タイトル: インラインビュー
本稿は SQL のインラインビューに関する記事です。インラインビューは Oracle 用語として広まっていますが、現在ではほぼすべての RDBMS で同じ概念がサポートされています。
インラインビューとは?
インラインビュー (Inline View) とは、FROM 句に書く SELECT 文 (副問い合わせ) のことです。あらかじめ作成しておく永続的なビュー (CREATE VIEW) ではなく、その SQL の中でその場限りに使い捨てる仮想テーブルとして動作します。
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SELECT u.name, t.cnt |
インラインビューを使う典型的なケース
| ユースケース | 例 |
|---|---|
| 集計してから結合 | ユーザ別注文件数を計算 → users と JOIN |
| 絞り込み済みの「小さなテーブル」を用意 | 過去 30 日の対象データのみで JOIN し性能改善 |
| 同じ複雑なサブクエリを別名で扱う | FROM (...) AS top10 として読みやすく |
| ウィンドウ関数の結果を外側で参照 | SELECT * FROM (SELECT ..., ROW_NUMBER() OVER (...) rn FROM t) WHERE rn = 1 |
| UNION を1つの集合として扱う | FROM (SELECT ... UNION ALL SELECT ...) AS x |
類似機能との違い
| 機能 | 定義位置 | 寿命 | 備考 |
|---|---|---|---|
| インラインビュー | FROM句内のサブクエリ | そのクエリのみ | その場限り。命名は別名 (AS x) |
| CTE (WITH句) | クエリ先頭の WITH name AS (...) | そのクエリのみ | 名前付きでクエリ内で複数回参照可 |
| ビュー (VIEW) | CREATE VIEW | 永続 | スキーマに登録される |
| マテリアライズドビュー | CREATE MATERIALIZED VIEW | 永続+実体化 | 結果を物理保存。Oracle / PostgreSQL 等で利用 |
| 一時テーブル | CREATE TEMPORARY TABLE | セッション内 | 明示的にデータを保持 |
| スカラサブクエリ | SELECT 句や WHERE 句 | その場限り | 結果は 1 行 1 列のみ |
CTE (WITH句) との書き換え例
同じ処理はインラインビューでも CTE でも書けます。複雑になるほど CTE のほうが見やすいことが多いです。
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-- CTE 版 |
パフォーマンス上のポイント
- インラインビュー内で不要な列を取らない。
SELECT *は避けて必要列のみ - WHERE で先に絞ると、外側の JOIN が高速になる
- 同じ集計を外側で何度も呼ぶような書き方ならCTE / 一時テーブルを検討
EXPLAINで実行計画を確認し、フルスキャンになっていないかチェック- Oracle の場合、インラインビューに
WITH ... ASヒントや マテリアライズドビューが効くケースがある
注意点
- 多くの RDBMS でインラインビューには必ず別名 (
AS xやx) を付ける必要がある - インラインビュー内で
ORDER BYは省略可能。最終結果の並びは外側のORDER BYで決める - ネストが深くなりすぎると可読性が落ちる。3階層以上は CTE への書き換えを検討
- RDBMS により対応 SQL 機能が異なる (ウィンドウ関数の対応バージョン等)。サポート状況を確認