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MSI ファイル(.msi)とは | Windows Installer・msiexec・OLE 構造化ストレージ

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この記事の要点
  • .msi は Microsoft Installer が定めた Windows 標準のインストーラパッケージ形式
  • 実体は OLE 構造化ストレージ(複合ドキュメント)で、内部に複数のテーブル(File / Component / Feature 等)を持つ
  • コマンドラインは msiexec /i package.msi。アンインストールは msiexec /x、サイレントは /qn
  • トランザクション方式でインストールされ、失敗時は自動ロールバック。Group Policy で全社配布も可能
  • ログ取得は msiexec /i app.msi /l*v install.log で詳細ログを出力できる

概要

.msi(Microsoft Software Installer / Microsoft Installer Package)は、Windows でアプリケーションをインストール・アンインストール・修復・更新するために設計された標準パッケージ形式です。Windows Installer サービス(msiserver)がこのファイルを解釈し、ファイルコピー、レジストリ書き込み、ショートカット作成、サービス登録などを実行します。

従来の .exe 形式のセットアップは作者ごとに独自仕様で、アンインストール時に何が削除されるか不透明でした。MSI はこれを 宣言的に記述する枠組みを導入し、「どのファイルがどのコンポーネントに属し、どのフィーチャに含まれ、どの条件で入るか」をすべてテーブルで管理します。これにより:

  • 失敗時の自動ロールバック(トランザクション)
  • 修復インストール(壊れたファイルだけ再展開)
  • Group Policy による全社一括配布
  • サイレントインストール(GUI を出さずに展開)

といった企業用途で重要な機能が標準化されました。現在では Office、SQL Server、Visual Studio 関連、各種ドライバなど、エンタープライズ向け製品の多くが MSI で配布されています。

内部構造

.msi ファイルは外見こそ単一ファイルですが、中身は OLE 構造化ストレージ(Compound File Binary Format、CFBF)と呼ばれる「ファイルシステムを模した複合ドキュメント」です。これは Word の旧 .doc や Excel の旧 .xls と同じ仕組みで、ファイル内に複数の「ストリーム(仮想ファイル)」を格納できます。

主なストリーム / テーブル:

  • Property テーブル: ProductCode、ProductVersion、Manufacturer、UpgradeCode などのメタ情報
  • File テーブル: インストール対象のファイル一覧(名前、サイズ、バージョン、ハッシュ)
  • Component テーブル: ファイル・レジストリ・ショートカットを束ねた最小単位。GUID で一意
  • Feature テーブル: ユーザに見せる機能単位。Component の集合
  • Directory テーブル: インストール先ディレクトリのツリー定義
  • Registry テーブル: 書き込むレジストリエントリ
  • CustomAction テーブル: 標準では足りない処理を VBScript / JScript / DLL で記述
  • InstallExecuteSequence: インストール時に実行するアクションの順序
  • 埋め込み CAB: 実ファイルは内部 CAB として圧縮格納されることが多い

これらは Orca(Windows SDK 付属)や InstEd といったツールで開いて、表として閲覧・編集できます。

主な用途

  • 商用アプリの配布: Office、Adobe、各種開発ツール
  • ドライバインストール: プリンタ、特殊デバイス
  • 社内アプリの自動配布: Group Policy(GPO)で OU 単位に MSI を割り当て、ログオン時に自動展開
  • SCCM / Intune 連携: 大規模端末管理で配布パッケージとして利用
  • 修復シナリオ: ユーザが誤って DLL を削除しても、コントロールパネルの「変更」→「修復」で再展開

関連形式との比較

形式役割特徴
.msiインストーラパッケージ宣言的、トランザクション、GPO 対応
setup.exeインストーラ実行ファイル独自実装。内部で .msi を呼ぶことも多い
.msuWindows Update スタンドアロンOS パッチ専用。内部に .cab
.mspMSI パッチ既存 MSI への差分適用
.appx / .msixモダンパッケージサンドボックス化、Store 配信向け
.deb / .rpmLinux パッケージ依存関係解決を OS のパッケージマネージャが担当

コマンド・ツール

  • 標準インストール: msiexec /i app.msi
  • サイレントインストール: msiexec /i app.msi /qn /norestart
  • アンインストール: msiexec /x app.msi または msiexec /x {ProductCode-GUID}
  • 修復: msiexec /fa app.msi(a=全部、p=不足のみ、e=同等以下のバージョンで上書き等)
  • 詳細ログ: msiexec /i app.msi /l*v install.log
  • プロパティ指定: msiexec /i app.msi INSTALLDIR="C:\Apps\Foo"
  • Orca: MSI テーブルを GUI で編集(Windows SDK 付属)
  • WiX Toolset: XML から MSI をビルドするオープンソースツールチェーン
  • Advanced Installer / InstallShield: 商用 MSI オーサリングツール
  • PowerShell: Get-Package | Where-Object ProviderName -eq "msi" で MSI 起源のインストール済み一覧

注意点

  • 管理者権限: ほとんどの MSI は per-machine インストールで、UAC 昇格が必要。per-user 配置もできる
  • UpgradeCode の継承: バージョンアップ時は ProductCode は変えても UpgradeCode は固定にする。これが変わると「別製品」と認識され、旧版が残ってしまう
  • CustomAction の落とし穴: VBScript で書いた CustomAction が失敗するとロールバックが連鎖し、原因究明が困難。可能な限り標準アクションで完結させる
  • 署名: MSI にも signtool でコード署名を付けるべき。署名がないと SmartScreen に警告される
  • 32bit / 64bit MSI: Template Summary プロパティで指定。64bit MSI は 64bit Windows でしか動かない
  • ICE 検証: WiX/Orca に含まれる Internal Consistency Evaluators で、テーブル整合性を事前検査する習慣を付ける

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