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VPCとは|仮想プライベートクラウド・CIDR割当・AZ/サブネット・AWS/Azure VNet/GCPの違いを解説

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この記事の要点
  • VPC(仮想プライベートクラウド)は、パブリッククラウド上に論理的に隔離された自分専用の仮想ネットワーク空間。
  • VPC を作るときは 10.0.0.0/16 のような CIDR ブロックでプライベート IP アドレス範囲を最初に決める。
  • VPC はリージョン単位で作成し、その中を複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にまたがるサブネットに分割する。
  • AWS は VPC、Azure は VNet(仮想ネットワーク)、GCP は VPC と、各クラウドで名称や挙動が少しずつ異なる。
  • 同一 VPC 内の通信は隔離されており、外部やオンプレ、他 VPC とつなぐにはゲートウェイやピアリングを明示的に設定する。
  • VPC はクラウドネットワーク設計の土台であり、サブネット・ルートテーブル・セキュリティの境界をすべてこの中に構築する。

概要

VPC(Virtual Private Cloud、仮想プライベートクラウド)とは、パブリッククラウドの共有インフラ上に、利用者ごとに論理的に隔離された専用の仮想ネットワーク空間を構築する仕組みです。物理的なデータセンターやスイッチ・ルータを自分で用意することなく、ソフトウェア定義で「自社専用のネットワーク」をクラウド上に切り出せます。

VPC の中では、IP アドレス範囲(CIDR ブロック)の設計、サブネットへの分割、ルーティングの制御、ファイアウォール相当のセキュリティ設定など、オンプレミスのネットワークとほぼ同じ要素を仮想的に扱えます。重要なのは「隔離」です。同じ物理基盤を多数の利用者が共有していても、VPC 同士は互いに見えず、明示的に接続を設定しない限り通信できません。これにより、パブリッククラウド上でもプライベートネットワークと同等の独立性が得られます。

仕組み

VPC はリージョン(地理的に離れたデータセンター群の単位)ごとに作成します。VPC を作る最初のステップは、その VPC 全体で使うプライベート IP アドレスの範囲を CIDR ブロックで指定することです。一般にはプライベートアドレス空間(RFC 1918)から選びます。

VPC の CIDR 指定例
10.0.0.0/16     → 10.0.0.0 ~ 10.0.255.255 (65,536 アドレス)

その内部をサブネットに分割
10.0.1.0/24     → AZ-a 用 (256 アドレス)
10.0.2.0/24     → AZ-c 用 (256 アドレス)

VPC の内部は、複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にまたがってサブネットを配置できます。AZ とは、同一リージョン内で電源やネットワークが独立した別々のデータセンター群のことです。各サブネットはいずれか 1 つの AZ に属します。複数 AZ にサブネットを分散させることで、片方の AZ で障害が起きてもサービスを継続できる冗長構成を組めます。

VPC 内のリソース(仮想マシンなど)は、VPC の CIDR 範囲内のプライベート IP を割り当てられ、デフォルトでは VPC 内のみで通信します。外部インターネット、オンプレミス、他の VPC と通信するには、インターネットゲートウェイ・VPN ゲートウェイ・VPC ピアリングなどを明示的にアタッチする必要があります。何も設定しない VPC は完全に閉じた空間です。

構成・実用例

典型的な 3 層 Web アプリを VPC 上に構築する構成例です。CIDR を設計し、用途別・AZ 別にサブネットを切ります。

VPC: 10.0.0.0/16 (リージョン: 東京)

 ┌─ AZ-a ───────────────┐   ┌─ AZ-c ───────────────┐
 │ public  10.0.0.0/24  │   │ public  10.0.10.0/24 │  ← ALB / NAT GW
 │ app     10.0.1.0/24  │   │ app     10.0.11.0/24 │  ← Web/AP サーバ
 │ db      10.0.2.0/24  │   │ db      10.0.12.0/24 │  ← DB (プライベート)
 └──────────────────────┘   └──────────────────────┘
        │                            │
        └──── 同一 VPC 内は直接通信可 ─┘

各クラウドでの名称と作成イメージは次の通りです。AWS の CLI 例を示します。

# AWS: VPC とサブネットを作成
aws ec2 create-vpc --cidr-block 10.0.0.0/16
aws ec2 create-subnet --vpc-id vpc-xxxx \
    --cidr-block 10.0.1.0/24 --availability-zone ap-northeast-1a

VPC は「テンプレート化」して再利用するのが実務の定石です。Terraform などの IaC(Infrastructure as Code)で VPC・サブネット・ルートテーブルをコード化しておけば、本番・検証・開発の各環境を同一構成で再現できます。

主な用途

  • クラウド上の独立ネットワーク基盤 — Web アプリ・基幹システム・分析基盤などを、互いに隔離された VPC 上に構築します。
  • マルチ AZ による高可用性 — 複数 AZ にサブネットを分散し、データセンター単位の障害に耐える構成を作ります。
  • 本番・検証・開発の環境分離 — 環境ごとに VPC を分けることで、設定ミスや障害が他環境へ波及するのを防ぎます。
  • ハイブリッドクラウドの拠点 — VPN や専用線でオンプレミスと接続し、社内ネットワークの延長として VPC を使います。

関連技術との比較

項目AWS VPCAzure VNetGCP VPC
名称VPC仮想ネットワーク(VNet)VPC ネットワーク
スコープリージョン単位リージョン単位グローバル(サブネットがリージョン単位)
サブネットの属する単位AZ ごとVNet 全体(可用性ゾーンは別概念)リージョンごと
ファイアウォールセキュリティグループ + NACLNSG(ネットワークセキュリティグループ)ファイアウォールルール
拠点間接続ピアリング / Transit GWVNet ピアリングVPC ピアリング / 共有 VPC

注意点・落とし穴

  • CIDR は後から変更しにくい — VPC の主 CIDR を狭く取りすぎると拡張時に困ります。将来の規模を見越して /16 など余裕のある範囲で設計します。
  • CIDR の重複に注意 — オンプレや他 VPC と接続する予定があるなら、同じプライベート範囲(例: 10.0.0.0/16)が両側で重複すると VPN/ピアリングでルーティングできません。
  • サブネットは AZ をまたげない(AWS の場合) — 1 サブネット = 1 AZ です。冗長化には AZ ごとにサブネットを用意します。
  • デフォルトでは外部と通信できない — インターネットゲートウェイやルートを設定しない限り、VPC 内リソースは外部へ出られません。「つながらない」原因の多くはここです。
  • クラウドごとの差異 — GCP の VPC はグローバル、AWS はリージョン単位など、スコープの違いを混同すると設計を誤ります。

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