B・Cは規模別の通常アドレスで、ネットワーク部とホスト部の境界(デフォルトサブネットマスク)がクラスごとに固定。
  • クラスDはマルチキャスト用、クラスEは実験・将来予約用。
  • 各クラスにはインターネットに出ないプライベートIPアドレスの範囲が定められている。
  • 現在はクラスの固定境界では非効率なため、ビット単位で柔軟に区切るCIDR(クラスレス)が主流。クラスは概念・知識として残る。

IPアドレスのクラスとは

IPアドレスのクラスとは、32ビットで表現されるIPv4アドレスを、その先頭の数ビットを見ることでクラスA〜クラスEの5種類に振り分ける分類方式です。この仕組みは「クラスフルアドレッシング(classful addressing)」と呼ばれ、IPv4が設計された初期に採用されました。

IPアドレスは「どのネットワークに属するか」を示すネットワーク部と、「そのネットワーク内のどの機器か」を示すホスト部に分かれます。クラスフルアドレッシングでは、この2つの境界がクラスごとにあらかじめ固定されているのが特徴です。先頭ビットを見るだけで「これはクラスB、つまりネットワーク部は前半16ビット」というように、境界が一意に決まります。

クラスごとにネットワーク部のビット数が異なるため、1つのネットワークに収容できるホスト(端末)の数も大きく変わります。ネットワーク部が短いクラスほど多くのホストを収容でき大規模組織向けに、ネットワーク部が長いクラスほど少数のホスト向けに、という規模別の使い分けが想定されていました。

クラスA〜Eの比較

各クラスの先頭ビット・アドレス範囲・デフォルトサブネットマスク・用途を一覧にまとめます。アドレス範囲は先頭オクテット(最初の8ビット=1つ目の数字)で見分けられます。

クラス 先頭ビット 先頭オクテットの範囲 デフォルトサブネットマスク 用途・規模
クラスA 0 0 〜 127 255.0.0.0(/8) 大規模ネットワーク(ネットワーク数は少・ホスト数は最多)
クラスB 10 128 〜 191 255.255.0.0(/16) 中規模ネットワーク
クラスC 110 192 〜 223 255.255.255.0(/24) 小規模ネットワーク(ネットワーク数は最多・ホスト数は少)
クラスD 1110 224 〜 239 (なし) マルチキャスト用
クラスE 1111 240 〜 255 (なし) 実験・将来予約用

ネットワーク部とホスト部のビット数を比較すると、各クラスで収容できる規模の違いがよく分かります。

クラス ネットワーク部 ホスト部 ネットワーク数の目安 1ネットワークあたりのホスト数の目安
クラスA 8ビット 24ビット 約126 約1,677万
クラスB 16ビット 16ビット 約1万6千 約6万5千
クラスC 24ビット 8ビット 約209万 254

ホスト数は、ホスト部のビット数から計算される値より2つ少なくなります。すべてが0のアドレスは「ネットワークそのもの(ネットワークアドレス)」、すべてが1のアドレスは「全ホスト宛て(ブロードキャストアドレス)」として予約されており、機器には割り当てられないためです。

クラスA(大規模ネットワーク向け)

クラスAは先頭ビットが「0」で始まり、ネットワーク部が8ビットと最も短いクラスです。ネットワーク部が短い分、残る24ビットすべてをホスト部に使えるため、1つのネットワークで約1,677万台という膨大な数のホストを収容できます。その代わり、作れるネットワークの数自体は少なくなります。大企業や大規模なインターネット基盤など、巨大なネットワークを必要とする組織向けに想定されたクラスです。先頭オクテットは0〜127の範囲ですが、127から始まるアドレス(127.0.0.1など)はループバック(自分自身を指す特別なアドレス)として予約されています。

クラスB(中規模ネットワーク向け)

クラスBは先頭ビットが「10」で始まり、ネットワーク部16ビット・ホスト部16ビットと、ちょうど半分ずつに分かれるクラスです。1つのネットワークで約6万5千台を収容でき、ネットワーク数とホスト数のバランスが取れているため、中規模の企業や大学などで利用が想定されました。先頭オクテットは128〜191の範囲です。

クラスC(小規模ネットワーク向け)

クラスCは先頭ビットが「110」で始まり、ネットワーク部が24ビットと長く、ホスト部はわずか8ビットです。1つのネットワークに収容できるホストは254台と少なめですが、その分、作れるネットワークの数は最も多くなります。小規模なオフィスや店舗のLANなど、台数の少ないネットワーク向けに想定されたクラスです。先頭オクテットは192〜223の範囲です。

クラスD(マルチキャスト用)

クラスDは先頭ビットが「1110」で始まり、これまでのクラスとは性質が異なります。特定の1台ではなく、複数の機器をまとめたグループ宛てに通信を送る「マルチキャスト」のために予約された範囲です。ネットワーク部・ホスト部という分け方やデフォルトサブネットマスクの概念はなく、アドレス全体がグループを識別するために使われます。先頭オクテットは224〜239の範囲で、動画配信やルーティングプロトコルの一部などで利用されます。

クラスE(実験・将来予約用)

クラスEは先頭ビットが「1111」で始まり、研究・実験用および将来の利用に備えて予約された範囲です。通常のホストへの割り当てや一般的な通信には使われません。先頭オクテットは240〜255の範囲です。

プライベートIPアドレスの範囲

クラスA・B・Cの中には、インターネット上では使われず、組織内のLANなど閉じたネットワークで自由に使えるプライベートIPアドレスの範囲が定められています。家庭やオフィスのネットワーク内の機器には、通常このプライベートIPアドレスが割り当てられます。

クラス プライベートIPアドレスの範囲 CIDR表記
クラスA 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 10.0.0.0/8
クラスB 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 172.16.0.0/12
クラスC 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 192.168.0.0/16

これら以外のアドレスはグローバルIPアドレスと呼ばれ、インターネット上で機器を一意に識別するために使われます。家庭用ルーターは、内側のプライベートIPアドレスと外側のグローバルIPアドレスをNAT(アドレス変換)で相互に変換することで、複数の機器を1つのグローバルIPアドレスでインターネットに接続しています。

現在はCIDR(クラスレス)が主流

クラスフルアドレッシングは仕組みが単純で分かりやすい一方、ネットワーク部とホスト部の境界がクラスごとに固定されているため、アドレスの無駄が大きいという問題がありました。たとえば300台の機器が必要な場合、クラスCの254台では足りず、かといってクラスBを割り当てると約6万5千台分のアドレスを確保することになり、大半が未使用のまま無駄になります。

この非効率を解消するために登場したのがCIDR(Classless Inter-Domain Routing、サイダー)です。CIDRはクラスの固定境界にとらわれず、ネットワーク部の長さを「/26」「/19」のように1ビット単位で自由に指定できる方式で、必要な規模に合わせて過不足なくアドレスを割り当てられます。この「/数字」の表記をプレフィックス長(CIDR表記)と呼びます。

現在のインターネットおよび多くの組織のネットワーク設計では、このCIDR(クラスレスアドレッシング)が標準となっており、クラスA・B・Cという固定的な区分は実運用ではほぼ使われていません。ただし、IPアドレスの基礎概念や資格試験の知識として、またアドレス範囲のおおまかな目安として、クラスの考え方は今も広く参照されています。

落とし穴・注意点
  • クラスは現在「概念」として理解する:クラスA/B/Cの固定境界は実運用では使われておらず、現在のアドレス割り当てはCIDR(クラスレス)で行われる。クラスは基礎知識・試験対策として押さえる位置づけ。
  • クラスフルとCIDRを混同しない:「クラスCだから必ず/24」とは限らない。CIDRでは192で始まるアドレスでも/26や/27など任意の境界で区切られる。先頭ビットでマスクが決まるのはあくまでクラスフルの話。
  • プライベートとグローバルの区別:10/172.16〜31/192.168で始まるアドレスはインターネットに直接出られないプライベートIPアドレス。これらをグローバルアドレスと取り違えると、到達性や設計の誤りにつながる。
  • クラスD・Eは通常のホストに割り当てない:224以降はマルチキャストや実験用の予約範囲であり、一般的な端末のアドレスとして使うものではない。

よくある質問(FAQ)

Q1. クラスは今でも使われているのですか?
クラスという固定的なアドレス割り当て方式(クラスフルアドレッシング)は、現在の実運用ではほぼ使われていません。アドレスの無駄が大きいため、ビット単位で柔軟に区切れるCIDR(クラスレス)に移行しています。ただし、IPアドレスの先頭オクテットからおおまかな範囲を把握する目安として、また基礎知識や資格試験の出題範囲として、クラスの概念は今も広く参照されています。

Q2. デフォルトサブネットマスクとは何ですか?
クラスフルアドレッシングにおいて、各クラスにあらかじめ決まっているネットワーク部とホスト部の境界を表すサブネットマスクのことです。クラスAは255.0.0.0(/8)、クラスBは255.255.0.0(/16)、クラスCは255.255.255.0(/24)が標準です。CIDRではこの固定値にとらわれず、任意の長さのマスクを指定できます。

Q3. プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの違いは何ですか?
プライベートIPアドレスは組織内のLANなど閉じたネットワーク内で自由に使えるアドレスで、インターネット上では使われません(10.x、172.16〜31.x、192.168.xの範囲)。一方グローバルIPアドレスはインターネット上で機器を一意に識別するアドレスです。家庭やオフィスではルーターがNATによって両者を変換し、内側の機器をインターネットに接続しています。

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